吉川整形外科・リウマチ科 (寝屋川市/萱島駅)
吉川 尚孝 院長の独自取材記事
近隣住民にとってのかかりつけ整形外科として、地域医療を支える「吉川整形外科・リウマチ科」。豊富な診療経験を持つ吉川尚孝(なおたか)院長が、一般整形外科はもちろん、多職種連携を生かした高水準なリハビリテーションや専門的な関節リウマチの診療なども提供している。「患者さんが元気に毎日を過ごせるように支えていきたいと思っています。そのためにも、整形外科領域なら何でも診られるように、これからも尽力していきます」と優しいまなざしで語る吉川院長。インタビューでは、同院の特徴や提供している診療などについて、詳しく話してもらった。
ニーズに応えるべく尽力する地域のかかりつけ整形外科
まずは吉川院長のご経歴を教えてください。
関西医科大学医学部を卒業後、複数の病院に勤務していましたね。その一つである香里病院は、規模が小さいことから診療の細分化をあえてしていませんでした。ですから当時は、さまざまな悩みに対する診療に携わることができ、幅広い経験を積むことができたのです。また、関節リウマチで悩む患者さんが多いという状況を痛感しました。「これは何とかしなければいけない。人任せにしておくことはできない」と感じ、関節リウマチをはじめとする各専門領域を突き詰められる体制が整っている、大規模病院でも勤務することに。そこで本格的に勉強を行い実践を重ねていくうちに、関節リウマチや膝・足などの関節、骨粗しょう症に対する診療が得意になりました。
どのような経緯で、現在の場所で開業されたのでしょうか?
この場所にはもともと、同門の先輩医師が院長を務めていた整形外科クリニックがありました。その先輩医師は、私が香里病院に勤務していた時からやりとりがあった方で、引退されるという際に「この場所で診療をやってみませんか?」と声をかけていただいたのです。地縁がない場所での開業となるので悩んだのですが、先輩が培ってこられた、患者さんとの信頼関係を強みだと考えて開業を決意しました。定期通院の患者さんも多かったので、「休業の期間はなるべく短くしよう」と思い、先輩が引退されてからわずか4日で当院をスタートさせましたね。
2024年頃から少しずつ院内設備の拡充を進められているそうですね。
そうですね。患者さんが増えたことから、以前の環境では手狭に感じるようになり、少しずつ院内を改装することにしたのです。待合室は待ち時間を気持ち良く過ごせるように、診察室は広々と使えるようにしました。また私が現在も近隣病院にて非常勤医師として手術を担当している関係で、当院には手術前後のリハビリのために通われる患者さんも多いんです。そのことから、2階のリハビリ室は機器や装置の配置などを変えてリニューアルしました。理学療法士と作業療法士も増やしたため、以前は1人ずつしかリハビリ室を利用できなかったところ、現在は同時に3人ずつ案内できるようになったんですよ。
連携を生かしたリハビリの他、多様な専門的診療を提供
こちらではどのようなリハビリを提供されているのでしょうか?
当院は、運動器疾患に伴う痛みの改善やQOLの向上をめざして、投薬・外科的治療・運動療法を組み合わせたリハビリを提供しています。リハビリの流れとしましては、私と運動療法士、理学療法士、それぞれが知識・技術・経験を生かしながら綿密に連携を取り、患者さん一人ひとりに沿った計画をご提案。そして、痛みの少ない生活をめざしていきます。リハビリというと、手術前後の訓練というイメージが強いでしょう。実際当院でも、手術前後のリハビリに関する相談は多いですね。ただ現代社会では、運動不足や高齢化に伴い移動機能が低下した状態「ロコモティブシンドローム」に対するリハビリも重要だと考えています。ロコモティブシンドロームの罹患率が高いのは高齢者ですが、最近は子どもや若者も増えていますので、日常生活上のさまざまな動作に支障が出てきたと感じたら年齢問わず早めにご相談ください。
吉川院長の専門である関節リウマチの診療について教えてください。
関節リウマチとは、免疫異常によって関節の滑膜などに炎症を起こして腫れや痛みを起こし、進行すると関節の破壊・変形や機能障害が起こる病気のことです。かつては「不治の病」といわれていましたが、現在では保険診療でも費用はかかってしまうものの、改善が図れるようになりました。当院では関節リウマチの診療の際、採血検査だけでなく触診や超音波検査も実施し、関節炎の診断を行っています。患者さんに実際に動いていただきながら体の状態や痛みなどを確認することで、しっかりと原因にフォーカスできると考えてのことです。治療法は従来の飲み薬をはじめ分子標的薬や注射薬など幅広く用意して、症状や患者さんごとに合ったものをご提案させていただいています。
骨粗しょう症の診療にも注力されているとお伺いしました。
ええ。骨粗しょう症は自覚症状がほとんどなく、骨折して初めて骨がもろくなっていることに気づくケースが多いんです。腰椎や股関節が折れて、そのまま寝たきりになってしまうことも多く、日常生活に大きな支障を来します。こうした事態を避けるためには、自身の骨密度を正しく把握し、必要に応じて予防や治療につなげることが重要です。そこで当院では、検査の精度の高いDEXA(デキサ)法の骨密度測定装置を導入しました。50歳を超えた方や検診で異常を指摘された方は、放置せずすぐに相談しに来てください。
足の外科とは、どのような診療を行うのですか?
巻き爪や外反母趾、偏平足などの治療を行っています。最近は、特に高齢の方に爪の変形や巻き爪、爪水虫などが多く、そうした方々のフットケアにも対応していますね。偏平足は運動療法である程度の改善が期待できることから、リハビリを提案することもあります。私は勤務医時代から10年以上にわたってフットケアの経験を積んできました。なぜなら、関節リウマチの患者さんの多くは関節の炎症の影響によって足の変形を来すので、そうした状況にも対応したいと思ったからです。足の外科に専門的に取り組んでいる整形外科クリニックはあまりないため、手術以外の治療法が見つからず困っている患者さんも多く来られている印象があります。足の痛みの治療をしていく力になれたら幸いです。
基本を踏襲しながら先進的な医療も取り入れる診療方針
東洋医学も取り入れられているそうですね。
勤務医時代、患者さんの訴えに対応するには西洋医学では限界があると感じて、自分自身で学んだり勉強会に参加したりするようになりました。例えば、坐骨神経痛そのものは良くなっているのに手足のむくみや冷えが残る、リウマチは改善しているのに手のこわばりだけが残るといった、副次的な症状に悩まされる患者さんがおられます。こうした症状に対する西洋医学の薬はなく、漢方薬で対応するようになったのです。また院内で鍼灸も行っていますね。
膝の痛みで悩んでいる患者さんも多く訪れるとお伺いしました。
たくさんいらっしゃいます。軽症の患者さんの場合は、投薬をはじめマイクロ波などによる物理療法と、運動器リハビリを組み合わせて対応しています。やや重症の方に対しては、関節注射による治療をご提案。それでも症状がコントロールできない場合は、手術についても検討します。膝の手術は入院と術後のリハビリが必要であるのに加えて、「怖い」など手術に対する負のイメージもあるため、手術を受ける方はまだ少ないのが現状です。ただ、特に重症の患者さんに対しては「痛みを我慢する回数の軽減が期待できますよ」などとお伝えして、不安の解消につなげています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
リニューアルによって基本となるリハビリの拡充が完了したので、次は認知症とそれに伴う運動機能の低下に対する治療・リハビリなど、より専門的な領域にも対応できように体制を整えようと考えています。基礎的な検査・治療はもちろん先進の医療も学び続けて、良いと思ったものが見つかれば積極的に取り入れていく予定です。そうして、多様なニーズに応えられる、地域にとってかけがえのない整形外科クリニックになれたらと思っています。ちなみに当院だけでは完結が難しいと判断した場合は、地域の病院とのつながりを生かして、症状や治療の内容に合わせた病院にご紹介するのでご安心ください。悩んでおられることや不安なことがある場合は、頼りにしていただけたら幸いです。