履歴書にある志望動機欄は採用担当者へ自己アピールをするために重要な項目です。自身のこれまでの経験を新しい職場でどう生かし、どのように働きたいのかをわかりやすくまとめて、熱意が伝わる文章にすることがポイントです。
とはいえ、書き方に迷い、どこでも通じるような文章や、マニュアル本やサイトの例文をそのまま引用してしまった経験がある人もいるのではないでしょうか?
しかし、数多くの応募書類に目を通している採用担当者にとって、そうした志望動機は、どこにでも当てはまるオリジナリティーのない履歴書に映り、かえって悪い印象を与えかねません。本記事では、さまざまなケース別に志望動機を紹介していますので、それらを参考にしながら「自分の思いを自分の言葉で」伝えられるような文章をめざしましょう。
1 志望動機を書く前に覚えておきたいこと
せっかく頑張って志望動機を書いても、採用担当者に正しく伝わらないと意味がありません。そこでまずは「読みやすい文章を書くためのポイント」を2つ押さえておきましょう。
なお、文面を完成させるまでに何度も修正が発生します。履歴書を手書きする場合、ノートやスマホのメモ機能を使って下書きし、完成した文面を履歴書に書き写すと効率的です。
2 志望動機を書くための準備
志望動機では「ここで働きたいと思った理由」を書く必要があります。当たり前と思われるかもしれませんが、「歯科医師という仕事に対する思い」しか書かれておらず、なぜこの応募先を選んだのかが伝わらないというケースは意外と少なくありません。次の例文を読んでみてください。
• 歯科医師として患者さんの歯の悩みに向き合うことにやりがいを感じているため、貴院を志望しました。
この例文のような仕事に対する熱意のみでは「どの歯科医院にも当てはまる内容」といえるため、採用担当者に「うちでなくても良いのでは」「使い回しをしているのでは」と思われてしまう可能性も。
例えば小児歯科の経験を積みたいと転職を考えている場合、小児歯科に携わりたい理由とともに、その歯科医院で働きたいと思った決め手を示しましょう。「他でもない、応募先で小児歯科に携わりたい」という思いを伝えることがポイントです。
このような意欲の伝わる志望動機を書くには、そもそも応募先がどういうクリニック・病院なのかをしっかりと理解することが重要です。そこで、力を入れたいのが応募先に関する情報収集です。
応募先の求人やウェブサイトをチェックするのが基本となりますが、もしあれば資料を請求するのも有効。ウェブサイトでは載っていないような、資料にのみある情報を志望動機で言及すれば、「うちのことを深く理解してくれている」と採用担当者の好印象が期待できるかもしれません。
また、情報収集の方法として、職場見学やインターンシップの参加もお勧め。院長をはじめ一緒に働く先輩たちの人柄や職場の雰囲気、業務の流れを直接確認できるので、入職前に働き方を思い描きやすく、自分に合っているかどうか見極めやすくなります。
最近増えている歯科医師限定の転職合同説明会などでは、採用担当者や働いているスタッフから直接話を聞くことができます。積極的に参加してみましょう。
情報収集でチェックしておきたい内容を以下にまとめましたので、参考にしてみてください。
事前にチェックしておきたい主なポイント
- 施設の基本情報(診療内容、患者数、ユニット設備をはじめとした医療機器の特徴など)
働く際のイメージを掴むために役立ちます。具体的な診療内容は志望理由にも関わる部分かと思いますので、よく確認しておきましょう。
- 院長の理念、診療方針、第三者評価の状況(国際標準化機構(ISO)や日本医療機能評価機構の評価、プライバシーマークの取得など)
自分が実現したい歯科医療と志望先の方向性がマッチしているか、また入職後に求められる役割を知るために把握しておきたい重要な項目です。
- 採用後の教育制度、スキルおよびキャリアアップ支援体制
磨けるスキルや叶えたいキャリアの実現可能性など、入職後、自分が希望する働き方ができそうかを知るために押さえておきましょう。
3 志望動機の基本となる「文章の型」
しっかりと情報収集ができたら、自分の仕事に対する考えなどと照らし合わせながら文章にまとめていきます。書き方に迷ったら以下の構成を意識してみましょう。
●志望動機で押さえたい4つのポイント
①志望した一番の理由
志望した理由が複数の場合、盛り込み過ぎず1文は60字~80文字を目安にすると良いでしょう。採用担当者に志望の意気込みが伝わりやすいよう簡潔に書くことがお勧めです。
②歯科医師の仕事に対する熱意やモットー、具体的な臨床経験
口の健康を通して人々の健康に寄与する仕事のため、歯科医師は一緒に働く人としての実力と同様に「仕事への想い」を見られがち。自身の熱意や考えを組み込みましょう。また、実力が重要でもあります。どのような経験を培ってきたか、簡潔かつ具体的に書くと良いでしょう。
③応募先の特色で共感・感銘した点
ホームページやウェブサイトから、志望先の研究をし特色を捉えた上で、自分の考えを書きましょう。なぜここで働きたいのかを応募先の特徴に合わせて具体的に書くことで、志望先への理解度が高いと判断されるためです。
④入職後の意気込み、将来の展望
採用担当者は、志望度や仕事への意欲、求める人物像にマッチしているかなどを見ています。志望先での活躍をイメージしてもらえるよう、入職後の目標や貢献したいことなど自身の前向きな思いを盛り込みましょう。
●志望動機のNGポイント
志望動機を書く際に気をつけるべきことなど、NGポイントを挙げるので、自身の志望動機と照らし合わせてみてください。
・自分の利益ばかりを求めている
「給与が高い」「残業がない」といった自分の利益となることを中心に志望動機をまとめるのは、志望先の院長や採用担当者への印象が悪くなる可能性があります。「この人は条件だけで当院を志望した」と働く意欲の低さを懸念されることも。そうしたことを避けるためにも伝え方には工夫が必要です。
どうしても譲れない条件がある場合は、そのことを志望先の歯科医院にどのように還元できるのかを書き添えるようにしましょう。
・マイナスやネガティブな印象を与える内容
自分を謙遜し過ぎたり、短所を正直に書いたりしてしまうとネガティブな印象を与えてしまいます。長所と短所は表裏の関係なので、一見マイナスだと思われる面もプラスに言い換えることで、ポジティブな印象を持たれるような工夫をしましょう。
・どこでも通用する内容
志望動機は、「その歯科医院ならではの理由」になっていることが重要です。例えば、「定休があるから」や「給与が高いから」など、「どの職場にもいえる志望動機」は避けるようにしましょう。志望先でなければいけない理由が伝わらず、他でも良いのでは?と思われてしまいます。なぜこの歯科医院なのかをおさえ、志望先への気持ちが伝わる志望動機を書くようにしてください。
4 【診療科・診療内容別】志望動機の例文
3で示した4つのポイントを押さえた志望動機であれば、採用担当者は応募者の考えや人物像をイメージしやすくなります。なお、4つのポイントの順番は入れ替えてもOKです。
ここからは応募先にフィットした内容にまとめるのに役立つ例文をご紹介。まずは応募施設別の例文です。基本の型のどの部分に該当しているのかわかるように、文章には前項で挙げた「志望動機で伝えたいポイント」の各項目を示す丸数字をつけています。
【志望動機で押さえたい4つのポイント】
①志望した一番の理由
②歯科医師の仕事に対する熱意やモットー、具体的な臨床経験
③応募先の特色で共感・感銘した点
④入職後の意気込み、将来の展望
また、好印象を得られやすいポイントも〈ここがポイント〉として解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
●一般歯科医院の場合
〈志望動機 例文〉
私は、地域に根差し、近隣住民の方たちに必要とされる歯科医師になることを目標にしています。④
貴院は○○市で30年以上地域に寄り添った診療を続けており、患者さまから信頼され親しまれています。これは私の思い描く理想の歯科医院です。③
診療を行ううえで、技術はもちろんですが患者さまとの信頼関係を築くことが大切だと感じています。10年間大学病院で診療をしてきましたが、特性上どうしても一人ひとりの患者さまを継続的に診療することは難しく、信頼関係を構築しながらの定期的なサポートが叶いにくい現状です。②
私は1人ひとりの患者さまに寄り添い、例えば子どもの頃からずっと通い続けてもらえるような歯科医師になりたいと考えており、患者さまとの信頼関係を大切にされている○○院長のもと、経験を積ませていただきたいです。①&③&④
〈ここがポイント〉
これまでの経験を踏まえ、今後のめざすべき歯科医師像を述べています。そして、その目標を達成するために、なぜこの歯科医院を志望したのかがわかりやすい流れで書かれています。歯科医院への共感も具体的で、リスペクトの姿勢が伝わりやすいところもポイントです。
●小児歯科に注力している歯科医院の場合
〈志望動機 例文〉
貴院の「お子さまの人生を第一に考え、心に寄り添う歯科診療」という理念に感銘を受け、応募しました。①&➂
常々私は、将来の口腔は子どもの頃の習慣で作られると考え、前職でも特に子どもの歯科治療で「嫌だ・怖い」と思われない診療を意識してきました。現在は自分自身も子の親であり、より一層子どもの歯科診療に向き合っていきたく、小児歯科を専門にしている貴院で、子どもの頃から良い口腔環境を作るサポートをしてまいります。②
今まで歯科医師として培った技術を併せ、お子さんが嫌がらずに受けられる診療をめざしたいと思います。④
〈ここがポイント〉
小児歯科を極めたい思いと自身が子育て中であるという強みがリンクしていて、この歯科医院を志望した理由がわかりやすいです。また、診療方針への共感などから、応募先の歯科医院をよく調べており、理解が深いこともうかがえます。目標としている歯科医師象も述べられており、将来の展望がわかりやすいのもポイントです。
●矯正歯科に注力している歯科医院の場合
〈志望動機 例文〉
歯並びが悪いことでコンプレックスを感じている患者さまを笑顔にしたいと考え、矯正歯科専門の歯科医院である貴院を志望しました。①
前職の歯科医院では、一般歯科と矯正歯科の両方の診療をしていました。噛み合わせが整うことできれいになるだけでなく、噛みやすくなり食事が楽しいと話す患者さまを見て感動したことから、専門的に従事したい気持ちが強くなりました。②
貴院も、矯正治療の目的は「審美だけでなく機能の回復」という診療方針を掲げられており、共感しました。
矯正治療は、見た目の美しさを優先しがちですが、これまで培ってきた経験を生かし両軸叶えられるよう力を尽くしていきたいです。③&④
〈ここがポイント〉
経験を通じて得られた気づきなど、心の動きや矯正歯科に対する関心の高まりが順序立てて述べられています。今後自分がめざしたい診療が応募先の診療理念と合致しており、「この歯科医院で働きたい」という思いが伝わってきます。
●歯科口腔外科に注力している歯科医院の場合
〈志望動機 例文〉
専門的な治療を学びたいと思い、大学卒業後研修医として大学病院の口腔外科に勤務しました。特に口腔がんには関心があり、多くの患者さまの手術に携わり、それに伴い全身管理についても学びました。②
貴院の○○院長は口腔外科の出身で、「患者さまの利便性を考え、大学病院と同じレベルの治療を」という診療方針を掲げられており、口腔がんの早期発見のため定期検診に注力されている点に強く共感し志望いたしました。①&➂
数としては少ないながらも、口腔がんの可能性があるような患者さまを早期に見つけ適切な医療機関へ紹介することは、地域の歯科医院の大切な役割だと思いますので、大学病院で培った経験を生かし、力を発揮していきたいと思います。④
〈ここがポイント〉
応募する歯科医院の研究がしっかりされており、自分がめざすべき歯科医師としての展望もわかりやすくまとめられています。今後応募先で取り組んでいきたい治療への想いがストレートに伝わります。
●予防歯科に注力している歯科医院の場合
〈志望動機 例文〉
「痛くなってからではなく、痛くなる前の予防に注力」という貴院の診療方針に共感し、志望しました。①
最近は患者さまの口腔内の予防への意識が高くなっていると感じますが、一方で全く口腔ケアに関心のない方もいらっしゃいます。貴院のホームページからは、○○院長や歯科衛生士の方々が、患者さまへの声かけなどを工夫され、定期的に歯科医院へ通う体制を整えられていることが想像できました。「治療をした後が大事」という理念を大事にされている貴院で経験を積ませていただきたいと思っています。③
前職の総合病院の歯科部門では、総合病院ならではの困難な症例にも対応してきましたが、患者さまのその後を知る機会がなく、治療後の予防をしっかり行われているか気がかりでした。②
貴院で働く際に、今までの経験を生かしつつ、予防歯科の啓発や、長く定期検診に通っていただけるように患者さまとの信頼関係の構築にも努めていきたいと考えています。④
〈ここがポイント〉
応募先の理念や力を入れている診療への理解度が高いことが志望動機から読み取れます。また、今までの診療経験と前職ではできなかったことへの思い、それを今後応募先の歯科医院でどのように生かしていきたいかなど展望が具体的に示されているため、志望の思いが伝わりやすいです。
●審美歯科に注力している歯科医院の場合
〈志望動機 例文〉
前職は矯正治療を専門に従事しておりました。そのなかで矯正治療が終了した患者さまから「せっかく歯並びがきれいになったので、ホワイトニングもしたい」という声をお聞きする機会があり、トータルに診ることの必要性を感じ、総合的なクリニックへの転職を決意しました。①&②
貴院ではう蝕や歯周病の予防、嚥下機能の維持にもつながる取り組みも重視されており、貴院の「機能的にも、審美的にも『きれいな口元』をめざす」という診療方針に共感しました。③
また、○○院長は審美歯科の勉強会なども主催されていると伺い、そういった環境で勉強し、経験を積ませていただきたいと思います。
③ 今まで培った矯正治療のノウハウを生かしつつ、見た目の美しさだけでなく機能的な口腔内をめざし、多くの患者さまに笑顔になってもらえる診療をめざしたいと考えています。③④
〈ここがポイント〉
応募する歯科医院の特徴を捉えつつ、共感した点がわかりやすく述べられています。また前職で得た経験が応募先への志望動機につながっていることもわかりやすいです。応募者がめざしたい診療の方向性が応募先の理念とリンクしているので、採用担当者にも伝わりやすいでしょう。
●インプラント治療に注力している歯科医院の場合
〈志望動機 例文〉
貴院の「噛めることで患者さんの人生を豊かにする」という理念に共感し、志望いたしました。また、インプラント治療のための先端の設備や機器を導入されており、機能性・審美性の両面にこだわられている点にも大変魅力を感じました。①
幼少期に、祖母が入れ歯の不具合から「食事を楽しめない」と言っており、噛むことの大切さを感じていました。歯科医師になってからも、インプラント治療をはじめ、患者さまのQOLを上げる治療に終始してまいりました。②
大学病院ではインプラント治療の難症例の研究をしており、今後歯科医師として、治療としても対応していきたいと考えています。インプラント治療の年間実績が豊富な貴院で、歯の欠損によって思うように噛めないもどかしさを感じている患者さまの生活の質を向上できるよう邁進いたします。④
〈ここがポイント〉
インプラント治療に携わりたいという志望者の思いがよくわかる文章になっています。また前職での経験と、それに伴い応募先でどのような治療を行いたいと考えているかの流れもわかりやすいです。歯科医院の魅力についても言及しており、応募先を研究していることが採用担当者にも伝わるでしょう。
●訪問歯科診療に注力している歯科医院の場合
〈志望動機 例文〉
総合病院で10年勤務をしました。地域の歯科医院の紹介で来られる患者さまが多く、治療が終わるとほとんどの方が元の歯科医院へ戻られます。そのため長く一人の患者さまに寄り添うことは難しく、自分が治療した患者さまのその後が気がかりでした。こうした経験から、患者さまに寄り添い、長く支えていける歯科医療を追及したいと思っています。訪問歯科診療は、その患者さまに寄り添いながら口の健康を継続して守っていくことができる医療だと思っています。②
貴院では、「患者ファースト」を診療方針に掲げ、歯科医師・衛生士・事務スタッフというチームで訪問歯科診療に取り組んでおり、自分もそのチームの一員になりたいと志望しました。①&②&③
総合病院で数多くの難しい症例に携わった経験を訪問歯科診療の場でも発揮し、患者さまやご家族を支えていきたいと思います。また同時に、今個人的に取り組んでいる介護領域の勉強も続け、資格取得を計画しています。④
〈ここがポイント〉
これまでの経験から、訪問歯科診療に興味を持った過程がわかりやすく、意欲が感じられます。また新たな分野への興味や資格取得への努力など、訪問歯科診療に対する意欲が感じられる文章です。
5 【ケース別】志望動機の例文
続いて、「転職回数が多い」「アルバイト勤務を希望する」といったケース別の志望動機の例文を紹介します。自身のケースと照らし合わせ、応募先にフィットしたポジティブな内容にまとめる際の参考にしてみてください。
●転職回数が多い場合
〈志望動機 例文〉
さまざまな診療を学ぶために、3つの歯科医院に勤務し、一般歯科をはじめ矯正治療、小児歯科についても経験を積みました。②
多岐にわたる診療経験を積みたいと考えたのは、地域に根差したファミリーで通えるような歯科医院を理想と考えているからです。成人だけ、小児だけ、矯正だけに特化した治療が求められる地域もあると思いますが、○○市は長く住んでいらっしゃる方が多く、2世代3世代のご家族もあります。
ご家族皆で通える歯科医院である貴院は、私の理想とする歯科医院の形です。ご家族それぞれの希望や、年代に合わせた診療に携わっていきたいと考えています。①&②
まだ先のことになりますが、いつか開業できればという思いもあるため、長く診療を続けられている○○院長のもとで、歯科医師としての技術に加え、患者さまとのコミュニケーションの取り方や信頼関係の築き方など、歯科医院の運営も勉強させていただきたいです。①&④
〈ここがポイント〉
転職回数が多いとネガティブな印象を持たれてしまうこともありますが、今回の例文のように転職回数の多さに理由があり、それが新しい職場で生かされるのであれば、逆に転職を強みにすることができます。
また、経験から得た気づきと応募先の特徴を絡めることで、志望動機の魅力アップにもつなげられます。開業希望があることは、院長との関係性も考えて、志望動機に含めるかどうか検討してください。
●ブランクがある場合
〈志望動機 例文〉
一般歯科医院で7年間勤務しさまざまな年代の患者さまの口腔に関する診察・治療に従事していましたが、出産を機に現場を離れております。この度、子どもが保育園に入園したのを機に、長く働ける環境で再スタートしたいと考えました。子育ての中で、小児歯科の重要性を実感したことが小児歯科専門の貴院を志望する理由です。①&②
貴院では、キッズルームに珍しいおもちゃを取り入れたり、DVDが見られるように診療ユニットにモニターを設置したりするなど、お子さんが楽しく通えるさまざまな工夫や取り組みをされていることに感銘を受けました③
自身の子育て経験から、歯科医院へ子どもを連れて行く親の大変さも理解できるようになり、お子さんや親御さんの心理的負担を減らせるような治療をめざしたいと考えております。また、同じ親として保護者の方々と悩みを共有しながら、虫歯の予防や適切な口腔衛生習慣の教育など多方面からサポートをしていけるよう精進してまいります。④
〈ここがポイント〉
育児や介護でいったん現場を離れ、一段落したタイミングで復帰する人は少なくありません。ブランクがある場合、復帰を決意した理由や今後の仕事への意欲を採用担当者にはチェックされやすいので、しっかりと盛り込むと良いでしょう。また、志望先の歯科医院の研究もしっかりされていることが、文章からうかがえます。
ブランク期間の経験を業務へ生かしたいという前向きな姿勢を伝えることも大切です。
●アルバイト勤務を希望する場合
前職は一般歯科で5年勤務し、結婚に伴う転居で退職しました。その後出産・子育てのためしばらく休職していましたが、末子が小学生になったことを機会に復職を考えています。
貴院は、スタッフに子育て中の方が多く、多様な働き方を進められていると伺いました。③
皆さんが自分の仕事に誇りをもって生き生きと働いていらっしゃることに大変魅力を感じ、ぜひ貴院で歯科医師として新たな一歩を踏み出すことができたらと思います。①&③
また、貴院の「お子さんが通院したいと思う歯科医院」という理念のもとに、「こどもクラブ」といったお子さんが楽しみながら参加できる歯科プログラムを実践されていることに感銘を受けました。③
今後は治療だけでなく休職中に取得した食育インストラクターの資格を生かし、保護者の方への食育アドバイスや小児の歯科教育にも携わっていきたいです。②&④
初めは週3日の勤務を希望しますが、子どもの学齢が上がった後には、フルタイム勤務を希望しています。④
〈ここがポイント〉
柔軟な働き方を実践していることがこの歯科医院を希望した一番の理由ではありますが、それだけでは勤務条件だけで選んだ印象を与えてしまうかもしれません。ですから、この例文のように、応募先の歯科医院の診療方針への共感やめざしたい歯科医師像などを自分の強みとともにアピールし、応募先とマッチしていることを伝えるようにしましょう。
●未経験分野への応募の場合
〈志望動機 例文〉
前職は一般歯科で、う蝕・歯周病・根管治療を主に担当していました。②
近年の審美の需要の増加を感じて審美歯科に興味を持ち、早くから審美歯科に注力されている貴院を志望しました。①
貴院の「笑顔で帰れる歯科医院」という診療理念には、歯科治療で痛みが解消され笑顔になるだけではなく、「口に対してコンプレックスを持っている患者さまたちを笑顔にする」という意味も含まれているとお見受けしました。③
私も、外面の美しさだけでなく気持ちも明るくなり笑顔になれるようなサポートをしたいと思い、審美歯科に注力されている○○院長のもとで経験を積ませていただきたいと考えています。①
審美歯科の診療は初めてではありますが、これまでの治療経験や患者さまとのコミュニケーション・信頼関係の築き方などを土台にし、患者さまの要望をしっかりくみ取りながら、診療に取り組んでいきたいと思います。④
〈ここがポイント〉
なぜ新しい分野に挑戦したいと考えたのか、その経緯を述べることで「未経験であっても意欲が高く成長が期待できる」という印象を与える内容になっています。また、ただ「未経験」で終わらせずに、自分の今までの取り組みが、今後の仕事にどのように生かせるかを述べていることで、応募者の強みもアピールできています。
◇ ◇ ◇
今回紹介した例文を参考に、これまで経験してきたことや仕事を通じて磨き上げた強み、応募先に感じた魅力についてまとめましょう。志望動機は、面接の時にも聞かれる質問なので、面接でのやりとりを想定しながら、書いた後に声に出して読んでみることをお勧めします。家族や友人に読んでもらったり聞いてもらったりするのも、内容を客観的に判断してもらえて良いでしょう。
また、転職エージェントを活用するのも一つです。例えば「ドクターズ・ファイル エージェント」では、専任のキャリア・アドバイザーがあなたの転職スケジュールを一緒に考えてくれたり、希望を踏まえた求人紹介をしてくれたりするだけでなく、履歴書のチェックや模擬面接の実施といったさまざまなサポートを受けられます。このように「転職のプロ」の力を借りることも、満足度の高い転職活動を実現するコツといえるでしょう。
志望動機は自分と応募先がどれだけマッチしているのかを、採用担当者へのアピールはもちろん、自分自身でも理解する機会となります。自分らしく働ける職場に転職するために、志望動機にしっかり向き合ってみてください。 (ドクターズ・ファイル編集部)
・ポイント①簡潔にまとめる
文字数は200字~400字程度でまとめるのがお勧めです。志望先への強い思いを伝えたいという気持ちからあれもこれもと書きたくなってしまうかもしれませんが、ダラダラ書くより簡潔にまとめた方が、採用担当者に伝わりやすく、面接で志望動機を聞かれたときも答えやすいでしょう。
・ポイント②起承転結を意識する
文章を淡々と展開するのではなく、起承転結を意識してまとめることで、さらに読みやすい内容になります。記事の後半で紹介する例文を読むと起承転結のイメージがつかみやすいので、ぜひ参考にしてみてください。