そえじま矯正歯科 (宮崎市/宮崎駅)
副島 和久 院長の独自取材記事
宮崎市中央部から文化公園に向かって文教の町が広がる。その一角に「そえじま矯正歯科」はある。大阪出身の副島和久院長が妻の地元である宮崎で矯正歯科クリニックを開業したのは、2010年のこと。副島院長は長年矯正治療の研鑽を積んできた専門家だ。同院は指定自立支援医療機関(育成医療)であり、咬合異常や顎変形症など特定の疾患に対して行われる歯列矯正を保険適用で実施するための届け出も行った医療機関だ。新しい設備を整える同院では、こまめな検査と治療計画の見直しを行い、より良い診療を提供する努力を続ける。くしゃっと笑う顔が印象的な副島院長に、矯正歯科に対する想いなどについて話を聞いた。
患者の劇的な変化に立ち会えるのが、矯正歯科の面白さ
最初に、歯科医師をめざしたきっかけからお伺いします。
実は僕、最初は飛行機を作りたいと思っていたんですよ。出身が大阪なのですが、一度入った大学では工学部の航空宇宙工学課程に所属していて、飛行機の材料の研究などをしていました。ところが卒業生で航空分野に進む人が意外と少ないということを知りまして、本当に限られた人しか行けない世界なのであれば、道を変えたほうがいいのではないかと考えたんです。そこで次に自分が何をしたかったのかと自問した時に浮かんだのが、医療職でした。それから歯科医師をめざして鹿児島大学歯学部へ入り直し、大学卒業後には鹿児島大学歯学部歯科矯正学講座に入局しました。そうして矯正歯科で研鑽を積むうちに「面白い!」と思うようになりましたね。
矯正歯科に面白さを感じられたのはどうしてでしょうか。
矯正治療を見ていて「口の中ってこんなに劇的に変わるんだ」「すごい!」という驚きがあったからです。特に大きな変化を感じたのは、手術を要する患者さんの症例です。外科手術を伴う矯正を受けられた方は、治療後のお顔の印象が大幅に変わるんです。そういった患者さんの変化に自分が関われることに、大きなやりがいを感じました。さらに僕が矯正治療に携わり始めた頃に比べて、今のほうが医療技術も進化してきています。どんどん治療が最適化されてきていますので、常に新鮮で飽きるということがなくて。自分の考え方も洗練されていき、工夫すればするほど、より良い治療を提供できる点にも魅力を感じました。研鑽を重ねるごとに、日々の診療が楽しくなっていくんです。
矯正歯科分野において、技術の発展を実感されている点について教えてください。
デジタル技術の飛躍的な進歩でしょうか。例えば、以前はエックス線を撮る際はフィルムで現像していたものが、今はデジタルで撮影してすぐにコンピューター上で画像を確認できます。また、当院でも早くから取り入れていますが、口腔内スキャナーでデータを採り、3Dプリンターを使って歯型を作っていくことも可能になりました。さらにそのデータをもとに、矯正した場合の歯並びのシミュレーションを確認しながら治療計画を練ることもできるようになってきています。
得意分野に集中し、ライフステージに応じた治療を提供
先生は、なぜ矯正専門のクリニックを開業されようと思われたのでしょう?
自分の得意としている分野で勝負したかった、というのが一番の理由です。僕が専門としていない一般歯科分野については、そちらを専門にしている先生方にお任せするのが技術の面でもいいと思うのです。また、他院の先生には「小児歯科も入れてはどうか」というアドバイスを頂いたこともありましたが、それも同じ理由でやっていません。やはり僕自身も子どもを持つ親として、子どもに未熟な治療を提供するのは気が引けますので。最初は苦労するかもしれないけれど、最終的には矯正歯科の分野に集中するほうが良いだろうと判断して、現在のかたちに落ち着きました。
大人と子どもでは、どちらの来院割合が高いですか?
当院に来院される患者さんは、成人と子どもの患者さんが半々くらいの割合です。ホームページにも掲げていますが、「人生のライフステージに合わせた矯正」というキャッチコピーのとおり、当院ではそれぞれの年代に合わせた矯正を提供していきたいと考えています。ただ、患者さんの中には、大人になったら矯正治療できないと思っていらっしゃる方が多くいらっしゃるようですね。そうではなくて、歯や歯茎、そして顎の骨など、健康的な土台があれば、矯正治療は何歳からでも始められるものなのです。実際、当院には最高齢で70代の患者さんもいらっしゃいましたよ。
保険が適用される場合もあるのだとか。
意外と知られていないことなのですが、限定した症例に限ってですが、歯列矯正が保険診療で行える医療機関があります。例えば唇顎口蓋裂の患者さんの場合や、骨格的な問題から食べられない・飲み込めないという症状のため、顎の外科手術が必要になる場合に、保険が適用されます。当院はそのような厚生労働省が定める疾患を原因とした咬合異常に対して行われる歯列矯正を、保険診療で行うための届け出を行っています。そのため、先ほどの唇顎口蓋裂のほか、ダウン症候群など先天性疾患に起因した噛み合わせの異常に対する矯正治療にも対応しています。
専門家による矯正相談で最初の一歩を踏み出してほしい
先生が携わっているスポーツ歯科についても教えていただけますか。
スポーツに関わる方に対しての歯科的なサポートも当院では行っています。スポーツ歯科医学はまだ新しい分野なので、多くの方がスポーツと歯科とはあまり関連がないと思われるかもしれません。けれども噛み合わせは運動能力にも大きく影響しますし、きちんと栄養補給を行っていく観点からも、スポーツをされている方にとって口腔環境を整えていくことは重要です。もちろんスポーツ選手ではなく一般の方でも、噛み合わせの状態が身体能力に影響する場合もあります。最近は宮崎県内でもスポーツ歯科に取り組む先生たちが増えてきましたので、今後はどこの歯科医院でもサポートができるようになるのが理想ですね。
診療で心がけていることはどんなことでしょうか?
成長期の患者さんには1年に1回検査を行い、治療の進捗度合いの確認や見直しなどをするようにしています。特に子どもの場合は大人と違い、成長によって骨格や口の中の状態がどんどん変わります。そのため、最初に立てた治療計画があっても、成長状況に応じて考え直す必要があると考えています。また、お子さんを連れて来られるご両親に対しても、治療の進行状況をこまめに報告しています。例えば矯正治療を始める際は、今の口の中の状況や成長の予測、問題点、治療スケジュールについて治療計画書を示しながら説明し、治療の経過を1年ごとに報告しています。こうして治療のステップごとにきちんと評価していくことで、お子さんやご両親のモチベーションアップにもつながると思うんです。逆に患者さんのご協力がもう少し必要な時は具体的に指摘することもできますので、とても大切なことだと思っています。
矯正を考えている方へ、メッセージをお願いします。
矯正治療というと、まだまだ虫歯や歯周病に比べて心理的なハードルが高いのかなと思います。費用面が気になって来院を躊躇されている方も少なくないでしょう。当院では、矯正の相談は無料で行っています。相談後は、当院ではなく他のクリニックで矯正を受けられても構いません。僕としては、まずは患者さんがずっと悩んでいらっしゃる口の中の問題に関して、少しでも心理的な負担を減らしてあげたいですし、情報を提供したいと考えています。矯正の専門家という立場からしっかりアドバイスさせていだきますので、矯正をする・しないに関わらず、ぜひ気軽にご相談しにいらしてください。中には二度三度と相談に来られる方もいらっしゃいます。矯正に限らず、健康なお口の環境を維持するためにも定期的に歯科医院へ行くようにしましょう。