たけはら歯科医院 (鹿児島市/荒田八幡駅)
武原 政嗣 院長の独自取材記事
鹿児島市下荒田のしろやまデリ・マルシェ2階にある「たけはら歯科医院」。鹿児島大学を卒業後、市内で経験を積み2015年9月に武原政嗣先生が開業した地域密着型の歯科医院だ。「付近は住宅が多く、開業してからは近くに住む人たちに多くご利用いただいています」と話す。治療はもちろんのこと、その後のケアにも重点を置く武原先生は、患者が足を運びやすい院内環境づくりに努め、利用患者の目線を大切にしながら日々診療にあたっている。地域の人たちの口の健康を守ることをめざす武原先生に、同院の診療方針や歯科医師としての思いを話してもらった。
幅広い層の人が利用しやすい地域密着型の歯科医院
どのような歯科医院をめざしていますか?
以前から鹿児島市内で開業したいという思いがあり、2015年7月にこの地に開業しました。おかげさまで付近で暮らす方を中心に、幅広い層の方に利用いただいています。近くには小学校があって子どもの受診が多い一方で、昔から地域に住む年配の方の来院も少なくありません。また、一軒家の他に新しいマンションやアパートもあるので、子育て世代にも多くご利用いただいています。年代や症状はさまざまですが、口腔内を総合的にケアする歯科医院として、地域の人に頼られる存在でありたいと思っています。
こだわっている治療や設備などがあれば教えてください。
治療面では、ご自分の状態を知っていただけるよう口腔内写真を撮り、大きな画面で共有しながら説明を行っています。そうすることで患者さんご自身の理解も深まりますし、モチベーションも上がります。以前の写真と比較もできますので、よくなっているところはほめ、そうでない場合は一緒になって考えています。当院は治療後も通いやすい、通いたくなる歯科医院でありたいと思っています。これが地域の方々の口の健康を守ることにつながると考え、責任を持って末長く口のケアをしていきたいです。設備面においては、さまざまな方が利用しやすい歯科医院をめざし、親子でも気軽に利用してもらえるよう、キッズスペースや授乳室、トイレにはおむつ替え台も設置しました。また当院は建物の2階にありますがエレベーターがあり、院内にはスロープを設け、車いすの方も利用しやすいようにしています。その他、個室の診療スペースも2室設けています。
歯科医院から遠ざかっている人に呼びかけたいことはありますか?
「毎日歯磨きをしている」「痛みや違和感はない」「着色が見えない」という人でも、長期間、歯科医院で診療を受けていないと、気づかないうちに口の中の環境が悪くなっていたり、むし歯や歯周病が進行したりしていることがあります。特に歯周病は明確な自覚症状がなく、知らないうちに進行するものです。もし長年歯科医院に行っていなければ、一度受診することをお勧めします。反対に、歯科医院に行っていない人でも、口の状態がきれいな人もいます。そんな人でも、歯肉の裏の歯石など普段の歯磨きではどうしても届かない部分があります。自分では見つけられない、除去できない汚れを見つけてクリーニングすることも、歯科医院の役目の一つです。歯科医師の目で見えない部分まで確認してもらい、今の自分の口の中の状況を知っておきましょう。
原因を正確に特定し、患者に配慮した歯科治療をめざす
どのような検査で口の異常を見つけるのですか?
むし歯を判別するために、当院では光を照射してチェックできる診断装置を導入しています。穴が開いているのを確認できれば明らかにむし歯とわかるのですが、色がついているだけのとき、ただの着色なのか、むし歯なのかを判定するのが難しい場合があります。時には、見た目は着色だけなのに、深いむし歯である場合もあります。むし歯であれば削らなければいけませんが、着色だけなら無駄に削る必要はありません。また当院では、二次元で検査を行うエックス線装置の他に、口の状態を三次元化して検査を行う歯科用CTも備えています。例えば、歯の根元が膿んでいる場合、エックス線では判断が難しいことがありますが、歯科用CTなら立体的に明確に映し出すことができ、痛みや症状の原因を特定しやすくなります。口の中の状態を精密に診断できることで、より適切な治療を行うことができると考えています。
痛いイメージを持つ人も多い歯科治療ですが、どのような工夫をしていますか?
当院では、治療の際の痛みや恐怖心を和らげることに努めています。治療によっては麻酔を使用しますが、「麻酔の注射は痛い」というイメージが強い人もいらっしゃると思います。当院では表面麻酔を用いることで、麻酔注射時の痛みを和らげることをめざしています。注射予定部位に表面麻酔をし、感覚の麻痺を図ることで、麻酔針の刺入時の痛みの軽減を図ることができます。また、主に子ども向けになりますが、笑気麻酔も使用しています。鼻から吸引して気持ちを落ち着かせるための麻酔です。子どもにとって歯の治療時の痛みは怖いものですが、このような恐怖心を和らげるのに役立つのが笑気麻酔です。痛みに過剰に反応しなくなれば、落ち着いた状態で治療することができるでしょう。
歯科治療において、配慮していることはありますか?
歯科治療で用いるタービンやコントラなどの道具は、使用するごとに滅菌しています。当院の滅菌器は、約15分で滅菌が完了するものです。その都度消毒して使用しています。また、診察台には口腔外バキュームを備えています。これは、治療中に患者さんの顔の近くにセットして飛沫を吸い込むための機器で、治療中の唾液や水などの飛散を防ぐことができます。患者さんには見えない部分であったり、歯科治療には直接的に必要のない機器であったりしますが、このような部分こそこだわって設備を整え、患者さんに配慮した治療を心がけています。
アフターケアや家庭でのセルフケアにも配慮
治療以外に力を入れていることはありますか?
むし歯などの治療が一通り終わった後の、アフターケアも大切にしています。治療後に時間を空けて来院していただき、口の中をチェックしてクリーニングします。また、磨き残しの部分に色をつける染め出し液を使い、磨き残しがある場合はブラッシングの指導も行います。大切なのは、これらを定期的に行うことです。クリーニングや治療を行っても、再び汚れがついたり、新たなむし歯が見つかるなど、口の中は逐一変化するものです。歯科医院で歯科医師が口の中をチェックし、自身のブラッシングの弱点や生活スタイルを改善していくことも、むし歯や歯周病の予防につながります。定期検診の大切さを、多くの人に知っていただきたいですね。
親子でできる家庭での口腔ケアについて教えてください。
親として、子どもの口の環境や状況はぜひ知っておいてもらいたいです。そこでお勧めしたいのが、デンタルミラーです。個人的には、家庭に常備しておいてもよいものだと思っています。デンタルミラーは、見えない部分や見にくい部分を見ることができます。子どもの頭を自分の膝の上に乗せて見てあげるとよいですよ。早めに異常を見つけることができれば、短期間の治療で治すこともできるでしょう。また、自宅での歯磨きや歯科医院で学んだ正しいブラッシングは、親が率先して実践してほしいです。私には2人の子どもがいますが、子どもの口の中は毎日見ていますし、時には磨いてあげます。家庭用の染め出し液もあるので、磨き残しがないよう親子でブラッシングを見直すこともできます。親子で楽しみながらむし歯予防に努めてほしいですね。
歯科医師として、やりがいや喜びを感じる瞬間はいつですか?
歯や口の中の痛みを感じて来院する人も多いのですが、そんな人たちが治療を終えてありがとうと言ってくれるときは、私もうれしくなりますね。さらに「治療が終わって、歯のケアが大切なことなんだとわかった」と思ってくれて、定期的に来院されるようになると、歯科医師としての思いが伝わったんだな、と感じます。一人ひとりの歯や口に対する意識を高めることが歯科医師の大切な役目の一つだと思いますし、やりがいを感じます。