玉川歯科医院 (大阪市城東区／関目駅)
玉川 明弘 院長の独自取材記事
京阪本線関目駅からすぐという下町情緒あふれる地域にある「玉川歯科医院」を営む玉川明弘院長。京阪本線の関目駅、そして大阪メトロ谷町線関目高殿駅に加え、10年前に大阪メトロ今里筋線の関目成育駅ができて以来、新しいマンションも増えつつあるこのエリア。下町と新しい居住者が混じり合い活気ある街を形作っている関目で半世紀近く地域のかかりつけ医として親しまれてきている玉川院長は、大阪市内や宝塚などのクリニックや病院で豊富な臨床経験を積み、腕を磨いてきたベテラン歯科医師だ。サッカーや食べ歩きなど自分自身の趣味の話や冗談を織り交ぜながら、親身にカウンセリングを行うという玉川院長に、その治療方針や将来への展望などを幅広く取材した。
約20年、この街で歯の健康を見守り続けて
この地で歯科医院をやっておられる理由をお聞かせください。
この歯科医院は妻の実家です。実は妻も同じく歯科医師で大阪歯科大学出身なんです。私は大学を卒業してから、大阪市内のいくつかのクリニックや総合病院で歯科医師としての経験を積み、最後にお世話になったのが宝塚市にあるデンタルクリニックでした。その頃に起こったのが阪神大震災。勤めていたクリニックは幸いなことに無事だったのですが、通勤が困難になり、妻の実家であるこの歯科医院を継ぐことを決めたんです。
それでは関目にはなじみがなかったのでは？
私の父が関目から南へ下ったあたりで歯科医院を開業していたので、この辺りは昔から知っていました。妻と付き合っている時になってわかったんですが、父と義父は歯科医師同士、昔から親しかったようです。私もこのすぐ近くに住んでいた時期がありますが、幼い頃は体が弱く、転地療養ということで宝塚へと引っ越したんです。最近では元からあった京阪の関目駅と地下鉄の谷町線の関目高殿駅に加え、今里筋線が開通して関目成育駅ができましたから、交通の便が良くなって、新しいマンションが増えてきましたね。でも、懐かしさ漂う商店街や長屋のご近所付き合いも残っています。
こちらにいらっしゃる患者さんの年齢や症状に傾向はありますか？
下町ですから、昔から住んでいる高齢者の方が多いですね。そうすると歯の摩耗、歯茎の痩せ、顎や舌の運動機能の低下などといったトラブルは多くなってきます。他の病気を抱えてらっしゃる方も多いですね。5種類以上の薬を服用していると、唾液の分泌量が減少するんです。唾液には抗菌作用や歯垢や食べかすを洗い流す自浄作用、そして再石灰化作用がありますから、唾液が少ないと虫歯になりやすくなったり、歯周病が進行しやすくなるんですね。そういった高齢者に特有の症状に気をつける必要があります。それと入れ歯に関する要望が多いですね。入れ歯も昔ながらの金具のついたワイヤークラスプに、より精度の高い入れ歯が作れるキャストクラスプなどさまざまな種類があります。それぞれ症状や目的によって一長一短。そういった点をわかりやすく丁寧に説明するのが私の仕事だと思っています。
なるべく歯を抜かず、今ある歯を大事にしてほしい
診療の際に大切にされていることは？
患者さんは歯の痛みをなんとかしてほしいと来院される場合がほとんど。虫歯の痛みを解消することも大切ですが、歯科医師としては元からある歯の保全に全力を尽くすのが本分だと考えています。ですから、親知らずは別ですが、むやみに歯を抜いたり、削ったり、神経を抜かないように配慮しています。歯を抜いてしまってもインプラントを入れれば、元の歯のように快適に噛めると思っておられる方もいらっしゃいますが、実際はそうではありません。インプラントは顎の骨に直接埋め込むもので、天然歯のように歯根膜というクッションがあるわけではありませんから、噛み心地はずいぶんと違うものです。インプラントは欠損してしまったところを補うための人工材料であって、決して天然歯に代わるものではないというのが私の考えです。それとこれは自由診療になりますが、下町の患者さんたちには、治療費のことは大事ですから（笑）。
患者さんにどういったアドバイスをしていらっしゃいますか？
「歯磨きやデンタルフロスをしてくださいね」と言うだけなら簡単です。でも、毎日のことだけに患者さんにやる気になってもらわないとどうしようもないんですね。私自身、かかりつけの医師からお酒を控えるようにと言われている身ですが、なかなかこれが難しい。患者さんの気持ちもわかります。ですから、違うアプローチを取ることにしています。私は食べ歩きが好きなんですが、「どこどこのお肉がおいしかった」とか「あそこの刺身は新鮮で」といった話を治療の合間にするんですよ。おいしいものを食べたい気持ちは皆さん持っているでしょうから、こういった話から食べるのに必要不可欠な歯を大切にしようという気持ちになってくればいいなと思っています。
診療の際に大切にされていることは？
私は大学を出てすぐに働きだしましたから、どちらかというと現場で経験を積んできました。口腔外科やインプラント治療といった専門知識に特化した歯科医師ではありませんが、数多くの症例を見てきた経験が私の財産だと思っています。患者さんから「説明がわかりやすい」といったお言葉をいただいているのも、豊富な経験のおかげです。ただ、重症の患者さんの場合はどうしても治療に時間がかかってしまいますし、耐えきれない痛みで来院した急患の方がいれば、予約してきた方を待たせてしまうこともあります。そういった面で治療の迅速さなど、まだ自分に満足できていない部分もありますね。
患者のニーズに合わせて地域に親しまれる歯科医院に
趣味についてお聞かせください。
先ほどもお話ししましたが、子どもの頃は体が弱かったのですが、宝塚へ転地療養したおかげか、中学校に上がる頃にはサッカーができるぐらいに丈夫な体になりました。それからはサッカーざんまいですね。中学時代はゴールキーパー、高校はサイドバック、大学ではスイーパー、今のポジションでいうとセンターバックをやっていました。歯科医師でもある妻と出会ったのも大学時代のサッカー部ですから、私は歯科医師とサッカーが人生の大半といってもいいかもしれません。実は5年前から社会人チームにも所属しています。それと音楽も趣味の一つ。プロレスもよく見に行きますし、若い頃、好きだったアーティストのコンサートがあれば足を運んでもいます。
なるほど。その話題の豊富さがカウンセリングに役立っているんですね。
多趣味な部分がカウンセリングに役立っているといったことはあまりないんじゃないかな（笑）。でも、いろいろ世間話の話題があるのは患者さんの気を楽にするのに役に立ってるかもしれませんね。実際、患者さんと話をしている中で雑談が8割。でも、そんな中で患者さんと打ち解けるきっかけが見つかることもありますね。
最後に、今後の医院の展望を教えてください。
義父の時代から続いてきたこの歯科医院は、私が継いでからの時代を合わせると半世紀以上になると思います。私自身の心構えとしては、今までどおり地域のかかりつけの歯科医師としてやっていこうと思っています。実は、次男が歯科医師の道を歩み始めていまして、当院を継ぐ意志があるようです。といっても今はまだ大阪歯科大学の学生ですが。子どもの自分がたどった道を息子が歩んでくれるというのはうれしいものです。そして、この地域の患者さんを診続けてもらえれば安心できますね。
