副島デンタルクリニック (鹿児島市/天文館通駅)
副島 健太郎 院長の独自取材記事
鹿児島市電1系統・天文館通駅から徒歩1分、天文館バス停からも徒歩1分の「副島デンタルクリニック」は天文館本通りのアーケードの中にある。院長を務めるのは、歯科口腔外科を専門とする副島健太郎先生。インプラント治療を得意とし、インプラントを埋入する箇所に十分な骨がない場合に骨の再生を促すGBR法にも力を注いでいる。患者のさまざまな求めに柔軟に応じ、かつ満足いく結果を提供できるよう、知識や技術を習得し、医療者として研鑽を続ける副島院長。患者とフレンドリーな関係を築き、心理面での配慮も怠らない副島院長に、クリニックの診療方針や今後の展望を聞いた。
歯科医院を治療の場からメンテナンスの場に
このクリニックはお父さまから継承されたのですね。
はい。ここを開業したのは父ですが、祖父も鹿児島大学大学院医歯学総合研究科(旧・鹿児島大学医学部歯科口腔外科学)の教授でしたから、僕と弟は歯科医師3代目です。歯科医師になってからはしばらく県外で経験を積んでいたのですが、父が高齢になったのを機にこちらに戻ってきました。このクリニックは天文館という土地柄、住宅街にある歯科医院とはちょっと違う雰囲気だと思います。患者さんは高齢の女性が多く、治療はすでに終わっていて月1回程度のメンテナンスに来られる方がほとんど。長く通ってくださっている患者さんばかりで、中には30年以上お付き合いしている方もいます。フェリー乗り場のある南ふ頭からも近いため、種子島、奄美大島などから来られる方もいます。メンテナンスの他に多いのは、親知らずの抜歯ですね。僕が歯科口腔外科出身なので、普通は大学病院で抜いてもらうような難しい親知らずでも対応可能です。
虫歯治療で通われている方は少ないですか?
今は虫歯の方が減っていますよね。昔の小学校には虫歯だらけの子どもがいましたが、今はそういう子は少ないです。大人も同様で、虫歯が減っている代わりに増えているのが、審美的な修復です。最近は患者さんの美に対する意識も高くなっていて、小さな銀歯をセラミックに替えてほしいという方が多いです。かぶせ物は歯科技工士さんの力が大きいので、信頼できる方にお願いしています。クリニックに来てもらい実際に色などを確認してから作ってもらっています。治療後に鏡を見た患者さんが「え、どの歯でしたっけ」と言うのが僕の理想であり、当院がめざす治療です。メンテナンスや審美歯科にも力を入れ、矯正歯科の先生との連携も積極的に行っています。
院内の造りから、プライバシーへの配慮を感じます。
そうですね、よく考えた部分です。ユニットは全5台あり、うち3台は半個室、2台は個室にしています。治療の様子を他の方に見られないような造りにしています。これは、患者さんのプライバシーを守りたいという思いからです。また、カウンセリングルームも設けました。困ったことや治療についてのお悩みなど、あまり聞かれたくないこともあるでしょうから、患者さんの思いをしっかりとお聞きして、一人ひとりに合った治療を行うためにも、こちらで入念なカウンセリングを行っています。また、当院は1階が受付で、2階と3階が診療室になっているのですが、2階は自由診療、3階は保険診療と使い分けているんです。患者さんにリラックスして過ごしていただけるような空間づくりを意識しました。
正確性と安全性を重視したインプラント治療
特に力を入れて取り組まれている分野は何ですか?
インプラント治療は父の代から行っており、口腔外科出身である僕の得意分野です。ほとんどの手術でサージカルガイドを使っているのですが、これは、マウストレーのような装置で、手術の際に人工歯根をより安全かつ正確に埋め込むのに役立つものです。事前に歯科用CTで撮影したデータをもとに模型を作り、どこにインプラントを入れたらいいかを計画し、そのとおりにサージカルガイドを作ります。これを治療する部分にかぶせ、ガイドに合わせて骨に穴を開ければ、計画どおりの位置や深さ、角度での人工歯根の埋入が見込めます。難しい症例で、かつ患者さんが望まれた場合は、インプラント治療の分野で知られる大学の教授に来てもらい、手術を行っていただくこともあります。より安全に、患者さんが安心して治療が受けられる体制をめざしています。
インプラント治療においては、GBR法も行われているそうですね。
はい。GBR法は骨誘導再生法といい、インプラント治療を埋入するために必要な骨の幅や高さが足りない場合に行う治療法です。その他、骨をつくることによって入れ歯を安定させて長持ちすることも期待できます。虫歯や外傷で歯が抜けたり、歯周病などの原因で骨が痩せてしまった場合に、薬を使って人工的に骨の再生を促します。GBR法は、顎の骨が少ない方でもインプラント治療を受けられるようにするために行う他、インプラントが適切な部分に埋めやすくなることも見込めます。治療の安定性や安全性の向上や、長期経過が期待できるのもメリットと言えるでしょう。他の医院さんなどで治療できないと言われた方も、お気軽にご相談いただければと思います。
診療の特色について教えてください。
治療のデジタル化にも積極的に取り組んでいます。デジタルエックス線は10年以上前から導入。解像度の高い鮮明な画像を取得できる他、画像も即座に確認できるため、診断がしやすくなったり、患者さんの待ち時間短縮につながったりしていることを実感しています。また、歯科用CTも含めすべてオンラインで画像を見られるようにして、治療の質を高めていけるよう努めています。今後、より精密な補綴を作製できるようにデジタル印象を導入予定です。
今も勉強会などで技術や知識の習得に努めていると伺いました。
患者さんの望む治療を提供するためには、新しい技術や知識にもアンテナを張っておかなければなりません。なので、新型コロナウイルスの感染拡大前は月に2、3回は勉強会に行っていました。僕だけでなく歯科衛生士にもいろんな知識を持ってほしくて、歯科衛生士向けの勉強会やセミナーを受けてもらっていました。最近は、患者さんも治療に関していろいろとインターネットで調べていて「インプラントはどこのメーカーですか」「何という入れ歯を使っていますか」と質問されることもあると聞きます。それでインターネットと違う説明をすると指摘されるんです。「インターネットにはこう書いてあったよ」と。しかしインターネットの情報が必ず正しいとは限りません。患者さんに正しい情報をお伝えするためにも、僕たち自身がしっかり知識を身につけておかないといけないんです。
通いやすいクリニックづくりは患者との関係づくりから
日々クリニックで過ごす中で、うれしいと感じることはなんですか?
当院が患者さんにとって「日常生活の中で行って当たり前の場所」だと思っていただけていることを感じるとうれしいですね。当院に来院した後、お昼に近くでうなぎを食べてから百貨店に寄って帰るのがルーティンだと言ってくださるご夫婦がいらっしゃいました。当院に訪れるということが、日々の行動の中に溶け込んでいるのだと実感しました。
やりがいを感じるのはどんな時ですか?
「ありがとうございました」と言われる瞬間です。差し入れを持ってきてくれる患者さんも多くて、そういう気持ちがうれしいですね。僕は偉ぶったりするのが嫌いなので、診療ではよく冗談も言いますし、親知らずの抜歯前は「さあ頑張りましょうか」と明るく声をかけ、緊張をほぐしたりもします。スタッフにも患者さんの友達になりなさいと言っていて、みんなしっかり実践してくれていますよ。患者さんは歯のことだけじゃなく家庭の相談などもされますし、スタッフも自分の相談事を患者さんにしたりして、親密な関係性を築いています。中には「何もないけど会いに来た」という方がいたり、僕たちも「家に帰っても話し相手がいないなら、ここにしゃべりにおいでよ」と言ったり。診療室に笑い声が響いているので、初めて来られた患者さんが驚くことはよくあります。
読者へのメッセージをお願いします。
僕の出身である口腔外科は歯を抜くことがメインの診療科だと思われる方が多いですが、できるだけ歯を抜かないでいいように、使える歯を長く、大切に使いましょうという考えのもと治療を行っています。美容室やネイルに定期的に行かれるように、歯科医院にもメンテナンスやクリーニングにお越しいただけるといいですね。街の真ん中にありますので、お気軽にいらしてください。お待ちしております。