タニモト歯科クリニック (茅ヶ崎市/茅ケ崎駅)
谷本 亨 理事長の独自取材記事
茅ヶ崎駅から徒歩約10分。一中通りにある「タニモト歯科クリニック」は、海が近いことから湘南の風が院内に流れ込み、白と水色の北欧調デザインが明るい雰囲気だ。理事長の谷本亨先生は、2001年に北海道大学歯学部を卒業後、大学病院や歯科医院での勤務を経て2009年に同院を開業。診療では、口腔内の状態を見極めるため検査を行い、個人に合わせた治療の提案をしている。患者と相談しながら、それぞれの事情や費用の都合、歯についての希望を考慮して治療方針を決めていく。患者参加型の治療をめざし、一緒に歯の健康を考えられるように、わかりやすい説明を徹底。「虫歯や歯周病にならないよう予防をすれば、歯の健康の長期的な維持が期待できます」と語る谷本理事長に、同院での診療について詳しく聞いた。
「ここだから通いたい」そう思ってもらえる歯科医院に
こちらの診療方針を教えていただけますでしょうか。
当院の診療方針は、「患者さんの個人差を見極めて治療をしていくこと」です。この方針は、「補綴(ほてつ)」「歯周病治療」「予防歯科」の3つの柱で実践され、これらの治療技術があってこそ、患者さんの個人差に合わせた治療がめざせ、かかりつけ歯科医師となれるのだと私は考えています。大規模な病院では、科ごとに分業があり、専門の治療以外は行わない先生方もいらっしゃるんですね。専門分野に秀でることも素晴らしいですが、私自身がめざす診療スタイルは、一般開業医は十種競技と考えて、あらゆる治療ができるよう研鑽を積んできました。もちろん、難しい症例は大きな病院へ紹介することもありますが、基本的には当院で患者さんを治療できるようにしています。患者さんが抱える問題は人それぞれで、適した治療も異なりますので、自分の得意分野の治療に偏ることなく、自分が考え得る治療方法の中から患者さんに合った治療を提供するよう努めています。
個人差に合わせた治療で心がけていることはどんなことですか?
開業して10年以上たった中で感じたのは、虫歯や歯周病のなりやすさ、治りやすさには個人差があり、口腔内も人それぞれということです。ですので、患者さんの個人差を見極めてから治療を始めるようにしています。治療の流れとしては、現状を見極めるために、エックス線など通常の検査だけでなく、必要に応じたオプション検査も行います。検査結果に基づいた治療計画を立てたら、患者さんにわかりやすく説明し、患者さんが納得されてから治療を始めます。「個人差に合わせた治療」と聞くと、高額になりそうと思われるかもしれませんが、そうではなく、患者さんの大切な時間と費用を無駄にしないためにも、必要ないことはしません。個人差に合わせて最小の介入で最大の効果をあげることができれば、費用や時間を効率よく使えますし、健康な歯を保つことができると思うんです。
オーダーメイドの治療をするためにさまざまな機器を導入されているようですね。
当院では、機器や検査も多数用意しています。歯科用CTやマイクロスコープ、CAD/CAMシステムや歯科用多目的超音波治療器、位相差顕微鏡などの機器を備え、唾液検査や虫歯リスク検査といった歯周病の進行や虫歯リスクが数値化できる検査など、数多くの検査を取り扱っています。例えば、歯科用CTやマイクロスコープでは口腔内の精密な検査が可能です。位相差顕微鏡で歯垢の中にいる細菌を見れば、ある程度患者さんのリスクを把握できますし、治療の必要性や解決策がより患者さんにわかりやすくなると思います。患者さんには長く健康的な歯を保っていただきたい、高齢になってもおいしく食べ物を食べてほしい、そんな願いのために必要な機器や検査を導入しています。オーダーメイドの治療が提供できるので、患者さんに「ここだから通院したい」と思ってもらえたらうれしいですね。
歯科衛生士なくして歯科医療は成立しない
歯科衛生士さんが楽しそうに働いている姿が印象的です。
患者さんと仲の良い歯科衛生士が多いので、常に心強いと感じています。当院の方針である「3つの柱」を支えるために、歯科衛生士の存在は不可欠です。歯科衛生士が歯周病治療や虫歯の予防をしてくれることで、歯科治療は成り立っています。ですので、仕事がしやすいように環境や設備を整えるよう努めています。また、私も歯科衛生士も診療では拡大鏡を使っています。歯科衛生士は6倍、私は10倍の拡大鏡です(笑)。拡大鏡は肉眼では見えない箇所まで見え、細かな治療が行えます。年齢差のある医療スタッフでも同じように見えることはたいへん重要だと感じますね。歯科衛生士は、1人の患者さんに対して担当制にしています。責任と仕事の面白さを両方感じてもらい、患者さんとの信頼関係の構築や円滑なコミュニケーションも大切にしています。
予防ケアの大切さも伝えているのですね。
歯科医院と聞くと、歯が痛くなったら行くところとイメージされている方も多いかもしれません。しかし、理想は痛くならないようにすること。痛くなってからの治療だと、歯を削ったり、あるいは抜いたりと歯にダメージを与えてしまいます。それに、治療後の予防ケアを怠ればまた歯は悪くなってしまいます。しかし、どのようにケアしたらいいのかわからない方も多いと思います。正しい歯の磨き方を身につけることや歯垢を取ることも大事ですが、適した予防ケアも個人差があり、虫歯になりやすい人のケアとなりにくい人のケアでは必要な内容が違ってきます。予防ケアもオーダーメイドでお伝えしていますので、正しいケアを判断するためにも検査を行い、ご自身に必要な予防ケアを知ってもらいたいですね。
セルフルケア商品の紹介も熱心にされているとか。
はい。患者さんに合ったセルフケア商品の提案にも力を入れています。歯ブラシや歯磨き粉は患者さんのリスクに合わせたものを歯科衛生士が提案しています。本格的なセルフケア商品を使うと、患者さんも予防に対してより積極的になれると思うんですね。長く健康的な歯を保ちたいと思っている方には、ぜひ一度試していただきたいと思っていますので、お気軽にご相談ください。
常に患者から学び続ける姿勢を忘れず、診療に臨む
先生が歯科医師になろうと思ったきっかけを教えていただけますか?
子どもの頃から体を動かすことが好きで、学生時代はさまざまな部活に入って毎日汗を流し、休日は父と一緒に富士五湖までバス釣りに行っていました。ルアーを手作りして、うまく魚が釣れるように自宅の風呂で何度も試行錯誤、製作を繰り返しました。父からの影響はとても大きく、いつも活動的で自分が熱中するものを持っている人でした。ある時、父が大好きな飛行機について語っているのを見ていて、自分にも何か熱中できるものを見つけたいと強く感じたんです。それから将来の職業を真剣に考えるようになりましたね。歯科医師は人の役に立てる仕事で、細かな手作業を必要とする仕事です。ルアー作りに夢中になった私にぴったりの仕事でした。歯科医師となった今、皆さんの健康に貢献できることは、私の喜びとなっています。
患者さんから刺激を受けることはありますか?
茅ヶ崎は生き生きしたアクティブな患者さんが多いなと感じます。患者さんのはつらつとした雰囲気がいつも院内にも広がっています。茅ヶ崎が好きで移り住んだ方も多く、私自身も大好きな地なので、同じ気持ちの方と接することができとてもうれしいです。「長く人生を楽しむために、健康な歯を維持していこう」と、思っている方が多いですね。人生を楽しんでいる方が多いからこそ、歯に関心を持つ方も多いのかもしれません。そうした気持ちに応えられるよう日々治療に励んでいます。私自身、健康のために整体やジムに通っていますが、継続することへの難しさを感じていますので、当院に定期的に通ってくださる患者さんを見ると、いつも「見習わなければ」と思います。患者さんから学ぶことはとても多いですね。健康に積極的な姿勢は私自身にもとても刺激になって、より良い治療、より深い知識を求める歯科医師としての姿勢につながっています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
当院は、歯科医師、歯科衛生士、患者さんの「三位一体」で治療を進めていくことを大事にしています。患者さんが納得できる形で、健康への理想に近づけるよう一緒に協力していきたいと思っています。