えさきクリニック (本巣市/モレラ岐阜駅)
江崎 孝徳 院長の独自取材記事
穂積駅より車で15分程、広々とした敷地内に立つ「えさきクリニック」。ガラス張りのシックな外観と、天井が高く開放感あふれる院内はサロンのような癒やされる空間。2016年に開業した江崎孝徳院長は、関東の大学病院で脳神経外科診療やドクターヘリでの救急診療に関わってきた。かかりつけ医として一般診療はもちろん、頭痛や認知症、脳疾患の後遺症や高次脳機能障害に対するリハビリテーションにも力を注ぎ、脳神経外科ならではのアプローチで地域医療に貢献している。「脳神経外科や救急医療をしている中で、頭痛で来院されるが、出血等の画像上問題のない患者さんが多くいらっしゃいました。そのような方にもきちんとした医療を提供したいと考え、クリニックを開業しました」と語る江崎院長から、医療への熱い想いを語ってもらった。
頭痛や認知症の治療、脳疾患の後遺症治療に力を注ぐ
開業に至るまでの経緯を教えてください。
岐阜県が地元ですが大学が関東でしたので、卒業後はそのまま残って出身大学で働き、将来的には岐阜に帰ることを視野に入れながら、脳神経外科の分野で経験を積んできました。脳神経外科というと、どうしても手術というイメージが強いでしょうが、実はそれ以上に片頭痛など頭痛を訴える患者さんが多く、脳神経の専門という立場から頭痛に悩んでいる人を治療したい、また一般的な内科や外科、リハビリテーションまで幅広い診療を行っていきたいという思いがあります。特にリハビリテーションは、脳卒中など脳疾患の後遺症をしっかり治療したかったので、岐阜に帰ってきてからは市中病院で全般的な治療を行いながらリハビリテーションを勉強し、日本リハビリテーション医学会リハビリテーション科専門医を取得しました。その経験を生かし、脳卒中や脳疾患で困っている方に専門的な治療を提供したいと考えています。
広々とした造りの院内です。どんなこだわりがありますか?
当院は地域のかかりつけ医として一般的な内科や外科治療を行うことに注力することを軸に脳の専門家としての専門治療もしたいという思いがあります。高血圧や糖尿病などの生活習慣病、風邪やインフルエンザ、ケガに対する縫合治療、首の痛みやむち打ち治療も対応しています。また、他院に通院しているが、急な病状のために当院にいらっしゃる患者さんも多く、脳疾患の急性期、肺炎、心不全、虚血性心疾患など、周囲の基幹病院に治療をお願いしなければならない病状が見つかり、救急搬送をすることもあります。そのような場合は診察に時間がかかり、待ち時間が長くなることもありますので、待合室で居心地良く過ごせるように受付から待合室はカフェテリアのような雰囲気にしてゆっくりできるようにとクリニックをデザインしました。
患者さんは脳神経外科をどのように利用していますか?
頭痛、めまい、物忘れ、手足のしびれなど、どこに行っていいのかわからない、大規模病院には行きづらい、頭や脳が心配だという方が来院されます。しっかりと専門家の目で診ることが大事だと思います。診察およびCTの画像診断を行い、きちんとした診断を行うことを心がけています。その上でさらにMRI検査が必要と判断されるときは、近隣の病院にMRI検査を依頼することもあります。
診療において心がけていることは何ですか?
患者さんとなるべく話す時間を多く持ち、しっかりとした診断・治療を提供したいと思っています。的確な検査で根拠を持って治療に臨み、患者さんが安心して来院いただけるような体制づくりをめざしています。スタッフは看護師、事務員、理学療法士がいますが、定期的に行うミーティングでは、リハビリテーションの状況やクリニック内の気づいたことを話し合い、スタッフ全体で患者さんをしっかり把握していくことを心がけています。
先進のCTと読影システムを導入
脳疾患や脊髄疾患などの後遺症の治療にも力を注がれていますね。
当院には脳疾患や脊髄疾患などにより、手足にまひが残ったり、言語障害が残ったり、高次脳機能障害が残ったりした方も通院してくださっています。脳や脊髄疾患による手足のまひに、筋肉が突っ張る状態が合併した状態を痙縮といいますが、痙縮により身体機能が悪くなっている方に対してはボツリヌストキシン療法を行っています。この療法は治療のタイミングや投与量など、それなりの知識や治療経験が必要です。私は、この治療を始めて10年近くなりますが、患者さんや他科の医師のこの治療の理解はまだまだ十分とはいえず、啓発活動の目的で積極的に講演会に参加し、この治療が普及するよう努めています。
後遺症治療についてどのようにお考えですか?
まひが残ってしまった患者さんは、痙縮が悪化していく方がいらっしゃいます。治療介入すればもう少し良い状態をめざすこともできるのに、仕方がないと諦めてしまう方が多いです。まひが治るわけではないのですが、固くなった体を緩めてあげることで楽に服が着られたり、歩行がもっとスムーズになったりすれば、今よりも生活は豊かになるはずです。脳の病気だから仕方がない、年を取っているから仕方がないで済ませず、介入が必要な方は治療したほうが良いと思います。リハビリテーションでは、脳卒中の痙縮になっている人に対して筋肉を緩ませる動作を少しずつ促していきます。脳の後遺症で生活ができない、高次機能障害といわれる空間が認識できないといった脳疾患の方ですと、それに組み合わせて脳のトレーニングも行います。
16列CTを設置し読影システムを導入しているそうですね。
頭痛や脳疾患を中心に患者さんが来院されるため、16列のCTを導入しております。その他、頭だけでなく、全身を診る必要がある地域柄ですので、胸部や腹部、および脊椎のCT検査も行っています。当院では遠隔画像診断による読影システムを活用することにより、私のみならず、専門の医師の読影結果も参考にしながら、患者さんにより正確な診断をお伝えできるようシステム構築しています。
地域のかかりつけ医として、生活習慣病治療にも注力
脳疾患と生活習慣病はどんな関係がありますか?
脳梗塞は生活習慣病と密接に関わっています。高血圧、糖尿病、コレステロールなどの病気がありますと、年齢とともに動脈硬化が進行し、その結果脳卒中が起きます。また、脳卒中になった方の再発予防に生活習慣病の治療をしっかり行うのも大切だと思っています。これらを客観的に評価するために、頸動脈エコー検査やABI検査を行い、きちんと治療するよう患者さんにはお伝えしています。
認知症診療についても教えてください。
認知症にはさまざまな症状があります。診断のキーとなるものは、物忘れの症状により日常生活に支障を来している状態かどうかというところになります。患者さんご本人に聞いても、自ら物忘れがあり、困っていると言われることが少ない場合があります。認知症ですのでそのことも自覚をしていないか、取り繕おうとする症状があるためです。よって、家族の方の情報が大変重要になります。当院では認知症の初診の方については、あらかじめお電話していただき、その時に本人の状態を家族から聞き、その後に受診していただくという方法を取っています。認知症はさらに脳血流検査やPETを行う必要がある時もあります。その際は近隣の認知症疾患医療センターにご紹介をし、検査をさらに進めていただくこともあります。
読者にメッセージをお願いします。
片頭痛で悩んでいる方は多くいらっしゃいます。片頭痛から薬剤使用過多による頭痛や、慢性片頭痛に移行した、頭痛発作の多い方も来院されます。治療としては鎮痛剤のみならず、トリプタン製剤があります。また、頭痛発作が多くて日常生活に支障を来すような状態になっている人に対しての予防薬の治療もあります。最近は抗CRPP製剤が利用できるようになり、今までの治療で頭痛コントロールができなかった人も良好な結果を望めるようになりました。認知症、脳疾患のある方など、専門的な立場から診察、治療していますので、ぜひご相談くださればと思います。