ながふち整形外科 (横浜市港北区／日吉駅)
永渕 龍彦 院長の独自取材記事
日吉駅から歩いて7分ほど、綱島街道沿いにあるのが「ながふち整形外科」。電車でも車でも、アクセスの良好な整形外科医院だ。整形外科とともにリウマチ科やリハビリテーション科としての診療も展開。周囲には学校も多いため、若者から高齢者まで、連日、幅広い層の患者が訪れているという。院長の永渕龍彦先生は、優しく明快な話し方が印象的なドクター。「整形外科の治療にあたっては、病状や治療方針を患者さんに十分に理解していただくことが重要。そのため、わかりやすい説明を心がけています」と語る。同院で力を入れている治療やリハビリテーションについてから、院長が日々の診療で大切にしていること、やりがいまで、幅広く話を聞いた。
リハビリや漢方で、予防につながる本質的な治療を提供
どのような患者さんが来院していますか？
近くに学校が多いので、けがやスポーツ障害がある学生さんなど、若い方がたくさん来られます。また長時間デスクワークされる働き盛りの方や、育児で忙しいお母さん方などで慢性的な肩凝り、腰痛で悩んでいるケース、足腰に痛みを抱えた年配の患者さんや骨粗しょう症の方も多いですね。もちろん日常で起きる傷や骨折など外傷の治療も行います。リウマチについては、内科の先生と連携しながら、生物学的製剤といったお薬の利用とともに関節注射やリハビリ、また関節を保護するための装具療法などの整形外科的な治療も併せて、総合的に診療します。私の母もリウマチを患っていますので、普段から病気をよく診ていますし、患者さんが感じるつらさもわかります。
リハビリテーションに力を入れていると聞きました。
病気やけがで損なわれた体の機能を回復させ、日常生活に復帰させるための運動や訓練を行うリハビリテーションですが、整形外科でもスポーツや日常的なけが、あるいは大きい手術の後の機能回復はもちろん、日常生活の動作や姿勢、加齢からくる首、肩、腰、膝の痛みや凝りを診たり、再発を予防したりといった重要な役割があります。当院には4人の理学療法士が在籍しており、医師と緊密に連携しながら患者さんに対応しています。一人ひとり異なる患者さんの症状を評価しながら、治療目標を立て、それぞれに合わせたプランで、いわゆるオーダーメイドの治療を提供しています。
リハビリは具体的にどのように行うのですか？
整形外科のリハビリには、2つの方法があります。一つは、機械で温めたり、骨折を早く治すための超短波電気刺激、低周波などの電気刺激で体をほぐしたりなど、機械による物理的刺激を利用する「物理療法」。もう一つは、医師や理学療法士の指導のもとに、痛みの原因になっている日常の姿勢や動作の改善、症状のある部位のストレッチや体操などの機能訓練、リラクゼーションを行う「運動療法」です。当院ではまず患者さんの訴えを聞き、診察やエックス線検査などで診断し、内服薬の処方、関節や痛い部位への注射、骨折などのギプス固定といった治療を行い、補助的に物理療法を実施。さらに理学療法士と協力しながら、運動療法を行います。
漢方薬の処方も行っていらっしゃるそうですね。
高齢の方に多い長引く腰痛や膝の痛みなどに、西洋医学とは異なるアプローチとして漢方薬をご提案することも増えています。副作用が少なく、体質改善をサポートすることで症状の緩和をめざす漢方薬は、私自身年齢を経るととともにその使いやすさを実感しています。体格やむくみ、冷えの有無などに合わせて処方する漢方薬は、西洋薬が効きにくい手足の冷えやむくみ、お年寄りの慢性の腰痛、関節痛などに思いのほか効果が期待できることがあります。当院で扱う漢方薬はすべて医療保険が適用されるものなので、安心してお使いいただけます。
患者目線でのわかりやすい説明で、不安や疑問を解消
整形外科の医師として、どんなところにやりがいを感じていますか？
日常生活に密接な病気を治療するため、多くの患者さんに喜んでいただけることですね。大学病院時代は、膝や股関節など日常生活で体重がかかる「荷重関節」を専門としていました。体重がかかる関節に問題があると、その人の日常生活に大きな影響があるので強い関心があったのです。その後、鶴見区の片山整形外科記念病院では、手術を含め整形外科全般の診療を研鑽させていただきました。整形外科の手術はダイナミックですし、エックス線検査で結果が明らかにわかるのでシビアな面がありますが、うまくいったときに患者さんに満足していただけることは、外科の医師としての醍醐味でもあります。今は、クリニックの診療でもここまでできるという日々の発見があり、病院に勤めていた時とは違ったやりがいがあります。理学療法士などのスタッフから教わることも多く、また、漢方薬を治療に用いるようになり、整形外科の医師として治療の引き出しが増えました。
診療において、心がけていることを教えてください。
整形外科のクリニックは、肩凝り、腰痛など日常生活で誰にでも生じる症状を抱えた方が最初に飛び込む医療機関。患者さんは、なぜ症状が出たのか、これからどんな検査・治療が始まり、結果的にどうなるのか、治療は痛いのか、治療にどれくらいの期間が必要なのかなど、不安や疑問だらけです。そのため患者さんが理解しやすく安心できるような、わかりやすい説明を心がけています。また整形外科的な治療や物理療法、運動療法など、できる限りの治療法を駆使して患者さんの早期回復に努めますが、それだけでは解決しないような病状の場合は、速やかに専門の基幹病院にご紹介します。どの時点で専門家の診療を仰ぐのかを見極めるのも、開業医にとって大切なことだと思います。
患者さんへの健康のアドバイスはありますか？
近年、特に高齢者の方の健康志向が高まっています。皆さんいつも体を鍛えておられ、お元気で、アラウンド60の私はいつも圧倒されています。ただ無理をして体を壊す方も時々お見かけします。例えば膝が痛くて腫れている体重80kgの方が「痩せるために毎日1万歩以上歩く！」と頑張って膝痛がひどくなったり、「心肺機能を鍛えるため」と毎日3000m平泳ぎして腰が痛くなったり。一度決めたルーティンを崩すのを避けたい気持ちは理解できますが、何かしら症状が出た場合は、体と相談しながら楽しんでいただきたいです。また特に30～40代の主婦の方は、家事や子育てで忙しくて自分自身の体に構う時間がないように見えます。例えばお子さんが学校に行っている間、週に数時間でもいいので自分のために使う、リラックスできる時間をつくるだけでも、肩凝りや腰痛などは減ってくると思いますよ。
情報提供による意識向上で、地域の健康に貢献を
医師になろうと思ったきっかけを教えてください。
子どもの頃喘息があって、医師のお世話になることが多かったので、自然と「格好いいな」と思うようになったのかもしれません。実は小学生の時にピアノを習っていて、クラシック音楽も大好きだったのですが、ドイツ人の医師・シュバイツァーがパイプオルガンの名手でもあったと知り、憧れていたこともありましたね。中学生になってからは、医師でもある作家たちが書いた小説を読むようになって、大きな刺激を受けました。それで私も医師をめざすようになったんです。
プライベートでの趣味や健康法はありますか？
毎朝5時に起きて45分のウォーキングと、近くのスポーツクラブのプールに通っています。水泳はまだ始めたばかりの初心者ですが、ランニングとともに有酸素運動の代表ですので、ゆっくり1000m泳ぐだけでも心も体もリフレッシュされて、ストレス解消にはもってこいです。また、時々ゴルフにも行ってます。もちろん、家族と過ごす時間も大切にしています。
最後に今後の展望を教えていただけますか？
整形外科で扱う症状は、日常生活や姿勢などが関係してきますので、当院ではそういった点の改善も含めてトータルに指導をしています。こうした方針による診療を大切にしながら、いずれ状況が落ち着いたら院内や地域の集会所などでセミナーのようなこともできたらいいなと考えています。医師として診療のたびに患者さんに同じことを繰り返しお伝えしていますが、そうした情報をまとめてご提供することで、地域の皆さんの意識向上につながればと思っています。意識を高めることで、皆さんが痛みなどのつらい症状を避けられるよう、お役に立てればうれしいですね。
