横江医院 (京都市下京区/大宮駅)
横江 信義 院長の独自取材記事
京都市下京区、阪急京都本線の大宮駅から徒歩約8分の場所にある「横江医院」。院長の横江信義先生は、小児科の医師であった母から同院を引き継ぎ、40年以上にわたり地域に根差して診療にあたってきた。理想とするのは、女性医師がまだ少なかった時代に、患者の話に真摯に耳を傾け、地域の人々に愛されてきた母のような診療スタイルだという。現在も、地元密着型の同院には、幅広い年齢層の患者が相談に訪れている。患者宅のみならず施設への訪問診療や往診も実施。加えて地域の園医や校医なども積極的に引き受け、「地域の顔」として尽力してきた。そんな横江院長に、医師になったきっかけから、診療方針、地域に対する思いなどについてじっくりと話を聞いた。
母から医院を継承し、40年以上も地域に密着して診療
先生が医師になろうと思ったきっかけについて、教えてください。
私の母は小児科の医師で、当院は母から継承しました。昔から当院は地元密着型で、母が近所の人たちの病気の症状や困り事を長い時間をかけてしっかりと聞き取る様子を見て、誇らしく思っていましたね。私が当院を引き継いだのは、1981年のことです。母が病気を患い、診療を続けるのが難しくなったため引き継ぎました。以来40年以上、この場所で診療をしています。
趣深くすてきな建物ですね。
ありがとうございます。院内は、清潔感のある明るいイメージの白を基調にしました。いろいろな医療機関を見て私なりに考えて、全体の造りも含めて自分で計画を立てたんですよ。今でこそ当たり前ですが、待合室にオープンカウンターを設けたり、廊下に1、2、3と番号をつけた部屋を複数作ったりするのは、地域の診療所として当時は珍しかったと思います。増改築をして、点滴のベッドを6台置ける大きな部屋も作りました。患者さん同士がおしゃべりしながら並んで点滴を受けることもできるんです。
こちらの診療内容や主な患者さんの層についてお伺いできますか。
当院の診療科目は一般内科ですが、とはいえ地域の開業医なので、皮膚のできものだったり、ちょっとしたけがだったり、内科以外のさまざまなご相談で訪れる患者さんも多いです。そのような場合、当院でできる範囲の処置はしますが、抱え込まずに、必要があれば専門の医療機関を紹介するようにしています。患者さんの層としては、小さいお子さんからご高齢の方まで、幅広くいらっしゃいます。小児科の医師である母からいろいろと教わりながら経験を積んだので、お子さんの治療をすることも多いですね。それから、母がいた頃に小児科の患者さんとして通っていた方で、現在大人になって来てくださっている方もたくさんいてうれしく思っています。体のことで何か困ったことがあったら、なんでも相談に来ていただける、そんな場所でありたいなと思っています。
訪問診療や往診、地域の活動にも精力的に取り組む
目標とする姿や、地域の人々への思いについてお聞かせください。
この町に根差した、地域密着型の診療所でありたいと思っています。やはり、患者さんに寄り添って皆さんに喜んでいただいている母の姿が、私の診療方針のベースにあるのだと思います。どんな症状でもなんでも聞きやすいと思ってもらえたらうれしいですね。診療時に意識していることは、じっくりその人の話を聞くこと。初診の患者さんでも、私の顔を見ると緊張しないと言ってくれる方が多いんです。皆さん緊張せずにリラックスしていろいろと話をしてくれるんですよ。
訪問診療や往診にも取り組んでいらっしゃると伺いました。
そうですね。当院の患者さんはご高齢の方も多いので、寝たきりなどで通院が難しくなった方に対しては、訪問診療や往診も積極的に行っています。1人で自転車やバイクに乗ってご自宅に伺っています。また、老人ホームなどの施設の患者さんも診させていただいています。地域の保育園や幼稚園の園医、小学校の校医もしていますよ。だいたいそうした活動は昼に行うことが多いので、日中は近所を走り回っているんです。
地域に根差した医療機関として、いろいろとご活動なさっているんですね。
やはり、地域の皆さんとふれあうのは楽しいですからね。ある保育園では、子どもたちから「ぽんぽん先生」と呼ばれているんですよ。診察する際に、聴診器で胸をぽんぽんとするからそういう名前になったらしいのですが、私が行くと、「ぽんぽん先生が来た!」と言って、子どもたちがみんな喜んで集まってくれるんです。保育園の先生も「ぽんぽん先生が来たから、みんなちゃんと並んで」なんて言ってくれて。そうするとみんなにこにこしながらいい子にして診察を受けてくれます。そうした地域の活動で顔を覚えてくださって、何かあった時に当院に来てくださる地元の方も多いですね。
何かあったら相談できる、地域のかかりつけ医として
休日の過ごし方についてもお伺いします。何かご趣味などはありますか?
時々ピアノを弾いて気分転換をしています。大学生の時にサークルの仲間とバンドを結成して、3年間ほどジャズ音楽を演奏していたんです。現在はバンドは組んでいませんが、家で好きな時にポロンポロンと弾いてますよ。ジャンルとしては、やはりジャズといいますか、軽音楽を楽しんでいます。
今後の展望や、将来に向けて何か志していることなどがあればお聞かせください。
現在から何か大きく変えるとか、新たに何かを始めるとか、取り立てて特別なことは考えてはいないんです。今後も今と変わらず、地域に根差して皆さんに喜んでいただける診療を提供していければと考えています。実は、息子も私と同じく医師で、ゆくゆくは当院を継いでもらえたらなと思っています。ただまだ若く、もう少し外で研鑽を積んだほうが医師としての力がつくと思うので、体が動くうちは、私が院長として頑張っていきたいですね。
最後に、地元の皆さんや患者さんに向けたメッセージをお願いいたします。
当院での診療と、往診や訪問診療、園医などの活動を通じて、地域に根差した地元密着の医療機関として長年医療に携わってきました。地域のかかりつけ医の役割は、何かお困りのことがあった時に、皆さんがいつでも気兼ねなく相談できる場所であることだと考えています。気軽に相談していただけるように、常日頃から町内のいろいろな施設や学校で地元の皆さんと関わりを持ち、顔を覚えていただけるようにしています。何かありましたら、ぜひお越しいただけたらうれしいですね。