野口 千明 院長の独自取材記事

錦糸町で、整形外科・内科などゼネラルな診療を展開

最近、こちらに移転したと聞きました。

私は墨田区のスカイツリーの近くに生まれ育ち、中学から大学までは錦糸町駅を利用していましたから、この辺りに土地勘があります。患者さんの層もある程度わかりますので、街の雰囲気や住んでいる方の性格の傾向を踏まえたコミュニケーションを診療に反映していきたいと考え、2018年に開業しました。その後、手狭になったこともあり、ここに移転したのです。大通りに面した医療ビルで便利ですし、処置室とは別にリハビリテーション室を設け、静かな環境でリラックスして施術を受けていただけるようになりました。また、感染症対策のこともあり、完全予約制としました。

診療面にはどのような特徴がありますか。

院名の「ゼネラル」は「総合的な」という意味があります。勤務医時代にさまざまな分野の診療に関わってきた私の経験を生かして、患者さんにはなんでも相談していただきたいと考えています。その結果、患者さんが健康的な生活を継続して送ることができ、仕事や生活に支障が出ないようにして差し上げるのが、私のめざすところです。患者さんには自分の時間を大切にしていただきたいと考えて、週4日は夜の19時30分まで診療し、土日も診療しています。ですから、仕事の合間の受診や、日曜日に治療を受けて月曜日から普通に出勤していただくことも可能です。内科、整形外科、小児科、皮膚科という幅広い分野をいつでも相談できることで、患者さんにとって利便性の高いクリニックになればと考えています。

どんな症状の患者さんが多いのでしょうか。

腰痛や肩凝り、膝痛といった整形外科領域の悩みで来院される方が非常に多いですね。大きな公園や体育館が近くにあるので、足の捻挫などスポーツ中のケガをしたという方も多いのですよ。整形外科を標榜していて、日曜も診療しているクリニックは少ないため、遠方から来院される方もいらっしゃいます。今のところは、整形外科の需要が高くなっていますが、内科の検査にも力を入れていますし、生活習慣病や内科疾患についても気軽にご相談いただいて、地域のかかりつけ医としてお役に立ちたいと思っています。

内視鏡検査や超音波検査を行っているそうですね。

そうです。特に胃がんと大腸がんは他のがんに比べて予防と早期発見をしやすい病気です。胃がんについては内視鏡検査などを通してピロリ菌感染の有無を確かめて、感染していれば除菌することでほとんどの場合がんの発生を防げると考えられています。大腸がんに関しても40歳以上を目安に定期的に内視鏡検査を行って、ポリープのうちに見つけて対処することで、がん化を防ぐことをめざします。また、血液検査の結果が貧血気味であった場合には、胃と大腸の内視鏡検査を行うことでがんが見つかりやすくなることもあります。消化器のがんは初期は自覚症状が出にくいので、院内で内視鏡検査ができるメリットは大きいのです。健康管理の一環として検査のコーディネートも任せていただけるとうれしいですね。

外科や統計学の経験も生かし、総合的な診療を実践

医師を志したきっかけを教えてください。

私は数学が得意だったので最初は東大の数学科に進もうと思ったのですが、「コミュニケーション能力を生かすには対人サービス業についたほうがいいよな」と考えた結果、医学部が頭に浮かんだのです。私は子どもの頃から、いろんな人に自分から話しかけるタイプで、転校生にも一番に声をかけるような子でした。好奇心が旺盛で友達が多いという特徴があるのは子どもながらに感じていましたから、進路の選択にあたってはこうした長所を生かしていったほうがいいかなと思ったのです。

そして、さまざまな領域で研鑽を積まれたのですね。

東京大学医学部を卒業後、東京大学医学部附属病院の外科に入局して主に胃がんの手術を行っていました。外科というと手術のイメージが強いですが、実際は術前や、術後管理のために患者さんの全身症状をよく観察し把握する必要があるんです。1994年から1998年にかけては大学院で統計を学びました。こうした経験を積んだ上で、本格的な総合診療を始めたのは、江戸川協立診療所の院長を任された時からです。その後、8年後に移籍した医療法人も整形外科や小児科、皮膚科を含めた幅広い領域を診るクリニックを都内各地で展開していて、私も篠崎や新小岩の診療所で、それぞれ院長代行、院長として開業までの計20年にわたり総合診療の経験を積みました。また医学教育の中でも総合的なアプローチができる医師を育てようという動きが出てきたこともあり、ゼネラルな診療が必要とされると感じて、開業に至りました。

診療の際に、大切にしているのはどのような点ですか。

患者さんの目を見てお話を聞くことです。今は電子カルテが普及しているので、パソコンに向きっぱなしになる医師も少なくないかもしれませんが、それでは患者さんは医師がちゃんと話を聞いているかわからず不安になられると思います。私自身も患者さんが自分の説明に納得できているか表情を見たいので、患者さんの目を見ることはいつも大切にしています。そして、きちんと触診をして異変がないかを確かめるとともに、説明する時はなるべくわかりやすい表現で伝えることを心がけています。また、スタッフには、痛みや悩みを抱えて来院される患者さんに配慮した声かけや対応を心がけてほしいと伝えています。

感染症対策を重視し、安心して受診できる環境をめざす

ほぼ休まずに診療を続けられていますが、その原動力は?

一番は、仕事が苦ではないからでしょうか。自分の得意なことを生かして患者さんのためになるのであれば、いつもクリニックを開けていたいと思うんです。40歳を過ぎた頃から医師の仕事をより面白く感じるようになったことも影響しているかもしれませんね。大学院で統計を学んだ上で臨床経験を積んだことで、プロファイリングの能力が高まり、患者さんに適した治療を行いやすくなったように思います。若い時はどんどん成長したい思いでいっぱいでしたが、年齢を重ねてからは患者さんから喜ばれるうれしさも増しましたし、医師の仕事が向いているのかもしれません。

今後の展望について聞かせてください。

診療もサービスも、質も高いレベルで維持していきたいと考えています。今は、整形外科の比較的若い世代の患者さんが多いので、将来、こうした世代に生活習慣病など内科診療が必要になったとき、当院の特徴がより生かせるのではないかと考えています。また、女性は自分の健康に対して時間的投資をしようという意識が高いと感じています。骨粗しょう症予防など、検査や予防で病気を発症させないことで生活の自由度も上がりますので、ぜひご相談いただきたいですね。今後も「なんでも屋」として患者さんに慕われるクリニックになりたいという気持ちを大切に、成長していきたいと思います。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

総合診療は医療業界の中では注目される分野ですが、内科領域における幅広さを意味して使われることが多く、当院のように整形外科や皮膚科なども合わせた診療スタイルを指すことは少ないと思います。基本的には私がすべての診療にあたっていますので、なんでもご相談いただけるとうれしいですね。非常勤医師も5人おりますが、私が診療の中軸を担うことは変わりません。新型コロナウイルス感染症の流行で不安をお持ちの方も多いと思いますが、感染リスクに気をつけながら、従来の検査や治療も続けることで、既存の病気のリスクも軽減して健康を守っていただきたい。当院はそのお手伝いをしていきたいと思います。