やまもと内科・内視鏡クリニック (市川市/妙典駅)
山本 栄篤 院長の独自取材記事
妙典駅北口から徒歩1分に、2022年開院したばかりの「やまもと内科・内視鏡クリニック」。ビルのワンフロアを使用した院内は広々としていて、隅々まで清潔感にあふれている。院長の山本栄篤(やまもと・てるしげ)先生は、長年にわたり消化器内科に注力し、特に消化器内視鏡診療に強みを持つベテランの医師だ。大学病院レベルの消化器内視鏡検査システムも完備している。精鋭たちとともに内視鏡に関する高度なスキルを磨いてきた山本院長だが、近寄りがたさはなく、明朗快活な人柄が印象的だ。消化器だけではなく、内科領域に幅広く対応するため、日本内科学会総合内科専門医の資格を取得した山本院長に、地域医療にかける想いなどを詳しく聞いた。
父の突然の病気をきっかけに医師への道を歩み始める
まず、医師を志した経緯を教えてください。
一つは、父・兄・弟と全員文系で優秀だったので、畑違いをめざそうという動機からです。もう一つは、中学の頃に父が体調を崩し聖マリアンナ医科大学病院に運びこまれたことがあったんです。その際、患者家族として医療にふれた経験も大きかったかもしれません。国立総合大学の医学部をめざして軟派青春を謳歌したい思いもありましたが、進学したのは順天堂大学でした。開学以来、医学部と体育学部の1年生は寮で生活する伝統があり、アイスホッケー部に所属し硬派な青春時代でしたね。
医師としてのご経歴、ご専門をお聞かせください。
大学卒業後は、聖マリアンナ医科大学病院で研修しました。身内の主治医だった先生、看護師さんたちにお世話になりましたね。その後、順天堂大学消化器内科に入局し、最初は肝臓や膵臓もすべてを扱える消化器内科医をめざしていました。ところが、ある先輩との出会いなどもあり、だんだん消化管診断学に魅せられていき、その一つのメソッドである内視鏡診療を極めたいと思うようになったんです。さらに、内視鏡下での新しい治療法も確立されつつあった時代だったこともあって、引き込まれていきましたね。以来、約20年にわたって消化器内科に注力しています。ただ、幅広い内科領域の中で適切にかじを切るために、さまざまなことを必死に学び、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会消化器病専門医のほか、日本内科学会総合内科専門医の資格も取得しました。50歳を過ぎてから若者に混ざってのチャレンジで、猛勉強しましたね。
こちらに開院した理由は何だったのでしょうか。
行徳総合病院消化器内科内視鏡センター長や千葉徳洲会病院消化器内科での医療安全管理者などを務める中で、診療以外の仕事が増えてきて、次第に開業も考えるようになったんです。やはり、これまで自分が経験を積み重ねてきたのは、より多くの患者さんに還元するためですから。東京メトロ東西線沿線でと考えていて、昨年、縁あって妙典に開院することができました。1階のエレベーターホールがおしゃれなサロンのようになっているのは、以前、美容関連企業の本社ビルだった頃の名残です。1階が薬局なので、患者さんにとっても便利なのではないでしょうか。3階ワンフロアを使えたので、完全に導線を分離した隔離診察室も設置しました。院内の換気は、飛沫・エアロゾル吸引装置も導入するなど、感染症対策にも配慮しています。
先進の消化器内視鏡システムやAI診断支援も導入
クリニックの特色、患者層などを教えてください。
標榜しているのは、内科・消化器内科・内視鏡内科です。風邪、生活習慣病などにももちろん対応していますが、おなかの困り事でいらっしゃる患者さんが多いですね。患者層は幅広いですが、子どもが保育園や幼稚園などに行っている間に来院される40代くらいの女性が多いように思います。注意しなければいけないのは「胃が痛い」という患者さんでも、実は問題は胃ではないというケースも多々あるという点です。胃の場所は個人差があり、空腹時と満腹時でもふくらみ具合が異なります。「胃が痛い」と感じるような痛みがみぞおち辺りにあるとき、胃以外の臓器に問題がある可能性もあるということをまず説明していかなければいけません。その上で、内視鏡検査を勧めることもあります。患者さんの同意を得られれば、迅速に検査することも可能です。
先進の消化器内視鏡検査システムを導入していると伺いました。
大学病院レベルのモデルを入れたのは、ニューモデルが出たときにバージョンアップできるからです。診断学の現場でより新しいモデルがいかに重要か身にしみていましたからね。患者さんの負担軽減を図る細径経鼻内視鏡や鎮静剤、満腹感を軽減するための炭酸ガス送気も準備しました。滅菌洗浄は履歴管理システムも配備しています。理由はタクシーと同じで、車が10年前の中古車でも最新モデルでもお客さんの料金は変わりませんよね。正直ランニングコストはかかっていますが、患者さんのためです。その他、AI技術を活用した診断支援も取り入れています。消化器レベルの経験はない胸部エックス線画像の読影に間違いがあってはいけないと導入したのですが、優秀な医師のサポートを受けているようで助かっています。消化器のほうは頻繁に確認を仰いでくる医師のナビゲートを受けている感覚ですが、慢心を戒めるためにもこれからも活用していきたいです。
診療にあたって何を大事にしていますか?
当院は問診項目がとても多いのも特徴です。患者さんの訴えどおりの疾患ではないことも当然あり、一つ一つ「この病気ではない」と、可能性を潰していく作業は非常に重要になります。そのためには、患者さんの情報が少しでも多く必要ですし、だからこそ、問診も検査もしっかり行わなければいけません。検査は「そこに問題があるから受けるもの」と、思っている方も多いかもしれませんが、実は「そこに問題がないと確かめるために受けるもの」でもあります。当院では、消化器内視鏡のほか、エックス線、超音波、心電図、呼吸器機能、感染症、骨密度などの検査が可能です。本当はMRIも導入したいのですが、MRIとCTだけは専門のクリニックを紹介し、検査結果の画像を当院で確認し、診断しています。
一人でも多くの近隣住民の健康を注意深く見守りたい
今後の展望についてお聞かせください。
少しでも地域の方々のお役に立てればと思っています。例えば、タバコが大好きな方に対し念のために呼吸器検査とCTを勧めても、なかなか受けてくれないと思います。ただ、もし検査結果で何もなければ、お互いに喜び合うことができますよね。少しでも懸念がある方には検査を積極的に勧めて、これからも患者さん一人ひとりの健康を注意深く見守っていきたいと思っています。
お忙しい毎日をお過ごしですが、リフレッシュ法などはありますか?
数年前までは家族で年に1〜2回はスキーやスケートに行くこともありましたが、今は忙しくてまったく滑っていません。でも、自分のスケート靴も持っているので、時間ができたら再開してみるのもいいかもしれませんね。アイスホッケー部のOB戦に誘われることもありますし。大学時代のポジションはフォワードのウィングで、相手に体当たりするチェックも得意でした。でも、50代以上はチェック禁止らしいですね。あと実は今はひそかにギターを再開したいと思っています。学生時代にバンドをやっていたこともあって、今の願望はギターヒーローになることです(笑)。忙しくてなかなかできていないですが、自分のギターをいつか買いたいですね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
おなかの困り事はもちろん、風邪でも生活習慣病でも、遠慮せずに来てください。実は「問題ありません」と一言言ってほしいだけというニーズも非常に多いのを実感しています。ただ、本当に「問題がない」と断言するためには、しっかりとした根拠が必要です。そのためにはいくつか検査を受けていただかなければならないこともあります。患者さんの情報を適切に知るのも必須なので、既往歴なども隠さずお話しください。メンタル系の薬を服用しているなど、隠したいことがあるという気持ちもわかりますが、そうすると内視鏡検査の際に大混乱になってしまいます。今、どんなトラブルを抱えていて、どうしていきたいのか詳しく教えてください。医療人として、できる限りのお手伝いをしたいと思っています。