祖師谷みちクリニック (世田谷区/祖師ヶ谷大蔵駅)
チータム 倫代 院長の独自取材記事
「祖師谷みちクリニック」は、院長のチータム倫代(みちよ)先生が、鹿児島大学、東京大学、国立国際医療研究センターなどで研鑽を積んだ後、2011年に同院を開業した医院だ。2022年にはリニューアルも行った。同院では保険診療を中心に、皮膚科と形成外科全般に対応する他、超音波検査、形成外科手術も行う。さらに漢方薬による治療も30年以上にわたって実施。皮膚疾患以外の悩みも受けつけている。「家族3代で通ってくださる患者さまも多いんです」とほほ笑むチータム院長に、クリニックの特徴や地域診療への思いについて聞いた。
保険診療を中心に、地域に根差して家族の健康を守る
開業されて14年、3年前にはリニューアルもされたそうですね。
2011年にこの祖師ヶ谷大蔵で開業しました。活気のある商店街に位置しているこの場所は、一目で気に入りました。開業して10年を迎えた2021年にビルの建て替えとなったため、同じ商店街の別のビルに一時場所を移して診療を続け、2022年にこの場所に戻り現在に至ります。リニューアルにあたって、内装をピンクやオレンジなどの明るいカラーで統一し、訪れた患者さんがほっとしたり元気が出る空間をめざしました。当院はそれほど広くはありませんが、2面から採光があるため明るい空間となっています。また、この土地は穏やかな方が多いのが特徴で、当院の患者さんも優しい方が多いです。
クリニックの特徴を教えてください。
診療科目は皮膚科と形成外科で、保険診療が中心です。今現在、美容をメインとせず保険診療中心の皮膚科は、少ないのではないかと思います。また皮膚科では珍しく、超音波検査も行っています。超音波検査では主に皮下の腫瘍を精査します。保険診療内での漢方薬治療も行っている他、形成外科では週に2回手術も行っています。その他に、各種ワクチン接種も行っています。できるだけ痛くない接種を心がけています。患者さんは地域の方たちを中心に、赤ちゃんからお年寄りまで年齢層は幅広いですね。ご家族3世代で通ってくださる方が多くうれしく思っています。私自身、プライマリケアに注力しているため、幅広く診ている感じですね。また、皮膚科の医院は清潔であることが大切という考えを持っており、新型コロナウイルス流行以前からしっかりした換気と診療室内の消毒を重視し、常に患者さんに影響が出ないように努めています。
来院される患者さんの中でも多い疾患はどのようなものでしょうか?
多いものは湿疹や皮膚炎全般、アトピーや花粉症などのアレルギー性疾患、外傷などでしょうか。年齢層でいいますと、小さいお子さんはイボや水ぼうそうのようなウイルス感染症やとびひなどの細菌感染症、ケガ、子どもから青年はアレルギー疾患やヘルペスなど、お年寄りは水虫や免疫が下がることで発症する帯状疱疹などが多いですね。また、新型コロナウイルスの流行が落ち着いた後、人と接することが増えてきたため、とびひや溶連菌、子どもの水イボなど感染性の疾患が再び増えてきました。その他は、じんましん、しみ、ほくろ、皮膚や皮下の良性腫瘍、皮膚がん、傷痕の相談など患者さんの疾患は広範囲に及びます。
超音波検査、形成外科手術、漢方薬治療と診療は幅広く
ワクチン接種と帯状疱疹について教えてください。
インフルエンザ、帯状疱疹、子宮頸がんなどのワクチン接種を行っています。中でも帯状疱疹ワクチンは国の助成が始まってから受ける方が増えてきました。この疾患の特徴は人によって発症する箇所が異なることと、痛みが長引く場合もあるということです。疱疹は神経に添って帯状に発症し、チクチクと刺すような痛みが現れます。その疱疹は体の半分に出て、真ん中を越えないことも特徴です。しかしごくまれに両側に疱疹が発症する方もいらっしゃいます。治療は飲み薬と塗り薬です。治療にかかる期間にも個人差があり、早い方は3週間前後で治療を終えますが、長くかかる方は何年も痛みが続く場合もあるなどさまざまです。痛みが長引く方にはペインクリニックをご紹介したり、補助的に漢方薬を処方したりしています。
漢方薬の治療についてお聞かせください。
漢方薬の治療は西洋薬では対応ができない、何となく体調が優れないといった症状に適しています。例えばお肌のトラブルや、体が重い、顔や足がむくむ、めまい、憂鬱な気分、イライラ、PMS(月経前症候群)に伴う諸症状など幅広い症状に対応します。もちろん、検査の結果心臓や肝臓や腎臓などに問題がないこと、めまいの場合はメニエール病ではないこと、内耳などに問題がないことを確認し、それでも症状があるという場合が漢方薬の治療対象となります。当院では保険診療内での漢方診療を行っており、皮膚疾患以外のご相談も受けつけています。西洋薬が1つの症状に対応するのとは対照的に、漢方薬は気の巡り、血の巡り、体内の水分バランスの改善が図れ、全身の状態を整えることが期待できます。服用を始めてから効果が見込めるまでの期間は薬によって異なり、数週間を要する漢方薬がある一方で、こむら返りに処方する漢方薬は2~3分で効果が期待できます。
超音波検査や、形成外科手術も行っているそうですね。
超音波検査装置は主に皮下の腫瘍を調べるために使用します。超音波検査を行う皮膚科は少ないため、他の医院から患者さんを紹介されることもあります。医師になってから最初の8年間、小児外科や消化器外科という超音波検査装置を使用する部署で勤務した経験が現在に生きています。また、毎週月曜日と木曜日の午前中には、局所麻酔でできる範囲の形成外科手術も行っています。当院では対応が難しいケースの場合は、関東中央病院や虎の門病院、各大学病院など提携している病院をご紹介します。
患者一人ひとりに合わせた細かな治療と指導を提供
患者さんに接する時に心がけていることは何ですか?
患者さんのお話をしっかりと聞き、きちんと皮膚を見ることを大切にしています。それにより患者さん一人ひとりに合った治療を行えます。患者さんの年齢、肌質や疾患の部位などで軟膏の調合具合も変えます。症状の重さに関わらず、疾患に関する患者さんの悩みは同じですので、すべての患者さんに対し丁寧な対応を心がけています。また日常生活の見直しによるスキンケアのアドバイスも行います。例えば室内の加湿、保険適用の保湿剤の活用、刺激の強いせっけんを避け、固形せっけんを泡立てて顔や体を優しく洗うことなどで肌質の改善が望めることがあります。更に顔や手のしみや、性別を問わず薄毛に関する相談も受けつけています。女性も年齢とともに髪の毛は薄くなるものですので、悩まずにぜひ一度ご相談ください。
お忙しい中、休日はどのようにお過ごしですか?
十数年来の社交ダンスと子どもの頃に始めたバイオリンは今も続けています。中でも三十数年にわたり所属してる全日本医家管弦楽団での活動の他、やはり医師仲間で組んでいるカルテットの活動も15年を越えました。さらに2014年からは毎年ワールド・ドクターズ・オーケストラに参加しています。このオーケストラは世界60ヵ国以上、2000人の医師で構成されていて、開催地も欧州、アジア、中東、アフリカと毎回さまざまです。昨年はシチリア島で演奏してきました。コンサートは年に4回行っており、1セッションにつき60人から90人が招かれて参加できます。開催国や演奏曲を確認し、やりたい曲や行きたい国、自分のスケジュールなどを勘案して、毎年1回エントリーしています。開催地ではメンバーたちと音楽についての話や、それぞれの国の文化の違いや医療現場の話に花が咲き、演奏とともに楽しいひと時を過ごしています。
今後の展望と、読者へのメッセージをお聞かせください。
できるだけ長く続けていきたいと思います。開業時に小さい子どもだった患者さんが、大学生や社会人になった姿を見るのはうれしいですね。また、新型コロナウイルスが流行する前は、患者さんはちょっとしたけがや虫刺されでも当院に来てくれていたのですが、流行した後は、インターネットで病気や対処方法を検索して自己流で治そうとし、かえって症状を悪化させてから来る方が増えました。おそらく新型コロナウイルスの流行を境にネットの情報が急激に発達したせいだと思いますが、こじらせると回復までの時間が長引いてしまいます。疾患は症状が軽い時のほうが治療しやすいため、不調を感じたらできるだけ早く来院していただきたいと思っています。お困り事があれば、いつでも気軽にお越しいただけるとうれしいです。