スガオ歯科 (八尾市／近鉄八尾駅)
菅尾 祐介 院長の独自取材記事
近鉄八尾駅より徒歩7分に位置する「スガオ歯科」は2022年の開業。歯科医院らしからぬモダンな外観や、草花が彩るエントランスは、「歯科医院の持つネガティブなイメージを払拭し、患者さんにとってリラックスできる環境を」という菅尾祐介院長のこだわりだ。また、天然歯に類似したセラミック治療、口腔内での調和をめざした治療を得意とし、虫歯や歯周病の治療から口腔外科、訪問診療まで幅広く対応する菅尾院長だが、開業から3年、全身の健康も左右する予防歯科の重要性を再認識しているそうだ。「定期検診やお口の健康の大切さを伝えていきたい」と、笑顔の中に真剣な想いをにじませる菅尾院長に、同院のコンセプトや口の健康の大切さについて、詳しく話を聞いた。
予防や早期治療のために受診しやすい環境づくりを
外観も内装も、歯科医院にいることを忘れてしまいそうな雰囲気ですね。
歯科医院に「痛い」「怖い」といったネガティブなイメージがある方は少なくありません。そんなマイナスイメージを払拭し、患者さんがリラックスして受診できるよう、一見歯科医院とわからないような雰囲気にしたかったんです。きれいな家に招かれて、気づいたら治療が終わっていた、という感じが理想です。親しい友人宅を訪れるような気持ちで患者さんに通院していただきたいという気持ちから、温かみのある内装にしました。待合室の色合いやインテリアにもこだわり、カウンセリングルームの東向きの明るい窓には手作りの棚を作って観葉植物を飾っています。
受診のハードルを下げることに力を入れておられるのですね。
痛みや腫れなどの症状が悪化した状態の口腔内を診察するとき、あまりにひどい状態に、がくぜんとすることがあります。早い段階なら簡単な治療で済んだはずが、放置したために、長期間にわたる大がかりな治療が必要になったり、歯を失うことにもなりかねません。そうならないためには、何かあったら早めに受診すること、何もなくても定期的に検診やメンテナンスに来ていただくことが大切。虫歯や歯周病のチェック、歯石や汚れの除去に加え、虫歯や歯周病の原因の細菌や口腔環境、生活環境なども調べ、その人に合わせた予防歯科の提供も可能です。
幼い子どもも抵抗なく受診できる工夫をされているとか。
「三つ子の魂百まで」といいますが、歯科医院嫌いの方は、さかのぼれば、子どもの頃に歯科医院で嫌な思いをした方が多いのではないでしょうか。当院では、子どものうちに、歯科医院は怖い場所ではないという認識を持ってほしいと考えています。そのためには、まずは歯科医院に慣れてもらうことですね。歯が生えてきた段階で、特に虫歯などのトラブルがなくても、歯ブラシの練習や検診のために、お子さんを連れて来ていただきたいですね。何回も受診すれば、自然に歯科医院に慣れて、痛いことをする場所ではないと認識してもらえるはずです。そして、帰りにご褒美として、僕がおもちゃ屋で選んだこだわりのアイテムが入ったカプセルトイを引けるサービスも。喜ぶ姿を見ると、こちらもテンションが上がります。楽しみながら、歯科医院に来る習慣をつけてほしいです。
「健康寿命」は「健口寿命」。歯科への意識を高めたい
注力している入れ歯治療について詳しく伺えますか。
入れ歯でお困りの方は多く、使用中の入れ歯が合わない、痛い、残りの歯の状態も悪いといったトラブルを抱え、入れ歯を作り替えなければならない状態が多々あります。だからこそ、フィット感が高くよく噛めて、ご本人にご満足いただける入れ歯をめざして作製に取り組んでいます。歯や歯茎などを含めた口腔全体を考慮する必要があり、型採りの工程は最も重要なので、変形を最小限に抑え、適合の良い状態で歯科技工所に発注できるよう、心がけています。勤務医時代から長い付き合いの技工所と常に連携することで質の良い入れ歯の提供をめざし、精密な金属床入れ歯やノンクラスプデンチャーにも力を入れています。さらに、補綴に特化した口腔内スキャナーも活用しています。
訪問診療もなさっているそうですね。
「健康寿命」という言葉がありますが、「健やかな口」と書いて「健口寿命」も大切なのではないか、これらはイコールなのではないかと、訪問診療を通じて実感しています。噛む力が弱まると飲み込む力も衰え、誤嚥性肺炎の原因となり、肺炎で入院したら体力が落ち、寝たきりのリスクが高まるという流れが考えられます。口の健康と全身の健康は連動しているといえます。口腔機能が衰えたら最終的には胃ろうになってしまいますが、できるだけ一生涯口から食事が取れるようにサポートしたいという思いで、日々診療に取り組んでいます。同時に、訪問診療のお世話になる前に、ご自分で歯科医院に行かれるうちに、悪い歯を治療したり、ご自身のお口に合う入れ歯を作るために受診するなどの備えをしていただくことをお勧めします。
訪問診療で多職種と連携することは、意義が大きいのではないですか。
訪問診療をするようになり、まだまだ介護の現場では、口腔内の健康への意識が低いと感じています。体の異変を注意するほどには口腔内の状態には意識が向いておらず、入れ歯の状態や残っている歯の本数、きちんと噛めているかなどについて、把握していない方が多いのが現状です。全身の健康を左右する口腔内の健康について、もっと理解し、意識してほしいと、強く思うようになりました。例えば、医師と一緒に「誤嚥性肺炎をなくそう」というテーマでケアマネジャーや訪問看護師、言語聴覚士などに向けた講演や、一般の方向けにも歯の予防に関する啓発活動を積極的に取り組んでいます。せっかく介護の現場ではさまざまな職種が介入しているので、口の中の健康に関する訴えに耳を傾けたり、お口の状態をチェックし、「健口寿命」を延ばすことにつなげてほしいですね。
患者とのコミュニケーションを大切に、信頼関係を築く
診察の際に心がけていることを教えてください。
患者さん一人ひとりに時間をかけた丁寧な診療を行い、信頼関係を築いた上で説明をして、治療に対してご理解いただくことを心がけています。患者さんとはいつでも本音トークのできる関係でありたいと思い、日々の生活の話や育児の話など、診療に直接関係のない話もよくします。意外とこれが大切で、患者さんの気持ちを和らげることになるんです。緊張している患者さんにいきなり歯の治療の話をしたら、怖いし、硬くなってしまうと思うんですよね。患者さんとの信頼関係を築くためにも、患者さんが何でも相談できて、本音を話せるように、気軽な話を交えながら治療を進めます。この地域の方は気さくで親しみやすい方ばかりなので、僕自身も患者さんとの会話を楽しませてもらっています。スタッフも患者さんとの会話やコミュニケーションを重視し、日々取り組んでくれています。
応対するスタッフも笑顔が目立ちます。
スタッフには、患者さんとのコミュニケーションを重視して、きちんと会話をし、顔を見せて出迎えとお見送りをしてほしいと伝えていますが、みんな笑顔で明るく、優しく接してくれていますね。リラックスできる歯科医院をめざし、苦痛の少ない治療を心がけていても、やはり、つらい治療が必要なこともあります。そんなときに、スタッフの笑顔や優しい声かけで、嫌な気持ちが軽減し、いい気分で帰っていただけたら、次の治療も頑張ろうと思っていただけると思うんです。また、患者さんと楽しそうに会話する姿も見られ、歯科医師に言いそびれたことをヒアリングしてくれることもありますね。いいスタッフに恵まれ、本当に感謝しています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
当院では、小さなお子さんや若い方の虫歯治療や矯正治療からご年配の方の歯周病治療、入れ歯治療まで、患者さん一人ひとりのニーズに対応し、中でもこれからは予防歯科にも注力したいと考えています。生きる基本の「食」につながる口の健康は全身の健康に大きく関わっており、悪くなってから治療するのではなく、定期的に検診とメンテナンスに来ていただいて、何かあれば早いうちに治療することが重要です。ですから、気軽にいらしていただけるよう、歯科医院への苦手意識を取り除くような歯科医院づくりを第一に考え、リラックスできる診療環境を用意し、温かい応対を続けていきたい。僕が提供するのは「歯」の治療ですが、向き合うのは「人」です。人と人とのつながりを大切に、患者さんはファミリーなんだ、という気持ちで日々の診療に向き合っていきます。
