職務経歴書は、今までの詳しい仕事経験や実績などを応募先に伝えるために記入する書類です。
履歴書と混同されがちですが、履歴書は応募者が「どんな人」であるかを知らせるために提出する書類で、勤務先名と勤務期間の記載のみであることがほとんど。
一方、職務経歴書は、もっと踏み込んだ内容で自分のキャリアをアピールできるので、応募先での活躍を想像してもらいやすいといえます。また、求人側にとっては応募者の職務経験や能力、スキルが求めている水準に達しているかなどを判断する材料になります。
この記事では、歯科医師の職務経歴書の書き方について例を挙げて解説していますので、参考にしながらより良い職務経歴書の作成をめざしましょう。
<目次>
1 職務経歴書とは?歯科医師の転職でも必要?
職務経歴書は、採用担当者が応募者の職務経験を詳しく知るための書類です。在籍した職場ごとの業務内容や役職、身につけたスキルや成果など、これまで経験してきた職務内容について具体的に記載します。
職務経歴書の提出を求められている場合はもちろん、応募要項に職務経歴書の提出について特に書かれていない場合も、自分の経験のアピールや熱意を伝えるために提出の準備をしましょう。
ただし、応募要項に「職務経歴書は提出不要」とはっきり書かれているときは、送る必要はありません。採用担当者側の方針で職務経歴書を選考の対象にしていない場合、職務経歴書を送ることがかえって迷惑になってしまう可能性があるためです。
なお、実際に提出するかどうかにかかわらず、職務経歴書自体は一度書いてみることをお勧めします。過去の仕事や実績を整理できるので、履歴書の志望動機を書くとき、自己分析するとき、面接を受けるときなど、さまざまなシーンで職務経歴書にまとめた内容を生かすことができます。
2 歯科医師の職務経歴書の記載例と書く内容
ここからは、職務経歴書に書く内容を紹介します。職務経歴書は履歴書よりも書き方の自由度が高く、市販されているフォーマットの中でも、商品によって記入欄や項目が大きく異なります。
ただ、職務経歴書に書いたほうが良い内容は、どんな体裁であっても同じです。これまでの勤務先と在籍期間、そこで担当した業務内容、役割、経験、雇用形態に加え、保有している資格や自己PRなどを書くのが一般的です。各項目について解説します。
歯科医師の職務経歴書 記入例
①日付・氏名
タイトルの下段に右寄せで職務経歴書を提出する日とフルネームを明記。郵送の場合は投函する日を記載しましょう。
②職務経歴
これまでの勤務先や在籍期間、雇用形態などを箇条書きでまとめます。歯科関係の転職のケースでは、入院施設がある病院で勤務していた場合は病床数、そのほか職員数など、施設の規模がわかる数字を記載しておくと良いでしょう。
③職務内容
経験やスキルをはじめ、マネジメントの実績などを記載。努力した部分、業務改善のために工夫した点、その経験を通じて得た学びなども書き添えると厚みのある内容になります。採用担当者は実務経験の記載から、専門性の有無や自院の業務内容との関連性、マネジメント能力などをチェックします。
時には具体的な数字やエピソード、新人育成の経験や業務改善にあたって工夫した点なども交えながら、簡潔にわかりやすく、採用担当者に訴えかけましょう。
④免許・資格
免許や資格名は省略せず、取得した年月日順に正式名称で書くようにしましょう。
免許・資格の後には、免許証が交付されるものは「取得」、合格証明書が交付されるものは「合格」、研修や講習を受講して、認定証や修了証などが交付されるものは「修了」と記入します。
特に認定医の資格は、忘れずに記入しましょう。資格そのものを評価されるだけでなく、面接時に得意な治療の話をするきっかけになったり、院長と同じ認定医の資格を持っていればそこから話が広がったりすることもあります。
資格取得済みの場合は④の欄に、資格取得前でも講習や試験を受験中の場合は⑤の自己PRの欄に書きます。
また、実用英語技能検定や介護支援専門員など歯科医師の業務に役立てられる資格も、記載すると良いでしょう。
⑤自己PR
③④で記載した実績や経験、スキルなどを踏まえて、担当者に特に伝えたい自分の強みを簡潔に記載します。以下に具体例を挙げています。例文をそのまま書き写すのではなく、あくまでも参考として活用しながら、自分ならではのエピソードを盛り込み、具体性のある表現を意識しましょう。
3 歯科医師の職務経歴書の作成方法とサイズ
●職務経歴書の3つの作成方法
職務経歴書の作成には、「手書き」「パソコンの文書作成ソフトや表計算ソフト」「スマホの作成用アプリ」の代表的な3通りの方法があります。応募先から作成方法の指定を受けない限りは、どの方法で作成しても問題ありません。
①手書きでの作成
市販の職務経歴書フォーマットなどに黒いボールペンで記入する方法。印刷が不要でそのまま提出用に使えるのがメリットですが、書き損じた場合は、修正液や修正テープを使わずに書き直す必要があります。手書きで作成する場合は、下書きするなどの工夫をすると良いでしょう。
また、転職回数が多いと市販のフォーマットの記入欄では書ききれなかったり、転職回数が少ないと使わない欄が多く空白が目立つ印象を与えたりする場合も。そういったケースでは、次に紹介するパソコン用のフォーマットを、自分用にカスタマイズして印刷して使うのもお勧めです。
②パソコンでの作成
パソコンの文書作成ソフト(ワードなど)や表計算ソフト(エクセルなど)を用いた作成方法。フォーマットはインターネットで公開されているものをダウンロードして使用するのが一般的です。
パソコン作成の大きな強みは、入力や修正がしやすいこと。また、デザインや項目も自由にカスタマイズできるので、自分の転職回数に合わせて調整したり、枠線で囲って見せたりするなど、職務経歴書の自由度の高さに一番合った作成方法といえるかもしれません。
なお、郵送で提出する際や面接時に持参して提出する際は印刷する必要があるので、自宅やコンビニのプリンターを使いましょう。
また最近は、書類をデータで送付する場合もありますが、ワードやエクセルで作った書類をそのまま送ると、意図せず文字が変換されてしまう場合があるので、PDF形式に変換して送付するようにしてください。
③スマホでの作成
スマホの履歴書作成用アプリの中には、職務経歴書の作成にも対応しているものがあります。使おうとしている履歴書アプリで職務経歴書の作成が可能かどうかは、アプリストアの商品説明などでチェックしましょう。
スマホは場所を選ばずに操作できるので、手軽に入力や修正ができるのがメリット。項目数の増減などができるものについては、転職回数に合わせて調整すると◎。一方、作成可能な職務経歴書の体裁は使用するアプリによって異なるので、どのような職務経歴書が作れるのか、事前に確認を。
●職務経歴書のサイズとページ数
職務経歴書のサイズは特に応募先からの指定がなければ、A4(縦297ミリ×横210ミリ)で作成するのが一般的です。
また、ページ数(枚数)は基本的に自由ですが、多すぎると採用担当者に負荷がかかる可能性も。1~2枚程度にまとめるのがお勧めです。
4 歯科医師の面接対策
採用担当者は応募者から提出された書類をもとに面接を行いますので、職務経歴書は面接においても重要です。ただし、どれだけ記載内容が良くても面接での受け答えに問題があると評価されないことも。
面接は応募先にとって、応募者の働く意欲を確認する場であり、院長や採用担当者と直接向き合うことになるので、最初の印象が大切です。身だしなみを整える、時間に遅れない、忘れ物をしないといった基本的な準備を怠らないようにしましょう。
また、現在の仕事を続けながら転職活動をする場合や応募先の指定した面接日時に応じることが難しい場合は、応募先に面接可能な日時を伝え、日程調整を相談してください。
・事前準備の方法
応募先のホームページや求人票で歯科医院の雰囲気や注力している治療、求められている人材などを確認します。応募先の情報を収集した上で、自身の強みや経験を新しい職場でどのように生かしていくのかを伝えるようにしてください。また、最近はSNSなどで情報発信をしている歯科医院も多いので、会話の幅を広げるためにもチェックをお勧めします。
特に志望動機や転職の理由、得意な治療は面接で聞かれることが多い質問です。事前に回答をしっかり準備し、面接時の受け答えで慌てないようにしましょう。
・面接時の受け答え
歯科医師は患者と直に接する仕事なので、技術面だけでなくコミュニケーション能力も判断されます。面接中はなるべく面接官と目を合わせながら、はっきり質問に答えるようにしましょう。
また、応募者に前向きさが感じられると、ともに仕事に取り組んでいけるイメージが湧き好印象に映ります。前職の不満や愚痴などネガティブな発言は控え、「新しい職場でどのように頑張りたいか」を前向きに伝えるようにしてください。
◇ ◇ ◇
以上、歯科医師が転職する際の職務経歴書の書き方について例を挙げて紹介しました。
職務経歴書を提出することによって、履歴書には書ききれなかった自分の仕事に対する強みをよりアピールできます。応募先に自分を採用するメリットを具体的にイメージしてもらえるような職務経歴書をめざしましょう。
書類を書き終えた後は、誤字・脱字のチェック、西暦と和暦が混在していないかなど、細かい部分にミスがないよう見直すことも忘れずに。
また、職務経歴書を書く前に、自分とマッチした職場を探すことが重要です。当転職エージェント「ドクターズ・ファイル エージェント」の活用をぜひ検討してみてください。専任のキャリア・アドバイザーがあなたの転職スケジュールを一緒に考えてくれたり、希望を踏まえた求人紹介をしてくれたりするだけでなく、職務経歴書のチェックや模擬面接の実施といったさまざまなサポートを受けられます。
このように「転職のプロ」の力を借りることも、満足度の高い転職活動を実現するコツの一つ。活用をお勧めします。(ドクターズ・ファイル編集部)
<自己PR 例文>
大学卒業後、一般歯科の診療を中心に行う歯科医院で5年間勤務しました。家族で通われる患者さまが多く、子ども中心の診療を担当しました。
2015年4月から2018年3月の期間は出産・育児のため休職しており、2018年4月からは小児専門の歯科医院にて非常勤で勤務し、子どものう蝕の治療に加え予防歯科に注力し、不正咬合や噛み合わせの不具合など矯正治療の必要なお子さんの早期発見に努めました。
2021年に子どもの保育園入園を機に正社員に転職しました。出産前から子どもと触れ合うことが好きでしたが、出産し子どもと日々接する中で、歯科医院を苦手とする子どもたちも嫌がらずに通ってもらえるような歯科治療をめざしたいという思いを強くしました。
子どもたちへの言葉かけや接し方など子育ての経験を生かし、診療に携わりたいです。