神田ふくしま歯科 (千代田区/神田駅)
福嶋 広 院長の独自取材記事
神田駅北口から徒歩1分の商業ビルにある「神田ふくしま歯科」。福嶋広院長は、東京医科歯科大学歯学部卒業後、銀座の歯科クリニックで院長を務めるなど経験を積み、2012年に開業した。一般的な治療もやりつつ、矯正や審美歯科、インプラント治療などにも重きを置き、特に歯茎の再生治療、噛み合わせ治療に力を入れる。「行き場がなくて困っている患者さんを助けたい」と話すその姿からは、仕事に対する熱い思いと患者と真摯に向き合う姿勢が伝わってくる。そんな福嶋院長に、こだわりの治療法を中心に、開業6年目の状況や患者層、今後の展望などについてじっくりと語ってもらった。
東京駅から1駅の好立地 遠方からの患者も
とても通いやすい場所ですね。この場所を選んだ理由を教えてください。
理由は大きく2つあります。1つ目は駅から近いということですね。徒歩1分ですから通院にはとても便利だと思います。2つ目は広さがちょうどいいということです。実はもともと歯科クリニックが入居していて、形はちょっと複雑なんですが、広さをうまく使ってスムーズに診療できるようにリフォームをしました。窓からは新幹線が通る様子や東京駅のオフィスビルが見えて眺めもいいんですよ。南向きで光が入り込んで明るく、患者さんにはリラックスして治療を受けていただけると思います。
開業6年目ということですが、現状はいかがですか?
おかげさまでたくさんの患者さんにご来院いただいています。勤務医のときと比べるとなんでも自分でやらなければいけない大変さはありますが、それと同時に強いやりがいも感じています。ただ、予約がいっぱいになって混み合うとどうしても処置中心になってしまい、患者さんとじっくりお話しする時間が取れないことがあります。診察が終わった後、夜などは多少時間があるので、治療に対して悩みがある患者さんなどとメールでコミュニケーションを取ることもしていますが、診療時間中でも、もっとコミュニケーションがとれる時間を長くできるように努めていきたいですね。
どんな患者さんが多いのでしょうか?
虫歯や歯周病など一般歯科の患者さんもいらっしゃいますが、当院のホームページをご覧になって歯茎の再生治療や噛み合わせの治療を受けたいという方が多いですね。地域的には、東京、埼玉、千葉、神奈川など関東近郊の方が中心ですが、遠方から来られる方も1割ほどおられます。中には、日本人の方ですが、海外から日帰りで手術を受けに来られた方もいました。1回でまとめて治療したいとのことだったので、事前にメールでやりとりして、帰国してすぐに手術を受けてその日のうちにとんぼ返りされました。このように特殊な治療を希望される方が多く来院されます。
歯茎の再生治療など、こだわりの治療を提供
特殊な治療の一つとして、歯茎の再生治療を行っているそうですね。
そうですね。これは、例えば矯正治療後に歯茎が下がってしまったときに、移植によって歯の長さを元に戻すことをめざす方法です。従来の治療や通常の移植だと歯茎が変色してしまうのですが、結合組織と呼ばれる表面の皮膚の中にあるコラーゲンの部分を移植するので、きれいに仕上がりやすいんです。同時に歯茎の厚みも出るので、将来的に歯茎を下がりにくくする予防にもなります。この治療は全国的に見ても治療されている先生は少ないのが現状ですので、当院に歯茎の再生を目的に来院される方が多い理由かもしれません。もし困っていたり、悩んでいる方がいたら、まずはクリニックに気軽に相談に来てもらいたいですね。
歯茎の再生治療と審美歯科を組み合わせた治療とはどういったものですか?
例えば、差し歯の歯茎が下がって根っこが黒くなってしまい、さらにその部分が虫歯になることがあります。そんなときは、歯茎の再生治療と同時に、患者さんにぴったりのセラミックの歯を作って歯茎の位置をずらすことで、標準的な歯の長さにできるんです。従来の審美歯科では、下がった歯茎に合わせて作っていたので、どうしても歯が長くなってしまっていたんですが、この方法ならきれいに仕上げられるんですよ。このような症状は、そのまま放っておくと歯茎が下がるだけでなく、中の骨まで溶けて歯周病と同じような状態になるんですが、この治療を受けることで、将来的に歯茎が下がりにくくなると同時に、骨が溶けるのを予防する効果も期待できるんです。歯周病で歯茎が下がるという方にもお勧めの方法ですね。
最近は噛み合わせの治療にも力を入れ始めたとお聞きしました。
そうですね。歯の健康のためはもちろん、全身の健康のためにも噛み合わせは非常に大切なんです。顎の位置がずれると歯周病や歯茎が下がる原因のひとつになりますので、顎の動きをコンピューターで精密に測定できる機械を導入して、歯周病や噛み合わせの治療に活用しています。今後、さらに力を入れていきたい治療法の一つですね。そのほか、歯周病の進行などによって骨が減ってしまった方に対しては骨の再生治療も施しています。大切なのは残せる歯はしっかり残して、歯がなくなる前に口腔内を改善する治療を行うことだと考えています。
患者の安心を一番に考えて治療法を発展させていく
毎日お忙しいと思いますが、お休みの日はどのように過ごされていますか。
同じ姿勢で長時間治療を続けると腰が痛くなったり、拡大鏡を使っていると首が疲れたりと体が疲れてしまうので、マッサージやはり治療を受けたり、スポーツジムで運動したりしています。あとご飯を食べに行くのも好きで、子どもの頃からの友人と食事に行くのは仕事から離れてリフレッシュできます。でも、開業6年目でまだまだ勉強の身ですので、医療関係の本を読んだり、噛み合わせなど興味がある領域の講習会やセミナーに出席したり、結局、歯科医療のために過ごすことが多いですね。
治療法についてモットーはありますか。
新しい治療法は安定してから導入するということでしょうか。例えば、歯茎の再生治療は1970年代に始まったのですが、10年ほど前にアメリカを中心に歯周形成外科が注目されて、顕微鏡や拡大鏡を駆使して細い糸で縫うようになってからきれいに施術できるようになったんです。それで自分でも導入を決めたという感じで、新しい治療法にすぐに飛びつくということはしません。噛み合わせの治療や骨を削って歯の移動スピードを改善する歯槽骨皮質骨切除術という歯列矯正の方法もきれいにできるようになってから導入していますので、こちらで受けられる治療は、患者さんに安心して受けていただけると思います。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
歯茎の再生治療など少し特殊な治療を行っているので、行き場がなくて困っている患者さんのお役に少しでも立ちたいと思っています。再生治療についてはまだまだ進化している段階なので、僕自身、勉強しながら新しい技術はどんどん取り入れていきたいですね。材料や機械に関しては、より細かく切れるメス、高精度なレーザーなど機能性の高さに加えて、なるべく低侵襲なものを導入していき、患者さんにより安全で安心の治療をしていきたいと思っています。また、当院で行う治療はすべて顕微鏡や拡大鏡を駆使して精密に行うことを大切にしていて、一時的に症状を抑えるだけでなく、治療結果を長持ちさせることも心がけています。1本1本の歯をしっかりと治療して、皆さんのお口の中の健康を守っていければうれしいですね。