かせだ整形外科 (横浜市保土ケ谷区／和田町駅)
加世⽥ 圭⼀郎 院長の独自取材記事
相鉄本線・和田町駅から徒歩7分の「かせだ整形外科」。関節病分野をはじめ数々の経験を積んできた加世田圭一郎院長は、2025年5月に城武俊前院長から同院を継承した。テーマに掲げたのは「優しさ」。前院長時代からの長所はそのままに、乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層の診療を行っている。変形性膝関節症に対する新たな診療の導入や、駐車場の倍増など、さまざまな取り組みも進める加世田院長に、クリニック継承の経緯や診療の際の心がけ、変形性膝関節症治療の詳細などについて聞いた。
「地域医療経験を生かしたい」と地域密着の医院を継承
2025年5月にクリニックを引き継いだと伺いました。
大学卒業後、鹿児島大学整形外科に入局し、医局人事にて関東の研究施設や病院に出向しました。子どもの就学などの事情もあり、医局人事としては異例ですが出向先でそのまま退局を選びました。川崎市内の整形外科クリニックに勤務しながら、さらに経験を積み上げるべく研鑽を重ねている最中、城整形外科が閉院を検討されていると知り、前院長の城武俊先生とお話しして、継承させていただくことになりました。これまでの経験を存分に生かして地域の皆さんに還元していきたいと思っております。
これまでのご経歴を教えてください。
鹿児島県内で勤務していた頃は、種子島など島部を含む地域医療に従事し、ご高齢の方の変性疾患や、肩・首・腰・膝などの痛みへの対応、骨粗しょう症などの診療を経験しました。その後、医局人事の出向で理化学研究所での研究にも携わったほか、スポーツ整形分野に強みを持ち、手術も多く実施している関東の病院にも勤務してきました。当院ではご高齢の患者さんが多いので、これまでの地域医療経験、特に力を入れてきた関節病領域の専門知識を生かしていきたいです。膝関節の痛みに対応する低侵襲治療で多くの患者さんの悩みを解決していきたいですね。
診療理念や、医院運営で大切にしていることを教えてください。
診療理念は「優しさ」と「安心感」です。「何を言っても怒られない」「ゆったり安心して通える」と感じていただきたいと思っています。患者さんが穏やかな気持ちで継続して通っていただけるように、また患者さんが「話しやすい」と感じられるように、多様な個性を持つスタッフが関わる温かいクリニックをつくり、優しさと安心感をお届けできたらと考えています。また、相反するようですが、できる限り待ち時間の負担を減らすことも大切にしています。電子カルテの導入や、看護師や医療クラークらとの連携強化、スタッフ間の役割分担の明確化で、診療がスムーズに進むよう努めています。どうしても生じてしまう待ち時間も、少しでも快適に過ごせないかと、スタッフと日々相談しています。
膝の痛みの緩和を目的に、新たな治療法も導入
患者さんに接する際に心がけていることはありますか。
マスク越しでも伝わるような「笑顔」を心がけると同時に、声のトーンなど、言葉以外の部分でも安心していただけるように意識しています。また、症状や治療内容の説明時には、模型やイラスト、パンフレットなどの資料も活用し、より理解しやすくなるよう工夫しています。さらに、現在は動画の活用も少しずつ始めており、待合室のモニターで病気や薬に関する説明映像を流すことで、診療中の口頭説明に加えて、待っている間も動画から理解を深めていただけるよう努めています。モニターに加えて駐車場やトイレも増設し利用しやすい環境を整えました。患者さんからも好評いただいています。
力を入れているという変形性膝関節症の療法について教えてください。
ヒアルロン酸注射、リハビリ、湿布が基本で、まず勧めますが、それでも痛みに悩まされるかたには末梢神経ラジオ波焼灼療法も提案します。末梢神経ラジオ波焼灼療法は、変形性膝関節症による膝の痛みに対応する新しい治療法です。保険適用ですが、まだあまり普及していないかと思います。疼痛管理用高周波システムにより、患部に15本ほどある神経のうち3本にアプローチし、痛みを感じにくい状態をめざします。年単位で痛みの緩和を持続させるための小手術です。骨や関節にアプローチする従来の整形外科治療や、金属を体内に入れる人工関節手術とはアプローチが大きく異なりますが、侵襲が少なく、患者さんの抵抗感も少ないと感じています。年齢制限は特になく、高齢者や合併症のある方でもリスクが低いため、人工関節手術が困難な患者さんにとっても有用な治療法です。
具体的にはどのような施術でしょうか。
痛みを感じる神経にラジオ波という高周波を流して焼灼する小手術です。時間は片膝20～30分程度です。治療を終えたらすぐにご帰宅いただける日帰り手術です。60度ほどの熱が生じますので、患者さんによっては熱さや痛みを感じることもあるかもしれませんが、麻酔を用いますのでご安心ください。保険診療ですので、しっかり手順、基準が設けられています。施術前には必ずテストブロックをし、様子を見てから治療に進むため、術後のイメージを確認してから本番に臨めるのも大きなメリットです。そのほかにも、患者さんの状況、状態に合わせた別の治療法もご提案させていただいています。
地域に頼りにされ、不安を取り除けるような場所に
リハビリテーションについても教えてください。
広々とした専用ルームを備えています。「落ち着いた」「安らぐ」「和やかな」といった言葉がよく似合う空間で、穏やかな時間が流れているのが特色ですね。交通事故後の長引く症状などに対するリハビリテーションにも力を入れるなど、前院長時代に築かれたその特長を引き継いでいますし、いつまでも大事にしていきたいですね。より多くの方々に充実したリハビリテーションを提供できる場にしていけたらと考えています。
スタッフさんは前院長時代から引き続き勤務されている方々だそうですね。
院長が変わってからも、スタッフが変わらず勤務してくれていることに非常に感謝しています。皆、親しみやすい人柄で、患者さんに対してもとても優しく接してくれる人ばかりです。当院に根づいてきたこの風土を守りながら、患者さんにとってより通いやすい環境にしていけたらと思っています。
今後の展望と、地域の方へのメッセージをお願いします。
地域に根差し、地元の皆さんが自然と頼れる場として思い浮かべてくれる、そんなクリニックをめざしています。5年後には「日常、八王子街道を通る人ならみんな知っている、街角の青いクリニック」として親しまれる存在にしていきたいですね。10年後には「優しい、とても通いやすいクリニック」としてクチコミで広がっていたりすると最高にうれしいですね。人工関節に進む前のさまざまな治療法を提案することで、地域の皆さんの痛みや不自由を和らげる場所になれたらと願っています。リハビリテーションも含めて通いやすく、もちろん膝以外の悩みでも気軽に相談できます。優しいスタッフと優しい空間で誰でも安心して足を運べる、笑顔あふれるクリニックつくりあげていきたいです。
