看護師として働く中で、職場環境やキャリアの方向性に悩みを抱えることは、決して珍しいことではありません。
転職を考える理由は、人間関係や働き方、将来への不安などさまざま。しかし、いざ行動に移そうとすると、「失敗したらどうしよう」「何から始めればいいの?」と不安や疑問が押し寄せてくるものです。
そこで本コーナーでは、看護師転職にまつわる“あるある悩み”を、国家資格キャリアコンサルタント等の資格を持ち、人材領域の専門家でもあるJOBSマガジン編集長中村美紀がQ&A形式でわかりやすくひもといていきます。
今回のテーマは「給料が不満で辞めたい」という悩みです。
限られた時間でも無理なく読めるよう、要点を簡潔にまとめているので、転職に迷いや不安を抱えている人はアドバイスを参考にしながら、自身のキャリアを前向きに見つめ直すきっかけにしてみてください。
|この記事の監修者
中村 美紀
JOBSマガジン編集長
株式会社ギミック執行役員
国家資格キャリアコンサルタント
米国CCE,Inc.GCDF-Japanキャリアカウンセラー
【経歴】
20年間、現・株式会社リクルートホールディングスのHR・住宅領域においてクリエイティブ責任者として活躍後、独立。クリエイティブコンサルタントを経て、2022年株式会社ギミック入社。執行役員として編集制作部門を管轄するほか、キャリア研修企画設計から講師までを担当するなど、人材領域でも活動。2025年よりJOBSマガジン編集長、クリニック未来ラボ主任研究員。
<目次>
1 「給料が不満で辞めたい」という転職のあるある悩み
患者対応や夜勤、残業に加え急変など、突発的な事態にも頻繁に対応が求められる看護師の仕事。
多忙な日々を送っているにもかかわらず、「なかなか給料が上がらない」「今の待遇って妥当なの……?」と給料や待遇に不満を感じ、転職を考える人は多いのではないでしょうか。
以下に、「給料が不満で辞めたい」というよくある悩みをQ&A形式で紹介します。
次項では、「適切に評価される職場」への転職を叶えるためのポイントについて具体的に解説していきます。
2 転職前に知っておきたい「給料」で押さえておくべき3つのポイント
ここからは、実際に「働きを適切に評価してもらえる職場」への転職をめざす際に、どのような視点で転職活動を進めればよいのかを具体的に見ていきます。
専門家の知見をもとに、押さえておきたい3つのポイントを整理しました。
①給与の根拠となる評価基準が明確な職場を選ぶ
「働きを適切に評価してもらえる職場ではない」と感じる場合、その背景には上司の主観によって昇給が決定されているなど、評価制度が十分に機能していない可能性があります。
一方で、評価制度が確立されている病院やクリニックは、「行動評価シート」や「看護レベル別の昇給基準」など、評価の根拠が明文化されているケースが多いようです。
こうした制度を導入している医療機関の多くは、人材を「経営資源」として捉え、人的資源の活用に対して高い意識を持っている傾向があります。
求人票では把握しきれない情報も多いので、面接の終盤や逆質問のタイミングで「評価制度」や「昇給の実績」について確認してみるのがお勧めです。気になる点を前向きに確認する姿勢であれば、印象を損なうことなく、職場の実態を知ることができるでしょう。
②職場選択の基準を“給料だけ”にしない
給与水準は職場選びの重要な要素の一つですが、給与額だけで判断するのは避けましょう。労働時間や通勤時間、勤務形態などの働き方と、自分が何を大事にしているのかという「仕事観」を含めて、総合的に見極めることが大切です。
例えば、「教育体制」「シフトの融通」「診療方針」「人間関係」など、自分にとって譲れない条件を整理しておくことで、長く安心して働ける職場を選びやすくなります。
➂給料交渉をするなら“面接で根拠を示して伝える”のが効果的
給与についての希望や交渉は、入職後では交渉が難しくなることが一般的です。多くの医療機関では、あらかじめ給与の目安や基準が設けられている場合が多く、採用決定後に条件を見直すのは簡単ではないからです。
そのため、給与に関する希望がある場合は、面接の場で、これまでの経験や実績を根拠として伝えておくことが望ましいとされています。特に対面でのやりとりは、相手に意図や背景が伝わりやすく、誤解なく話を進めやすいという点で効果的です。
例えば、新人看護師の育成や指導を行う「プリセプター経験」や専門看護師・認定看護師をはじめとした「専門資格」など、評価されやすい材料を具体的に提示すると良いでしょう。
3 転職活動には求人サイトやエージェントを上手く活用しよう
ここまで、転職によくある給料についての悩みを解説してきました。
転職を考える上で、給与は誰にとっても大切な判断軸の一つ。だからこそ、「このままでいいのかな」「本当に評価される職場ってあるの?」と、不安や迷いを抱えるのは当然のことです。一人で悩みを抱え込まず、納得できる働き方を見つけるために、まずは一歩踏み出してみてください。
自身の決断が不安であれば、「転職のプロ」の力を借りることも、満足度の高い転職活動を実現するコツの一つ。誰かに話してみることで、考えが整理できたり進むべき方向性が見えてきたりすることもあります。
例えば「ドクターズ・ファイル エージェント」では、専任のキャリア・アドバイザーが転職スケジュールを一緒に考えたり、希望を踏まえた求人紹介をしたりするだけでなく、履歴書のチェックや模擬面接の実施といったさまざまなサポートを受けられます。転職活動の心強い味方となってくれるでしょう。
また、当サイト「ドクターズ・ファイル ジョブズ」では看護師の転職先を多数掲載しています。
自分自身が求める環境や働き方、仕事に対する理想などと照らし合わせながら、納得できる待遇で働ける職場を見つけるためにぜひご活用ください。
Q .給料が上がらない職場から、働きを適切に評価してもらえる職場に転職するには、どうすれば良いですか?
A .給与の根拠となる評価制度や仕組みが整っている職場を選び、面接などで自分のスキルや姿勢をしっかりアピールすることが大切です。
「働きを適切に評価してもらえる職場」への転職を実現するには、まず、給与の決定に関わる評価制度が明文化されている職場かどうかを確認してみましょう。求人情報でわからない場合は、面接で確認してみると良いでしょう。また、自身のスキルや仕事への姿勢を具体的に伝えることも重要です。