細川歯科医院 (板橋区/板橋本町駅)
細川 仁 院長の独自取材記事
板橋本町駅A4出口からすぐのビル2階にある「細川歯科医院」。院内に入ると、受付でのスタッフと患者の何げないやりとりに温かさを感じた。細川仁院長は、幅広い歯科治療に高い技術力で対応することをめざすほか、歯科の問題の本質的な原因は生活背景にあると考え、食生活や生活習慣の指導にも注力し、問題を根本的に解決することを心がけている。また、患者との信頼関係を大切に、患者の心の問題にも対処するため臨床心理学を診療に実装している。2026年からは診療日も拡大し、より通いやすい診療体制となった。歯科医療に対して妥協のない情熱を持つ細川院長に、同院の取り組みや同院で働くスタッフの魅力などを聞いた。
「ただ治す」のではなく対話を重視した予防歯科に注力
貴院の診療スタンスを教えてください。
当院は、基本的に予防型の歯科医院です。いろいろな考え方がありますが、私がたどり着いたのはできるだけ歯を削らず、治療をしないこと。歯にとって再治療はダメージが大きく、行わないほうが長持ちするようなケースも多々あります。そのため安易に金属を外したり、削るなどの処置をしたりするのではなく、よほどのことがない限り治療は最低限にしています。その分予防を大切にしていて、患者さんに歯磨きの大切さをしっかりと伝えて、丁寧に歯磨きをしてもらいます。もちろん何かトラブルがあったら対処します。そして、いくら完璧に治療をしても生活習慣が悪いとトラブルになりますから、予防と同時に行う生活習慣の見直しの実践に力を入れています。
ただ噛めるように治療すれば良いわけではないのですね。
例えば、入れ歯でうまく噛めない患者さんがいたとします。通常は入れ歯を作り直す、あるいはインプラントを提案するなどの選択肢がありますが、それで終わってしまっては意味がありません。年齢とともに歯を失い、若い頃とは同じように噛めなくなるのは自然なこと。それを受け止めた上で、年齢に応じてやわらかいものをたくさん噛むように少しずつ変えていったほうがトラブルが起きにくいのです。患者さんの最終的な目的は、おいしく食べて幸せに生活をすることでしょう。ですから、その患者さんにとって幸せとは何かを話し合って、そこに向けて一緒に歩んでいくことが大切だと考えています。それに、虫歯も歯周病も感染症であるだけでなく生活習慣に影響を受けるものですから、しっかりと噛めるよう治療することに加えて、生活習慣を見直してもらい、ストレスなどの対処方法を一緒に探っていくことが重要なのです。
具体的には、どのようにするのでしょうか?
患者さんとの会話やコミュニケーションを重視し、その中から運動不足ではないか、規則正しい生活を送っているのか、間食や甘味料入りの飲み物を習慣的に取ってないかなど、日常生活全般に目を向けながら一人ひとりの問題点を探っていきます。また、生活習慣の影響を受ける虫歯と歯周病について理解を深めてもらうため、初診の患者さんにはできるだけお時間をいただき説明をしています。心の悩みが口の中の症状となって現れることもありますので、必要に応じて日常生活の悩みや不安についてお尋ねすることもあります。将来的に大きな問題が降りかかるだろうと予想される患者さんに対しては、別で個別にお話しする時間も設けていますよ。しかし、基本的には治療の合間に気兼ねなく何でも話せるような関係性や雰囲気が作れるようスタッフ一同努めています。
臨床心理学に基づき、心にも寄り添った治療を提供
先生は、心の問題に対処するため臨床心理学も学んでいると伺いました。
当院では患者さんとの会話やコミュニケーションを大切にしているとお話ししましたが、患者さんとの関わりを追求する中でたどり着いたのが臨床心理学でした。そして、勉強しているうちに、心の問題は決して他人事ではないことがわかりました。人は誰しも人間関係や仕事、お金、健康のことなど、何かしらの悩みを抱えて生きています。その悩みが原因でさまざまな身体症状を引き起こしますが、それは口の中にも現れます。例えば、食いしばりは主に睡眠中の無意識下で行われ、顎関節症や知覚過敏といったさまざまな症状の原因になるんです。学び始めて10年以上になりますが、学問的な裏づけをもって患者さんの心に寄り添えるようになり、今では歯科恐怖症やパニック障害など、歯科治療が難しい方の診療にも対応しています。
人の心と歯科は密接に関係しているのですね。
歯科恐怖症に対し、怖くない歯科治療をうたうクリニックは数多くあります。しかし、「不調からくる不安」「言葉では言い表せない症状」といった漠然とした恐怖に対しては、単に優しいだけの対応では長続きしません。やはり、その大元にある原因を知る必要があるのです。自分自身で抱えている悩みは、本人が気づいていなくても、体に何かしらの症状となって現れることがあります。その症状を口の中から事前に見つけ、患者さんにとっての大きな問題になる前に適切なアドバイスができれば、それこそが患者さんのためになると考えています。また、歯科医師は口の中の治療はできても、話の聞き方や伝え方は学んでいません。この点に関しても、臨床心理学から学ぶべきことは非常に多いと感じています。
現在、力を入れている診療はありますか?
ご自分の歯を残すための予防歯科と、精巧な入れ歯治療ですね。近年、歯を失った場合の選択肢としてインプラントのニーズが高まっています。当院でも以前はインプラント治療を行っていましたが、「抜歯を前提としたインプラント」と当院がめざす「歯を残すための予防歯科」は相反するもの。長期的なリスクやメンテナンスの難しさなども踏まえ、今はしっかり噛める入れ歯に注力しています。天然の歯から入れ歯に置き換わると、誰もがはじめは違和感を感じるものです。完成までに時間はかかってしまうものの、そのギャップをできるだけ少なくできるよう技工所とも細かく調整しながら、いくつになっても食べる楽しみを感じ続けられる、そんな入れ歯作りを心がけています。
診療日を拡大、訪問も視野に一生涯の歯のパートナーへ
最近、体制の変化があったそうですね。
多くの患者さんに来ていただけるよう、2026年1月から木曜日の診療をスタート。平日はフルタイムでの診療体制となりました。その分、診療時間の終わりを19時半から19時に変更し、私はフル稼働ですが、スタッフは完全週休2日制にしているので、診療日が増えても時間に余裕を持った働き方ができているのではないかと思います。また、退職や産休などの事情でスタッフの入れ替わりがあって、現在は新しいメンバーを含めた6人で診療を行っています。院長の私から見ても感じの良いスタッフばかりで、説明も丁寧、院内がより一層明るくなったと感じます。患者さんとの信頼関係を築く上でも、彼女たちの人柄や雰囲気は欠かせない要素ですね。
スタッフさんとのコミュニケーションで心がけていることは何ですか?
第一に、ゆとりを持って働ける環境を用意することです。時間と心のゆとりは一見、診療とは無関係に思えるかもしれませんが、スタッフ自身のゆとりそのものが、患者さんへの温かなまなざしと、良質で丁寧なケアにつながると考えています。あとは、仕事を丸投げしたりスタッフに怒ったりしないと決めて、できることは自分自身でやるように意識しています。院長がいい加減だと、どうしても一緒に働くスタッフもいい加減になってしまいますからね。もちろん役割分担はきちんとしながら、まずは私自身ができることをしっかりとこなす姿勢を見せることが大切ではないでしょうか。
最後に、今後の展望と読者の皆さんにメッセージをお願いします。
私たちは歯を治す場所だけでなく、患者さんが一生涯、ご自身で健やかに過ごすためのパートナーでありたいと思っています。生活習慣やストレスの管理といったものまで一緒に考える「治療で終わらないかかりつけ歯科医院」が理想です。そのためにも、いずれは訪問歯科診療にも取り組みたいと考えています。私自身、訪問歯科について勉強していかなくてはなりませんし、現時点で歯科医師1人体制であることからすぐにスタートというわけにはいきませんが、訪問歯科を長く経験したスタッフもいるため、いろいろアドバイスをもらいながら準備を進めていく予定です。これからも、「チーム細川」として皆さんのお口と心の健康を全力でサポートさせていただきます。