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ふるかわ内科クリニック (福岡市博多区/大橋駅)

古川 敬一 院長の独自取材記事

西鉄天神大牟田線の大橋駅からバスで約15分、板付農協前か板付団地第二で下車したバス通り沿いに「ふるかわ内科クリニック」がある。院長の古川敬一先生は、同院に隣接する古川小児科の院長であり、小児科の医師である父の姿を見て育ち、医師になった。現在はこの地で、親子2代で小児から高齢者まで幅広く地元住民の健康を支えている。2013年の開業前に、内科全般を修めながらとりわけ胃や大腸の内視鏡検査や診断、そして治療の研鑽を積んできた。「内視鏡検査は苦しい痛いイメージのため躊躇する患者は多いはず。そのイメージを変えて疾患の早期発見に取り組みたい」と話す。患者を迎え入れる者として重ねる工夫や健康を願う想い、大学では空手部にも所属し学びに部活に大忙しだったという古川院長を取材した。

患者に寄り添い、受診しやすい内視鏡検査の環境づくり

検査や診療スペースがそれぞれに広く、ゆったりとしていますね。

内視鏡検査といえば検査中だけでなく、検査前後も苦しい、つらい思いをされた方が多いと思います。また、内視鏡検査を以前受けたことがある方は、検査前後のストレスがある状態で他の患者さんと時間や場所をともにする状況が当たり前の風景だったのではないでしょうか。そこで当院は、検査前の時間を過ごす場所はプライバシーに配慮して個室にしました。個室内にはソファー、シャワールーム、シャワートイレを備え、テレビを見たり、窓の外の景色を眺めながら検査前の時間を過ごしていただきます。検査後用には、複数人でご利用いただくリカバリールームも設けました、カーテンを引けばプライベート感も得られます。ベッドやリクライニングチェアも用意しました。とにかく緊張から解放されて、楽な気持ちで検査を受けていただきたいと思っています。フロアにはトイレを4つ設けています。

内視鏡検査での工夫について教えてください。

内視鏡検査室もかなり余裕のある造りにしています。無駄に広かったかなと思うくらいです(笑)。内視鏡システムは新しい機器を導入するようにしていて、経鼻から行う胃の内視鏡、そして大腸内視鏡、精密検査に必要な拡大内視鏡などをそろえています。ご希望があれば鎮静剤を利用して、うとうとした状態で検査を受けていただくことも可能です。「怖いと思ってなかなか受けられずにいたが、ここで検査を受けて良かった」と言ってくださる患者さんの声を聞くと、ますます頑張ろうと思います。とにもかくにも痛がらせない検査、不快な思いをさせない検査、それには経験が必要だと思っています。研修医時代からたくさんの症例を経験できたことが今につながっています。

先生やスタッフの皆さんが患者さんと接する際に心がけていることを教えてください。

診療時には「気になることや不明点はありませんか」と必ずお尋ねして、患者さんの心にひっかかりがないよう努めています。スタッフにも、まずは患者さんへの声がけと傾聴を大事にしてほしいと伝えています。また、看護師が診察前に患者さんの血圧を測る場面で、主訴や悩みなどをこぼされることが多いんですね。その内容をくみ取り診察前には私に情報共有するように動いてくれます。待合室に、病気、症状、検査などの情報を掲載するパンフレットも設置しています。それをお持ち帰りになる方も多く、理解啓発の機会を常に欠かさないようにしています。

親子2代、異なる診療科で幅広い世代の健康を支える

お父さまは小児科を継いでほしいと思われていたのでは?

そうだと思います。父がこの地で小児科を開業し、自宅が医院に隣接していたので私は中学生の頃からここで育ちました。ですので、父は私が医師になることを期待していたと思いますよ。私も、いずれ後を継ぐんだろうな、医師になろうという気持ちは幼い頃からありました。医学部に進学したわけですが、入局先を決める時に、いろいろな科を見学した結果、その活気ある雰囲気やアットホームな印象に魅力を感じて福大筑紫病院の消化器科を選びました。

消化器科に実際に身を置き、どんなことを学んできたのでしょうか。

自分の判断は間違いなかったと思いましたね。内視鏡検査にしろなんにしろ、学ぶことすべてがとにかくおもしろかったです。その後、大学院にも進み病理を学び、早期胃がんの研究をしました。それもたいへん興味深かった。早期発見・早期治療が大事だといわれていますが、この時に改めてその重要性を実感しました。たいへん厳しい指導をされることで有名な教授のもと、医師として必要な診断力や技術力を鍛えていただきました。

開業へと踏み切ったきっかけや思いを教えていただけますか。

父は「そろそろ帰ってこないか」と常に言ってはいましたし、自分ならこうしたい、自分の思い描く医療環境を整え患者さんを診たいという気持ちも年々高まってはいたんです。ありがたいことに、教授からは、教授のご実家である病院の院長職を紹介していただいたりして、なかなか踏み切れなかったんですね。とても楽しかったですし。ただ、いずれは地域医療とは考えていたこと、年齢的なこともあるので父の小児科の隣に開業することに決めました。

早期発見早期治療、自覚症状なしのときこそ定期検診を

こちらの患者層と多い主訴を教えてください。

やはりご近所さんが多く、主訴も幅広いです。風邪、高血圧や糖尿病など、世代的にはご高齢の方が多いですね。最近は、父が診ていたお子さんたちが親になり、当院に来院される方もいらっしゃいます。2代にわたり患者さんに関われることはありがたいですね。気になるのは、患者さんの来院傾向、来院されるまでの経緯が両極端なこと。痛みを我慢して我慢して、やっとおみえになったはいいが、治療する方法が限られる状態にまでになった患者さん。逆に、念のため健診と、ここででき得る限りの検査をご希望され、早期がんが見つかり、早期治療から完治につながった患者さん。後者の方々のように、何も自覚症状のない段階から、定期的に検査を受けていただきたいですね。

地域医療に関わる医師として大切なことは何でしょうか。

内視鏡検査を専門に行うクリニック、というスタイルもあるかと思います。私は、消化器科で長く経験を積んできましたので、その選択肢もあるとは思いますが、この地域にはそぐわないと感じています。この地域に住まう方たちへ医療を通して貢献していくのであれば、風邪や腹痛、生活習慣病の管理など、すべての患者さんに対応していく医師であるべきだと考えています。そして、病気の早期発見、そして早期治療を行えるよう、検査一つ一つを丁寧に行っていくことは当然ですが、専門外の病気に関しては、積極的に基幹病院の専門医師と連携をとるよう心がけています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

開業して2~3年たった頃の話ですが、「こんなところにクリニックがあったとは気づきませんでした」と来院されておっしゃる患者さんが、多かったんです。それだけ情報発信が足りなかった。そこを改善しながら、皆さんの健康寿命を延ばすためにも定期検診の重要性を発信し、検査の受診率を上げていきたいですね。がんの場合、早期に発見できれば完治が見込めます。当院では、私が内視鏡検査の研鑽を積んできていますので、その技術を生かして検査を行いますし、患者さんのストレスを軽減できるような受診環境も整えています。また、規模の大きな病院ではなかなか難しいと思われる臨機応変さも、当院の得意とするところだと思いますよ。

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