むらた整形外科 (福岡市西区/今宿駅)
村田 大 院長の独自取材記事
今宿駅から徒歩約10分、国道202号沿いにある「むらた整形外科」は2022年6月に開院。膝・肩・腰の痛みをはじめ、地域住民の身近な関節痛の改善に向けた診療にも取り組んでいる。村田大院長は整形外科領域の中でも特に手を専門とし、勤務医時代には切断してしまった指の接合や手指の腱の手術などにも携わってきた。現在もクリニック内に手術室を設けてばね指、手根管症候群などの外来手術に対応する他、提携病院の施設を使った入院を伴う手術も行う。「専門である手外科領域に加え、大きな病院では対応してもらいづらい肩凝りや腰痛の予防などを含め、よりきめ細かな診療をめざしたい」と意気込む村田院長に、専門領域である手外科の特徴や対応する疾患、院内で行う手術、そしてスタッフとめざす今後の姿などについて語ってもらった。
地域の元気をサポートするかかりつけ医をめざす
村田院長は「手外科」を専門とされているそうですね。
整形外科には肩や腰、膝などの専門分野がありますが、私は肘から指先までを診る手外科を専門としてきました。特に指に痛みやしびれが出て物がつかみにくくなる手根管症候群の手術だけでも数多く経験しています。その他にもばね指をはじめ、解剖学を熟知した上で行うテニス肘の手術、指の人工関節や母指CM関節症の手術、指の靱帯縫合、グロムス腫瘍、へバーデン結節、上肢の軟部腫瘍の手術など、前職の溝口病院にて多数経験してきました。九州大学病院や九州医療センター、飯塚病院、浜の町病院、広島赤十字・原爆病院、登別厚生年金病院での勤務医時代には、手以外の分野にも数多く携わってきました。開業を考えたのは、患者さんたちを長く見ていく中でもっと寄り添ったきめ細かなケアが必要なのではないかと感じたからです。手外科を専門とする医師として社会に貢献しながらも地域に寄り添った医療を届けていきたいと思い、今宿での開業を決意しました。
どのような医療を提供したいとお考えでしょうか?
がんの治療など命に関わる診療科は人の寿命を延ばすことを目的とした診療科ですが、整形外科は患者さんの人生を太くするための診療科だと考えています。膝が痛くて歩けない場合、治療をしなくても生きてはいけるでしょうが、歩けないことで生活の質は下がります。体は弱ってしまいかねませんし、結果として寿命を縮めてしまうことになるかもしれません。そうならないために治療を通して患者さんの人生を明るく導き、人生を太くすることをめざし、その結果、長生きにつなげていく魅力ある領域だと感じています。当クリニックは「地域の元気をサポートする」ことをモットーにしています。手外科を専門とする医師として高度な医療の提供をめざすこと、そして生活の中で取り組めるアドバイスとリハビリテーション、治療を通じて地域の方たちへのきめ細かなサポートを行いたいという地域への想いが当院の柱です。
それを支えるのがスタッフさんたちなのですね。
当院のスタッフは全員がコミュニケーション力や傾聴力に優れていて、患者さんとも信頼感のある良好な関係を築けていると感じています。現在は理学療法士が7人、作業療法士が2人、放射線技師が1人、他に看護師やリハビリ助手などもいる大所帯です。多くのスタッフのおかげもあり、患者さんのリハビリへの要望にさらに応えやすくなりました。エックス線検査や骨密度測定などによる診断の精度を向上させるために放射線技師も在籍しています。その他、超音波検査や神経伝導速度検査等も用いて正確な診断を心がけています。当院では日帰り手術も行っていますし、適切な診断はその後の患者さんの治療の道筋をつけるためにも必要不可欠です。
肘から先の疾患を専門に診る手外科の医師
院内での手術について詳しくお聞かせください。
手根管症候群の手術など、基本的に1時間ほどで終わる手術は当院で行います。入院を希望される場合や手術時間が長い症例は前職の溝口病院で行います。当院では神経伝導速度を測定する装置を導入し、主観的になりやすい痛みやしびれなどの違和感を装置によって客観的に計測して重症度を評価し、手術が必要かどうかを見定めます。ただ、患者さんが100%納得した状態ではないと手術は行いません。少しでも不安なことや心配事があれば、たとえご家族に背中を押されたとしても、術前検査まで進んだとしてもキャンセル可能です。不安や気がかりなことが少しでもあると、その引っかかりが術後の心理的な痛みにつながる可能性があります。手術を選択するとしても一緒にしっかりと向き合っていきますので、遠慮なく何度でもご相談ください。
手術以外の治療方法もありますか?
もちろんあります。服薬やリハビリ、日常生活へのアドバイスも非常に大切です。例えば膝が痛いという患者さんがいて、軟骨がすり減っていることが原因だったとします。もちろん悪化した場合は手術を行うことを視野に入れますが、その前に日常生活の中で取り組める運動や筋力トレーニングのコツをお伝えしています。悪化させないことや予防を目的に患者さんご自身が努力されることは大切だと考えます。予防医療というと言いすぎかもしれませんが、そういう観点から手術しないで済む方が増えればうれしいですね。
整形外科の治療ではリハビリも重要ですよね。
治療後の再発を防ぐためにもリハビリは欠かせません。しかしリハビリへの患者さんのモチベーションを維持することは難しいもの。なので、まずは患者さんとしっかり話をすることを大切にしています。こちらの意図がきちんと伝われば、治療に前向きになれると信じています。例えば、診療中カルテに夢中になって患者さんがおざなりになってはいけません。診療中は患者さんと正面から向き合って話をするようにしています。同じ腰痛であっても一人ひとり治療の目的が違えば、リハビリメニューも薬も違います。教科書的には同じかもしれませんが、一人ひとりのニーズに合わせることでモチベーションも上がると考えています。事務的にリハビリに通うのではなく、「あのスタッフさんと話がしたい」「リハビリに向き合うことで、気持ちまで前向きになってきた」といった楽しさやうれしさを感じてもらえることが大切なのだと思います。
スタッフとともに成長・進化しながら患者を支えていく
先進の治療方法も取り入れていらっしゃるそうですね。
足底腱膜炎の患者さんへの体外衝撃波治療などエビデンスがそろってきた治療方法のみ、厳選して新しい医療を取り入れています。それらに限らず私が常に心に留めているのは、自分の子どもたちに胸を張って堂々と言える医療のみを選択し、言えないことは選ばないということです。もちろんこれはスタッフにも共有しています。リハビリなどでご高齢の方に対応する場合は、自分の両親や祖父母などを思いながら接してほしいと。そうすることでより良い治療につながっていくのだと思います。さらに、2024年4月からは肩を専門とする医師に来ていただくことになりました。今後も専門的な知識を備えた医師を呼んで、総合的な整形外科診療が行えるクリニックにしていきたいですね。手術以外の治療の選択肢は当院ですべてカバーできる体制が理想です。
常に進化を続けていくことを大切にされているんですね。
患者さんにより良い治療を提供したいと考え、勉強して、今では漢方薬の処方も行っています。例えば、痛みを取るためには西洋薬が有用ですが、肩凝りなどで筋肉を和らげることを目的とする場合には漢方薬を使用します。患者さんの訴えや症状に応じて、組み合わせたりして処方できるようになったのは私自身の成長ですね。またリハビリスタッフは、作業療法士を務めるリーダーのもと、一人ひとりにそれぞれ得意分野を持ってもらおうという試みを行っています。
読者へメッセージをお願いします。
患者さん一人ひとりの時間を長めにとって丁寧な説明を心がけていることから待ち時間が発生してしまうことがあり、たいへん申し訳なく思っております。受付にお伝えいただければ、待ち時間中に外出いただくことも可能です。肩が凝っている、首が凝っているといった症状は医療機関を受診するほどではないと思う方も多いと思いますが、困っていることがあればまずはお越しいただきたいと思います。まずは原因をしっかりと調べて、痛みを取り除くことをめざし、再発しないためのアプローチを行いたいと思います。細かな症状に柔軟に対応できるのはクリニックならでは。きめ細かな対応と専門領域を生かして、日々成長を重ねながら地域と社会に貢献していきます。