大西内科クリニック (堺市北区/三国ヶ丘駅)
大西 幸作 院長の独自取材記事
「大西内科クリニック」は、阪和線および南海高野線の三国ヶ丘駅西口から徒歩2分という、アクセスが便利な場所にある。開業から30年近くたっているとは思えないほど、清潔感のあるクリニックだ。大西幸作院長は、大阪労災病院で消化器内科医長として働く傍ら、2018年12月末、父である前院長の急逝を受けて後を継いだ。「限られた時間の中でも適切な検査を実施し、しっかりと診断した上で治療方針を検討することをモットーとしています。専門分野の消化器をはじめとする診療に誠実に向き合っていきたいです」と語る大西先生に、患者への想いや今後の展望などを語ってもらった。
消化器だけでなく心疾患、腎不全など慢性疾患の診療も
クリニックを継承して5年が経過されたそうですね。
はい。私の父である前院長が急逝し、2018年の12月から私が院長職を引き継いでから、5年ほど経過しました。当院は1994年の開業から30年の歴史があり、多くの患者さんが訪れます。特に年末は患者さんの数も多く、慢性疾患を持つ患者さんにとって大事なお薬を急に切らせるわけにはいきません。父が大切にしてきた患者さんたちのためにも、閉業する考えはありませんでした。ですから、大阪労災病院とクリニックをかけ持ちしながら勤務しています。
こちらのクリニックの特徴は何でしょうか?
私自身の専門は消化器内科ですが、当院では長年循環器内科の診療もしてきました。ですので、消化器疾患だけでなく、心不全などの患者さんも多く通院されています。消化器はもちろん、心疾患・腎不全を含めた全身管理ができる内科として健康をサポートできればという思いで、今も勉強会やセミナーで勉強し続けていますので、疾患に応じてご相談ください。また、2020年3月より大腸内視鏡検査の対応もスタートしました。日帰りであることに加え、鎮静剤を使用して苦痛が少ない状態で受けていただくことができますよ。ただ、当院は前処置のためのスペースが現在はありませんので、自宅で下剤を服用していただける方に限定しています。大腸がんは日本でも死亡率が高い病気ですから、早期発見につなげるためにも、40歳を過ぎたら一度検査を受けていただくことをお勧めします。
病院とクリニックを並行して診療される毎日はお忙しいのでは?
確かに毎日忙しいですね。ですが、患者さんとの会話が楽しくて毎日が充実していますし、周囲の協力もあって、より良い医療の提供につなげられていると感じています。長年勤めてくれているスタッフもいて、今後もクリニック全体で地域の患者さんに寄り添っていきたいと思っています。引き続き研鑽を積んで、この地域の患者さんに還元していくためにも、しばらくは二足のわらじで頑張っていきたいと考えています。
常にアップデートした医療を提供していきたい
日々の診察の中で、気をつけていることは何ですか?
地域医療は急性期医療と異なる部分があり、毎月定期的に受診いただくことで、体調の細かな変化に気づくことができます。また、当院では原則患者さん全員に医療者が血圧・脈拍測定を行っています。機械の血圧計を置くのではなく、医療者による測定を行うことは正直なところ手間ではありますが、精密な血圧管理が行えるのはもちろん、不整脈の発見が見込め、治療につなげることができれば脳梗塞の発症の予防も図れます。ここは循環器内科として歴史ある当院ならではのこだわりです。多くの患者さんを診ているので、なかなか一人ひとりのお話をゆっくりお聞きする時間は取れませんが、限られた時間の中で的確な問診を行い、適切な検査に基づいて診断をつけ、それに応じた治療を進めることを大切にしています。患者さんの求めのままに曖昧な見立てで診断をつけることはせず、本当に必要な治療につなげる姿勢を重視したいです。
ほかにも、院長に就任してからの変化はありますか?
父の代は紙カルテでしたが、まずは電子カルテを導入して心電図や超音波装置なども新たな機器に入れ替え、すべてのデータを電子カルテに連動させました。そして2019年8月にはクリニックの半分を改装して、内視鏡検査室と検査に対応したトイレを整備し、専門である消化器内科・内視鏡検査への対応を開始しています。また、高血圧などの生活習慣病や心房細動などの不整脈と密接な関わりがあることが示されている、睡眠時無呼吸症候群に対する在宅検査・CPAP治療も導入しました。あとは、患者さんからのご要望で、AGA(男性型脱毛症)や、実は原因として生活習慣病による動脈硬化が原因ともなるED(勃起障害)の治療も開始したことも、変化の一つですね。
近隣の医療機関との連携にも注力されていると伺いました。
病診連携は父の代から積極的に取り組んでいます。現在は私が大阪労災病院の消化器内科医長であることから、大きな病気があればすぐ、病院にサポートしてもらえる体制になっています。例えば、クリニックに十二指腸潰瘍の出血が疑わしい患者さんが来られた場合も、すぐに救急に電話して一緒に大阪労災病院へ行き、内視鏡検査を行うことができる仕組みを整えています。当院で内視鏡検査を行い、万が一悪性腫瘍が見つかった場合にも、速やかに連携を図ります。また、連携という点では当院のスタッフや近隣の薬局さんの存在も欠かせません。患者さん一人ひとりをよく理解していますから、お薬を変えた際は薬局の薬剤師さんが必ず確認の連絡をくれるなど、非常に助けてもらっています。日頃から連携を密にすることで「全員で地域医療を支えている」という一体感があります。
父のような信頼される医師をめざし歴史を継承していく
まさに、皆で支え合っている地域医療ですね。
そうですね。当院に長年通院してくれている患者さんからは、「先生が後を継いでくれて安心した」、「お父さんと似ているね」などと声をかけていただくことが多くて。父は心から患者さんと寄り添ってきたんだなと、改めて誇りに思います。そんな父の面影を残したいと、待合室では写真が趣味だった父の作品の数々をモニターに映し出しているんですよ。父の映像が流れると泣き出す患者さんがいるほどで、その様子を見ていたら、父が患者さんを支えてきただけではなく、多くの患者さんに父も支えられてきたのだと、地域医療の素晴らしさを感じました。「これからもクリニックをずっと続けてほしい」というありがたいお声をいただいているので、期待に応えていける医師になれればと思います。良いところは残しながらも、新しい時代にフィットした医療を提供し続けていきたいですね。
診療において心がけていることや、大切にしていることを教えてください。
「EBM(根拠に基づく医療)」を重視しています。EBMとは、勘や経験だけに頼らず、データや臨床研究に基づいたエビデンスのある医療を提供することで、患者さんによってより良い診療をめざすという考え方です。EBMの実践のためには、医師が専門性や熟練性を磨き、患者さんの価値観を踏まえた上で、適切な治療法を選択できる必要があります。これには知識や技術のアップデートが欠かせませんので、消化器分野以外にもさまざまな分野のセミナーや研究会に積極的に参加しています。セミナーには論者として登壇することもあるんですよ。多くの医師と学び合うことで先進の知識を取り入れて、当院の診療に還元したいと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
当院が誕生して30年。患者さんも80代、90代とご高齢の方が多くなってきました。老老介護や独居などといった状況の中で、通院さえも難しく感じられる方も多いと推測しています。そのような悩みは一人で抱え込まずに相談していただければと思います。また、大阪労災病院での急性期医療も引き続き並行して携わっており、消化器領域以外にも内科全般の先進の知識も入ってくることや、消化器疾患・心疾患・腎不全をまとめて診療できること、そして総合病院と同等の設備をそろえて、苦痛の少ない胃・大腸の内視鏡検査を実施していることは、当院の強みです。慢性疾患で複数の科に通い、ご自身だけではコントロールが難しかった方も、それぞれに応じた包括的でこまやかなサポートを実現することができます。まずは一度ご来院ください。