西大井内科 (品川区/西大井駅)
石橋 一慶 院長の独自取材記事
JR横須賀線西大井駅の駅前にある「西大井内科」では、大学病院や関連病院で膵臓・肝臓・胆嚢の外科手術や専門的な診療を手がけてきた石橋一慶院長が診療する。精密な検査と適切な診断をめざし「膵臓や胆嚢、胃などの消化器の病気が心配」「高血圧や高脂血症など生活習慣病を管理したい」という患者を支えている。「こまめな検査で病気を予防し、早期発見して、病院と縁を持たない生活を」が口癖の院長。専門領域はもちろん、かかりつけ医として疲労やストレスからの消化器疾患や風邪などの感染症、生活習慣病の診療にも注力。地域住民の健康を願う強い信念が感じられる院長に、同院の検査の強みや医療への思いを聞いた。
コンセプトは「病院と縁を持たないためのクリニック」
医師を志したきっかけや開業までの経緯を教えてください。
医師をめざした理由は、漫画の医師に憧れたことと、近所に不愛想で説明が少ない医師がいて医師が嫌いになったこと。医師は嫌いでも病院の世話になることがあるのなら、自分がしっかり説明できる医師になろうと思ったのです。肝胆膵は、移植など高度な技術が要求される分野で役に立てればと考えて選びました。勤務医時代は大学病院で膵臓と肝臓の手術をメインに、胃や大腸も多数診てきました。がんは進行すると厄介ですが、適切な検査を受けて早期に発見できれば良好な治療結果が期待できます。心筋梗塞や脳梗塞などの血管疾患も、食生活を見直し、血圧やコレステロールなどを早期に管理できれば予防につながります。病院で患者さんと接する中で病気の予防や早期発見が重要だと痛感し、開業を決意しました。
クリニックにはどんな特徴がありますか?
できる限り入院が必要な病気にならない、つまり「病院と縁を持たないためのクリニック」がコンセプトです。そのためには適切な検査で異常を早期に発見し、予防することが大切です。当院は臨床検査技師と協力して各種検査にも力を入れていますが、検査自体が目的にならないよう、問診を重視して、目的に応じた適切な検査の提案を心がけています。また、私は病院ほどつまらない場所はないと考えているので、開業時に明るく病院らしくない空間にしようと思いました。お勧めの漫画を中心にさまざまな本を置いたり、風景画を飾ったり、できるだけくつろいでいただけるよう配慮しました。ただ、例えばどんなに有効な医療を施せたとしても、嫌な思いをしたら患者さんは病院嫌いになるかもしれませんから、当院では気持ちのいい対応と迅速で苦痛の少ない検査を心がけています。
どのような患者さんが多く来られますか?
風邪などの体調不良や高血圧・高脂血症などの生活習慣病の他「膵臓がんが心配」「肝臓・胆嚢疾患の詳しい説明を受けたい」と、超音波検査に来られる方が多いですね。胃や大腸、特に機能性消化管障害や過敏性腸症候群といった疲労やストレスの関わる腹部症状の相談も増えました。大学病院時代は、こうした症状には画一的な治療と経過観察しかないと考えていましたが、開業後は患者さんの話をお聞きした上で漢方なども取り入れ、その方に合わせたオーダーメイドの治療で改善を図っています。何げない診察の中で、がんなどの重大な病気が潜んでいる場合もあり、内視鏡や超音波、MRIやCTなどの画像検査の必要性を慎重に考慮し、医学的に必要な検査をお勧めしています。
超音波検査や内視鏡検査で病気の予防・早期発見へ
こちらではどんな検査が受けられますか?
先進の超音波(エコー)機器を用いた膵臓・肝臓・胆嚢などの腹部臓器の検査、エラストグラフィを用いた脂肪肝や肝硬変の評価、胃・食道の内視鏡検査、ピロリ菌検査と除菌、エックス線を用いた肺や消化管の評価、頸動脈エコーや血管年齢測定による動脈硬化の評価など、CTとMRI以外のほとんどの検査が可能です。2018年から品川区胃がん内視鏡検診が始まり、内視鏡検査を希望する方も増えました。上部内視鏡検査は経口・経鼻どちらにも対応し、カメラを飲むのが苦手な方には静脈剤の点滴で寝ながらの検査も行っています。鎮静剤の点滴の場合、検査後は最低30分は安静が必要ですが、鼻から挿入する経鼻内視鏡ではのどの苦痛がかなり減りますので、鎮静剤なしでも比較的楽に受けられます。鎮静剤なしの場合は検査後の安静は必要ないので、すぐに帰りたい方にお勧めです。
検査での特徴や強みを教えてください。
当院では、医師だけでなく臨床検査技師も超音波機器を用いて胃や大腸、膵臓・肝臓・胆嚢、心臓、甲状腺、頸動脈、下肢血管などの検査を行います。臨床検査技師の配置で、適切な検査結果と診断の質の向上も期待できるのがメリット。また、超音波検査や内視鏡検査機器の場合、機器の画像性能に診断精度が左右される場合があり、適時更新に努めています。2021年に更新した超音波検査機器は画質が格段に上がり、膵臓がんの初期兆候を見逃しにくくなりました。肝臓の硬さを数値化できるエラストグラフィの活用により、脂肪肝からNASH(非アルコール性脂肪肝炎)を経て肝硬変に進展するリスクの評価も可能です。問題があれば総合病院でMRIなどの精密検査や治療が受けられるよう速やかに紹介をしています。超音波検査は聴診器を当てるように簡単にできますので、精密検査の入り口として気軽に利用していただければと思います。
臨床検査技師とはどう連携されていますか?
検査前に技師と検査目的を伝え、「胃が痛いそうなので胃の部分は詳しく」といった特定の臓器を重点的に見る、腹部全体をくまなくスクリーニングするなど留意点を共有します。検査中は「今はここを撮っています」などの声がけをして患者さんが不安にならないよう配慮してくれますね。検査後は診察室に転送された画像が見られ、必要なときは技師と直接話して確認しています。また、検査中に患者さんが話したことで、必要な情報は報告書や口頭で伝えてくれるので私としても安心です。
身近なクリニックで精密な検査と適切な診断を
診療時に心がけていることを教えてください。
患者さんが自分自身や、自分の家族だったらと考えた診療を心がけています。さらにスタッフも含めたチームとして、各自の専門性を生かし互いをサポートしながら、質の高い診療をめざしています。例えば治療に急を要する症状は受付スタッフも把握し、そうした患者さんは看護師と連携して迅速に必要な対応をとっています。診療の際は丁寧でわかりやすい説明に加え、超音波検査や内視鏡検査の画像写真つきの検査結果をお渡ししています。それにより自分の体への理解を深め、治療のモチベーションにつながれば幸いです。また、忙しい方も受診しやすいよう、予約があれば朝8時30分から内視鏡と超音波検査に対応しています。結果は郵送でも確認できるので、問題がなければ再来院の手間も省けます。
手術後の検査や生活習慣病の検査にも対応されるそうですね。
消化器がんは一般的に術後5~7年を越えると大丈夫といわれますが、心配な方はこまめに超音波検査を受けていれば、万が一転移があっても早期発見につながります。「手術をした病院に行くほどではないが、気になる」という方にお勧めです。また高血圧、糖尿病などの生活習慣病の予防・治療には、検査で病気の早期発見を心がけると同時に日々の食生活や体重、運動、休養などを見直すことも大事です。このほか専門外も含め適切な医療情報をお伝えできるよう研鑽し、根拠のあるアドバイスで安心していただける診療もめざしています。今は予防可能な病気も増えています。多忙な方や病気の不安のある患者さんの気持ちに寄り添いながら、精密な検査と適切な診断を提供したいと思います。
読者へメッセージをお願いします。
病気で長期入院や大きな手術にならないよう、必要な検査を受けて病気の予防や早期発見をめざしましょう。特に超音波検査は聴診器のような感覚で受けられる本当に簡単な検査で、気になることがあればぜひ受診してください。体調に違和感があっても病院に行かず、様子を見るうちに重症化する方も少なくありません。膵臓がんは、加齢とともに罹患率が上昇するため60歳以上の方はご心配であれば気軽に受診を。脂肪肝、アルコール性肝障害、胆石などが心配な方にも超音波検査がお勧めです。検査後、必要なときは信頼できる先生や病院を紹介しています。また、高血圧や高脂血症は心筋梗塞や脳梗塞などの入り口になりますが、適切な助言で予防・管理が可能です。生活習慣病がある方や、体調に漠然とした不安を持つ方こそ気軽にご相談ください。