池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック 東京豊島院 (豊島区/池袋駅)
柏木 宏幸 院長の独自取材記事
池袋駅東口から徒歩3分、にぎわうサンシャイン通りのビル6階に開業した「池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック 東京豊島院」。院長の柏木宏幸先生は内科診療に幅広く対応しながら、内視鏡検査の普及に尽力している。女性の意見を取り入れて、女性が安心して検査を受けられる環境が隅々まで整っている。内視鏡をモチーフにした木に仲良く止まる2羽のふくろうのロゴマークも印象的だ。待合室には1人がけソファーが並び、それぞれに電源を配置。壁紙や調度品をホテルのようにしたのは「クリニックらしさをなくすことで、気軽に来て、検査を受けてほしいから」という柏木院長に、診療にかける思いなどを詳しく聞いた。
ホテルのような空間で気軽に胃と大腸の内視鏡検査を
ラグジュアリーホテルのようなホスピタリティーと、親しみやすさもあるクリニックですね。
働き盛り、子育て世代の女性でもお子さんと気兼ねなく足を運んでいただけるようなクリニックをめざしています。待合室の大きな黒板で自由にお絵かきしながら待っているお子さんもいるなど、一緒にお子さんも来院されています。そのほか、老若男女さまざまな患者さんがいらっしゃいますが、ターミナル駅至近のためか遠くからの方も多いですね。内科一般に対応していますが、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病から花粉症、私が専門としている消化器の分野まで気軽に相談できるかかりつけ医としてお役に立てればと思っています。
胃と大腸の内視鏡検査に力を入れていると伺いました。
内視鏡検査室は2つあり大学病院と同じ先進機種を使用しています。胃と大腸の同日検査もできますし、大腸内視鏡検査では同時に大腸ポリープ切除も可能です。麻酔科を専門とする医師が監修した鎮痛剤・鎮静剤も使えますし、下剤を自宅で飲んだり院内で飲んだり、合計6種類の検査を選択できます。早朝や土日の検査にも対応しているのは、できるだけ多くの方に検査を受けてほしいという思いからです。基本的に完全予約制ですが、空きがあれば胃内視鏡検査は予約なしでもできます。大腸内視鏡検査は基礎疾患がなければ前日予約で対応できる場合もあるのでご相談ください。
内装も美しく、検査を受けに来たのを忘れてしまいそうです。
1フロア100坪と広いスペースを確保できたので、男女の検査が重なっても女性が男性と顔を合わせずに済むよう動線にも配慮しました。プライバシーを重視した7つの下剤室、その目の前にある4つのトイレは、それぞれ異なる壁紙にしました。ホテルのような洗面台や鏡を設置した女性専用パウダールームで、女性スタッフが「これなら恥ずかしくない」と厳選した検査着、ガウンに着替えたらいよいよ検査です。検査では精度の高い検査を短時間に行い、洗練された手技で苦痛や不快感を最小限にできるよう努めております。検査後は天井を星空で彩ったリカバリールームで休憩できるようにしました。大腸がんは長年にわたり日本女性の死因になるがんのうちで第1位ですが、内視鏡検査を受けにくいと感じている方が多いのも一因だと考えています。男性医師でも何ができるのか女性医師とよく話し合い、女性が検査を受けやすい環境を考えました。
内視鏡検査による早期発見と治療の普及が目標
内視鏡を専門とする医師を志すまでの経緯を教えてください。
大学卒業後は沖縄の群星(むりぶし)沖縄臨床研修センターへ赴きましたが、複数の市中病院を回りながら数多くの臨床にふれたのは貴重な経験でした。そんな日々の中で内視鏡に出会い、たちまち夢中になりました。特に大腸は個性豊かで、内視鏡を入れやすい角度も患者さんによって異なり、どうしたら痛みが軽減できるのかは医師の腕の見せどころです。経験を重ねるほど上達するので、どんどんのめり込んでいきました。「一度、つらい思いをしてから内視鏡検査から遠ざかっていた」という患者さんが来たときなどは同じような思いをさせたくないと、一生懸命になりました。実際「楽に受けられたよ」と患者さんから言っていただいた時はとてもうれしかったです。一方で検査を重ねると悔しい思いもたくさんしてきました。
悔しい思いとは、どのようなものですか。
「もっと早く検査に来てくださっていたら」という思いですね。胃がんはピロリ菌、大腸がんは大腸ポリープが主な原因で、早期にピロリ菌を除菌したり、大腸ポリープを切除すれば、多くの消化管がんは予防することが望めるのです。早期がんであっても、比較的侵襲が少ない内視鏡治療で治すこともめざせます。沖縄から東京に戻った後は東京女子医科大学病院消化器病センターに勤務しましたが、そこでも消化器疾患で大変な思いをされる多くの患者さんと出会い、一人でも多くの人が日常生活に戻れるよう治療にあたってきました。その後、訪問診療に2年ほど携わっていたのですが、がん終末期の方の看取りをたくさん経験しました。患者さんたちとの出会いの中で「内視鏡を専門とするスキルを生かして、もっと役立てることがあったのではないか」と原点に戻り、開業することを決意しました。
こちらに開業したきっかけは何だったのでしょうか。
練馬区、板橋区で生まれ育ち、池袋は子どもの頃からよく自転車で遊びに来ていました。このビルの前身は大型ゲームセンターで、兄弟で通った思い出の場所だったんですよ。今はすっかり新しくなり、ドラッグストア、100円ショップ、エステ、美容室などが入居しているので、患者さんが検査のついでに立ち寄る楽しみなどもできるのではないかとも思いました。とにかく、気軽に内視鏡検査を受けられる環境が大事です。胃の内視鏡検査ではピロリ菌が見つかったら、大腸の内視鏡検査ではポリープができやすければ定期的な検査がお勧めです。また40歳を過ぎたら1度は検査に来てほしいです。がんだけではなく、潰瘍性腸疾患、クローン病などが見つかる例もありますので、おなかのことで心配があれば、20代、30代の検査もお勧めしています。
患者の10年後の幸せをかかりつけ医として守りたい
診療で大事にしてきたことをお聞かせください。
患者さんの気持ちに寄り添うことでしょうか。患者さんが「相談しにくい」と、感じることのないよう、きめこまやかに耳を傾けていきたいです。いつも「患者さんが自分の家族だったらどうするか」という視点を忘れないようにしています。
大事にされているチーム医療について教えてください。
内視鏡検査について経験が豊富な医師の存在や、麻酔監修の医師の存在が当院の安心安全に配慮した検査につながっています。また、内視鏡を専門とする医師は男性が多い中で頑張っている女性医師が、家庭と両立して働きやすい環境をせめて当院の中だけでも整えたいです。そして、チームで協力して内視鏡検査をもっと普及させていくのがミッションだと思っています。当院のチーム医療で少しでも多くの命を救っていきたいです。自分の今までの経験を発揮していきたい方、未経験や経験が浅くても今後自身のキャリアアップのため成長していきたい方、一人でも多くの命を救うため頑張っていきたいと思う方々と一緒にクリニックを盛り上げていけたらと思っています。当院はスタッフの方々が圧倒的に成長できる環境も整っていますので、今後同じ志を持つ仲間が増えていくことも楽しみです。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
「内視鏡検査は人間ドックでなければ受けられない」と、ハードルの高さを感じている方も多いのですがそんなことはありません。私たちのクリニックでは患者さんの状況に応じて保険診療で対応していますし、検査を予約する前に「どんな検査をするのか、話だけ聞かせてほしい」というので来院していただいても構いません。また高度医療が必要と判断された場合にも、東京女子医科大学病院、日本医科大学付属病院、がん研有明病院、東京山手メディカルセンターなどの連携医療機関に紹介することもできます。10年後の幸せのために、今できることがあります。患者さんご自身のためはもちろん、ご家族やお友達の笑顔のためにも、かかりつけ医として健康を見守るサポートをさせていただければと思っています。