東京中野メンタルクリニック (中野区/中野駅)
大土 広将 院長、福良 洋一 副院長の独自取材記事
2021年に開業し、2024年11月に移転した「東京中野メンタルクリニック」。白を基調に、淡いブルーやピンクなどの優しい色でまとめられた院内は、心地良い空間だ。同院の院長を務めるのは大土広将(おおつちひろのぶ)先生。新たに迎えた福良洋一(ふくらよういち)副院長とともに、2診体制を整えている。同院は、不眠、うつ病、躁うつ病、不安障害、強迫性障害、ADHD(注意欠陥多動性障害)、認知症、パニック障害などに対応。患者とのカウンセリングに時間をかけながら、生活習慣のアドバイスや投薬治療を行っている。「患者さんの幸せのために」という情熱を持つ大土院長と、30年以上のキャリアを持ち絶大な安定感のある福良副院長は、互いを尊重し合うベストコンビ。そんな2人に診療や患者への思いを聞いた。
2人体制で、うつ病、ADHD、不眠などに対応
2021年に開業後、2024年に移転してリニューアルオープンされました。
【大土院長】私は山口大学医学部を卒業後、同大学の医学部付属病院などに勤務したのち、東京武蔵野病院でも経験を積みました。複数の病院の精神科で技術を磨き、どのような症状の患者さんでも全般的に対応できるという自信のもと、開業しました。移転は建物の老朽化に伴うもので、リニューアルオープンして内装も一新。清潔感のあるホワイトを基調に、当院のロゴカラーに合わせて淡いブルーやピンクの配色を壁面に施し、全体的に「優しく心が落ち着くような空間」を意識しました。
副院長の福良洋一先生が新たなスタッフとして加入されていますね。
【大土院長】9月から福良(ふくら)先生が加入され、私と2人体制を組んでいます。私は開業当初から、「中野区の患者さんは、すべて任せて」というくらいの意気込みを持ち、現在もその想いは変わっていません。しかし、患者さん一人ひとりに丁寧に時間をかけるので、私1人では新規の患者さんをお断りせざるを得ないことが多くなりました。そこで、福良先生にご協力いただくことになったのです。
【福良副院長】私は医師として30年以上のキャリアを持ち、大学病院や総合病院などの精神科で重度の認知症や統合失調症、うつ病、パニック障害、軽度の不眠症まで幅広い症状の患者さんを多く診てきました。一般企業からの紹介でメンタル不調を起こした患者さんを診ることも多く、産業医学の観点も生かして治療やアドバイスを行っています。
どのような患者さんが来院されますか?
【大土院長】当院ではうつ症状や不安症状はもちろん、心療内科・精神科全般の診療をしていますが、20~40代の働き盛りの方が中心です。人間関係や過剰な仕事量などに悩み、「仕事に行けなくなった」「仕事に行くのがつらい」というご相談が圧倒的で、休職を希望されている方も多いです。また、中野周辺は大学が多いこともあり、学生さんのご相談も珍しくありません。中でもADHDを疑って来院する方が多いように感じます。子どもの頃は気づかず、成人になってから「忘れ物が多い」「片づけができない」といったことで悩みを深くするというケースです。ADHDは自分の性格の長所や弱点を知って、うまく生活上の工夫をしながら弱点への対処を図り、必要に応じて薬物療法を取り入れた治療を行います。
丁寧なヒアリングでオーダーメイドの治療を
高齢者の認知症治療に注力しているそうですね。
【大土院長】認知症は物忘れ以外にも、不眠、せん妄、徘徊、暴力、うつ、妄想などが出現することがあり、これらを「周辺症状」といいます。物忘れは抗認知症薬で進行を遅らせることをめざしますが、周辺症状は薬で落ち着くこともあります。周辺症状の改善だけで、本人と家族の負担は相当減るでしょう。「最後まで家でお世話をしたい」と、施設入所を嫌がる家族もいますが、結果的に施設のほうが本人や家族にとって良い選択になるケースもあります。ぜひ一度、専門家のもとに相談に来てください。
【福良副院長】私は菅野病院に20年ほど勤め、認知症疾患医療センターで多くの認知症患者さんと向き合ってきた経験があります。軽度から重度の症状まで、積極的にご相談ください。ご家族も含めたケアを心がけています。
不眠に悩む患者さんも多いと伺いました。
【大土院長】不眠には入眠困難、中途覚醒など複数の種類があり、環境、精神疾患、喫煙、アルコールなど原因もさまざまです。眠れないことを「いつものことだから」と諦めていたり、一方では、朝から「今日は眠れるかな」と不安を募らせていたりする方も珍しくありません。当院は患者さんの状態を丁寧にヒアリングして、その原因や不眠の種類に合わせ、一人ひとりに適切な生活指導と薬物療法を提案します。働き盛りの方の中には不眠を放置し、うつ病などの精神疾患が潜んでいてうつ症状を悪化させ休職するケースも少なくないです。早期の治療が重要なので、「眠れないことがつらい」と感じたら、いつでも来ていただきたいです。当院には不眠の相談のみで来院される方も多いので、まずは「ちょっと相談してみよう」くらいに考えてほしいですね。
漢方を使った治療も行っているそうですね。
【福良副院長】患者さんの中には「精神科で治療すると、薬に依存してしまうのではないか」というイメージを持っている方もいらっしゃいます。しかし専門的な知識と経験のある医師の指示に従って飲んでいれば、そんなに心配しなくても大丈夫です。
【大土院長】依存性の弱い薬も多々ありますし、きちんと医師がコントロールしますから安心していただけたらと思っています。当院では薬の使用は必要最低限にとどめ、薬のメリット・デメリットについて十分に説明した上で、患者さんが納得した場合にのみ使用します。それでも抵抗を感じる方や、希望がある場合は漢方による薬物治療も可能です。
一人ひとりに寄り添い人生のパートナーに
診療する際に心がけていることを教えてください。
【大土院長】まずは細かな問診で、患者さんの抱える悩みや症状をじっくり聞くことを大切にしています。症状に限らず患者さんの幼少期から現在の環境、家族関係なども広く聞きます。また、症状、原因、体質、生活に合わせたオーダーメイドの治療を心がけています。例えば精力的に働く経営者が不眠になった場合、「できるだけ睡眠時間を確保して休んでください」と言うことが必ずしも正解ではありません。たくさん仕事をして成果を上げることが幸せである可能性もあります。その場合は、限られた時間の中でできるだけ休めるようにお手伝いしていく方法を提案します。
【福良副院長】皆さん、緊張して来院されると思います。決して患者さんを急かすことなく、ゆったり話していただけるよう配慮していますね。そのため私は笑顔を絶やさず、穏やかにゆっくり話す姿勢を心がけています。
スタッフさんの雰囲気がほがらかで、とても良い空気感をつくっていると感じました。
【大土院長】事務スタッフと看護師がつくり出す雰囲気の良さは、まさに当院の強みです。どのスタッフも毎日勤務しており、「いつ行っても、いつものスタッフがいる」という安心感が患者さんの安定に繋がります。笑顔を絶やさず、受付、検査室、会計などで声かけも怠りません。患者さんをよく見ているので、「今日はいつもと様子が違う」「不安そう」と敏感に読み取り、都度「今日はどうしましたか?」「心配なことはありますか?」といった声かけを行い、医師にも様子を知らせてくれるので診療に役立ち助かっています。
【福良副院長】スタッフ一人ひとりが臨機応変に患者さんに対応し、温かい雰囲気をつくってくれていると感じます。
読者へメッセージをお願いいたします。
【大土院長】患者さんには「損をしてほしくない・諦めてほしくない・幸せになってほしい」と思っています。幸せになるために心身ともに健康になるお手伝いをさせていただきたいです。一人ひとりに寄り添い、「人生のパートナー」のような存在になりたいですね。心療内科や精神科を受診するハードルは高いと感じる人もいて、真面目な人ほど受診をためらいがちです。しかし、受診を迷っていた患者さんが、「もっと早く来れば良かった」と言ってご帰宅される事も多いです。些細な症状が悪くならないうちに、ご相談ください。
【福良副院長】中野にある精神科クリニックの中で、最も信頼される存在になることをめざしています。「来て良かった」と思っていただけるように力を尽くします。小さな悩みでもかまいません。お気軽に来ていただきたいと思っています。