中野新橋内科クリニック (中野区/中野新橋駅)
野村 新 院長の独自取材記事
中野新橋駅から徒歩2分の地に2021年に開業した「中野新橋内科クリニック」。循環器内科と内分泌内科の専門性を備えながら、内科の疾患全般に対応するクリニックだ。木目調をベースとした内装の院内は、車いすの移動でもストレスが少ないよう、ゆったりとスペースを取った造りになっている。野村新(あらた)院長は物腰がやわらかく、どんなことでも相談できそうな雰囲気を持つ。同院は、大規模病院まで行かなくても循環器内科・内分泌内科の専門的な検査ができることが特徴。20~30代をはじめとする働き盛りの世代も多く来院する。「患者さんはもちろん、関わる人全員が幸せになる医療を提供したい」と話す野村院長に、これまでの経験や診療方針などを聞いた。
循環器内科と内分泌内科の専門性が特徴のクリニック
まずクリニックの特徴から伺いたいと思います。
一言で言えば、循環器内科と内分泌内科に専門性を持つクリニックです。糖尿病は内分泌代謝のメカニズムを理解していなければ治療が困難ですし、重症化すると心臓に異常を来すケースも多いですから、循環器内科と内分泌内科の連携が1つのクリニック内で図れるところが当院の最大の特徴だと思います。その上で、高血圧症や高脂血症などの生活習慣病、発熱や頭痛、咳、腹痛、下痢、睡眠時無呼吸症候群や禁煙相談まで、内科全般に幅広く対応しています。よくあるのが健康診断で血圧や血糖値の異常を指摘されて来られるケースです。最近は患者さんの増加に伴い、待ち時間も少し増えてしまっているのですが、なるべくスムーズに診察を受けていただけるように体制を整えています。心エコーをはじめ超音波検査をする機会も多く、開業当初は私がやっていましたが、今は専門の検査スタッフさんに来てもらっています。
内分泌内科はどのような診療体制ですか。
当初は毎週月曜の午前中のみ、妻の野村瞳副院長が診察していましたが、内分泌内科を受診される患者さんが想像以上に多く、火曜日と金曜日にそれぞれ別の先生に非常勤で来てもらっています。多いのはやはり糖尿病ですが、甲状腺疾患の方がインターネット検索して受診されることも多いですね。甲状腺を含む内分泌内科の専門性を持つクリニックは案外少ないと思いますし、遠くの大きな病院に行くよりは近くで検査してほしいというニーズもあるのだと思います。糖尿病に関して、軽い内服で済むような症状は僕が一般内科で診ることもありますが、もう少し重い症状は専門の医師による診療を受けてもらっています。副院長もさまざまな病院の内分泌科で経験を積んでいますので、そのお悩みや不具合が何に起因するのかを検査と診察によって明らかにし、症状を早く改善できるよう日々努めています。
診療する上で心がけていることはどのようなことですか。
患者さんが何に不安を抱いているのかを察知するように問診をしていますね。どうして当院にいらしたのかなというのがわからない方もよくいらっしゃるんですよ。患者さん自身が何科にかかったらいいかわからずに来ている場合もあります。ですから、その患者さんが何を求めてここに来たのかをよく聞くようにはしています。そして、その不安点をできる限りなくしてあげる診療をしたいなとは思っています。仮に内科の領域のことではなかったとしても、「おそらくこの病気が考えられるので、この科に行ってみるといいですよ」とか「行ったらこういう検査をやることになると思います」というような話をすることもあります。
循環器も診ることができるクリニックの必要性を感じて
開業されるまでのキャリアも伺います。
愛媛大学医学部で学び、そのまま循環器内科医として大学の医局に残るつもりでいた時に「循環器内科ならその分野でよく知られる東京女子医科大学病院という大学病院があるから、そこで経験を積んだらどうか」とのアドバイスを恩師から受け、同病院に研修医として入局しました。その後は大学病院と医局に関連した複数の病院の循環器内科に勤めました。思えば、恩師からのアドバイスが、私のその後のキャリアを決定づけたと思います。大学病院で働いていた頃は、心筋梗塞などの急性期治療や血管カテーテル治療、ペースメーカーの埋め込みまで数多く手がけてきました。開業を考えるようになったきっかけは、その時代に遠方から通われている患者さんが多かったこと。地域のクリニックで検査や治療後のフォローができれば、高齢の患者さんの負担も軽くなると思ったからです。
この地に開業された理由も教えてください。
開業前に立正佼成会附属佼成病院に勤務していたので、病院と連携が取れる近隣の地域を探していました。佼成病院のスタッフや診療の内容も熟知していますし、高次医療が必要であればスムーズに紹介することもできますからね。また、総合病院で手術などを行った方でも、症状が安定している場合は待ち時間の長い総合病院に通い続けることは大変だと思います。当院では専門的な検査や治療を継続してできる体制を整えていますので、そのような方には当院に通院していただければ、患者さん側も病院側も負担が減ります。私が長年医局に勤めた東京女子医科大学病院や、ここからも近い東京医科大学病院など、複数の病院とも連携を取っています。
そもそも先生が医師をめざされたきっかけは?
心臓疾患を患う家族がいて、自分が循環器内科の医師となって、なんとか力になりたいと思ったことです。ただサラリーマン家庭ですから、私立の医科大学は無理だろうと、国立の医大に入れるくらい学力が上がるまでは単なる願望でしたね。その後は頑張って勉強したかいもあって愛媛大学医学部に入学することができました。東京女子医科大学の勤務医時代に心臓疾患を患う家族を病院に呼び寄せて、除細動器を埋め込む手術を行いました。私が循環器内科を選んだことで家族の助けになったのではないかと、それが一番の喜びです。
「受診して良かった」と思ってもらえる診療と接遇を
クリニックとして掲げている診療方針を教えてください。
患者さんにはできるだけ長く健康に過ごしてもらいたい、健康寿命をできるだけ延ばすことが幸せにつながるのではないかと考え、その実践を当院の理念に掲げています。難病治療においては、やりすぎることでかえって健康寿命を短くしてしまうこともあるので、患者さんの意思と生活背景も考慮しながら、その方にふさわしいと思える治療法を複数提案し、選んでいただければと思っています。そのためにもコミュニケーションがとても重要となります。気軽に何でも相談できる医師でありたいですし、スタッフにも患者さんから親しみやすい存在であってほしいと話をしています。
スタッフには具体的にどんな話をされていますか?
「関わるすべての人に安心と幸せを届ける」という当院の理念を実践してもらえるよう話しています。「ひょっとして重大な病気ではないか」と不安を持つ方に対して、きちんとした診断をお伝えするのが医師の務めですが、それだけではなく、「受付がとても親切だった」「診療時間ぎりぎりだったけど診てもらえた」「ここで診てもらって良かった」と思ってもらえるよう接遇面までしっかりと徹底していきましょうと話をしています。スタッフみんなが自分で考えてどんどん行動してくれるので、こちらは診療に集中できます。困ったことがあれば「これ、どうかな?」と相談すると、いつの間にか解決してくれていたりするので、頼りにしています。生き生きと仕事をしながら、家庭生活も両立ができるように残業は基本的にNGとしています。患者さんだけでなく、スタッフの幸せも大切ですからね。
最後に今後の抱負をお聞かせください。
開業当初は地域の医療連携も図りながら、一次医療施設として患者さんをしっかりとサポートしていくことをめざしていました。また、まずはこの地域に住む方々に、大きな病院にかからなくても近くで気軽に専門的な検査が受けられる循環器内科・内分泌内科のクリニックがあることを知ってほしいという思いもありました。将来的なビジョンとしては、できたら訪問診療がやりたいと思っています。高齢の方など状態が悪くなると来院が難しくなる患者さんも出てくると思います。そうすると、その時点で当院の診療が終わってしまうので、患者さんに最後まで付き添って診ていきたいと考えると訪問診療は必要なことだと思うんですよ。地域を巻き込んで患者さんを総合的に診れるクリニックにしていきたいなと。ただ、今はまだ医師の数など体制面が整っていないので、今後の課題として考えていきたいと思います。