細田歯科医院 (柏市／柏駅)
細田 哲寛 院長の独自取材記事
「地域の皆さんがおいしいご飯をいつまでも自分の歯で食べられるように」との思いで日々診療にあたっているのは「細田歯科医院」の細田哲寛院長だ。2022年に先代院長である父から継承し、患者に寄り添った対応を行っている。診療では患者に多くの選択肢を提示する「インフォームドチョイス」を採用。基本に沿った良質な診療に努めている。また、インプラント治療に注力しており、歯を抜いた同日にインプラントを埋入する「抜歯即時埋入」や、埋入したその日に見た目の自然な仮歯をインプラントの上に立ち上げる「即時荷重」などにも症例に応じて対応する。一般的な歯科診療も時間をかけて丁寧に応じており、クリニック一丸となって患者の健康な口腔「健口」を支え、再治療の必要がない確実な治療をめざしている。
インフォームドチョイス方式の診療で患者に寄り添う
診療で大切にしていることを教えてください。
複数の選択肢の中から患者さん自身に選んでもらい、一緒に治療計画を立てていく「インフォームドチョイス」を大切にしています。説明と同意を意味する「インフォームドコンセント」ももちろん大切ですが、そこからさらに一歩踏み込み、選択肢をご提示し、選んでいただくのが当院の基本的な方針です。「もし自分が患者さんの立場だったら」と考えたとき、何を重視したいのかは人それぞれ。歯科医師側が勝手に押しつけるものではないと思ったからです。診療に対する考え方や求めていることは、患者さん一人ひとりで異なります。そうした違いに寄り添った治療をするためには、インフォームドチョイスがより良い方針だという結論に至りました。
治療におけるこだわりを教えてください。
こんなに時間をかけるのかと驚かれるくらい、一つ一つの処置を時間をかけて行っています。例えば、一般的な虫歯治療で虫歯が染め出されている箇所が少しでもある限り、何度でも治療と染め出しを行い丁寧に処置をしています。確認作業を徹底しながら進めているので、患者さんの待ち時間は長くなってしまいますね。それでも、せっかく治療に来たのにしっかり治療できないのでは元も子もありませんので時間は惜しみません。再治療の必要がない確実な治療をめざしています。
「再治療にならない治療」を心がける先生ならではの特徴ですね。
当院ではインプラント治療に力を入れておりますが、私の根底にあるのは自由診療の礎となる保険診療、いわゆる「普通の治療」を丁寧に一つ一つ行うことです。お口の中に虫歯を残すような治療は決して行わないと肝に銘じて、細心の注意を払っています。保険診療はすべての歯科医師が最初に学び、実践するもの。私の場合は以前の勤務先の院長先生に「保険診療を丁寧にやれば患者さんの信頼が得られ、お付き合いが広がっていく」と、言われたのがきっかけで、各治療や薬剤の使い方などを探求してきました。また、衛生管理も基本に忠実に徹底し、特に根管治療では根管内に細菌や唾液が侵入しないようラバーダムを用いて、注意しながら治療を進めています。グローブなどもこまめに交換し、治療器具は高レベルの基準を満たした滅菌器で十分に滅菌。必要に応じて個包装にして管理しています。
手作りの資料で予防歯科の重要性を伝える
予防歯科にも力を入れているそうですね。
歯科衛生士3人が、チームとして予防歯科に取り組んでいます。例えば、クリーニングや歯周病検査のタイミングや頻度についても、個人の感覚に頼るのではなく、チームで話し合いながら、再現性の高い診療をめざした仕組みづくりを進めています。また、患者さんには予防意識を高めていただくための資料をお渡ししています。既存のものではなく、「患者さんに親近感を持って読んでいただきたい」という思いを込めて、歯科衛生士が中心となり、当院で独自に作成したものです。私自身の口腔内写真を使い、デンタルフロスの重要性や歯ブラシの使い方などをわかりやすく伝えています。実際に、資料をきっかけに定期的なメンテナンスに通われるようになった方や、フロスの大切さを実感された方もいらっしゃいます。今後は、治療後にご自身の口腔内の変化が一目でわかる資料をお渡しし、継続的なメンテナンスの動機づけにつなげられたらと考えています。
こちらでのインプラント治療の特徴について教えてください。
来院回数や治療期間、手術回数をできるだけ減らし、痛みや腫れを抑えて、患者さんが不自由に感じる期間を最小限にできるよう努めています。当院では、歯を抜いた同日にインプラントを埋入する「抜歯即時埋入」という方法を取り、1本のみの治療であれば、多くの場合3ヵ月程度で治療が完了します。また、埋入したその日に見た目の自然な仮歯をインプラントの上に立ち上げる「即時荷重」にも、症例によって対応しています。十分に骨の幅や厚みがない場合でも、骨を押し広げるための技術やショートインプラントの活用などによって、骨を作らなくても埋入できるような工夫をしています。とはいえ、すべてのケースが短期間で終わるわけではありません。全体的な治療が必要な場合や、患者さんの骨の状態によっては、長く時間がかかる場合もあります。それでも、できる限り患者さんの負担が少なく、治療期間もなるべく短くなるように、最善を尽くしています。
患者さんとのコミュニケーションにおいて心がけていることを教えてください。
患者さんのお話はしっかりとお聞きするようにしています。お話を途中で遮らず、肯定も否定もせずに最後まで耳を傾ける姿勢が大事だと思います。口調や話すスピードなども相手に合わせて柔軟に変えています。あとは、診療時に一人ひとりに合った歯科情報をご提供しているのも特徴です。忙しくて歯磨きに時間をかけられない方に「夜だけは頑張ってください」と、お話しすることもあれば、栄養の観点から生活へのアドバイスを行うこともあります。ご本人が無理なく取り組める提案の仕方を考える上でも、患者さんとのコミュニケーションがヒントになりますね。
患者の「健口」とスタッフの実りある生活を願う
院外ではどのような活動をされていますか？
柏歯科医師会の広報対外啓発委員として市民の皆さんに向けた啓発活動を担当しています。例えば、噛むことの大切さをテーマにした「健康かむかむフェスタ」というイベントを開催し、料理研究家の先生をお招きして、しっかり噛んで食べる料理を作ったこともありました。イベントを通じて「噛むこと」や「お口の健康」に興味を持っていただき、予防意識を高めてもらいたいですね。地域の方にとって「お口のことを学べる場」となればうれしいです。最近ではお子さんの「お口ポカン」が増えているほか、ご高齢の方では噛む力が衰えることで全身の健康に影響が出る「オーラルフレイル」の問題もあります。こうした背景も踏まえ、お口の機能を守ることが全身の健康維持につながると伝えていきたいです。また、千葉県歯科医師会の学術委員会としても活動しており、韓国の学術大会での国際交流や、県の学術大会の運営、歯科衛生士の育成等を行っています。
今後の展望をお聞かせください。
当院では「働いていて良かった、通っていて良かったと思ってもらえる歯科医院にする」というビジョンを掲げています。患者さんはもちろん、働くスタッフも、そう感じられる場所でありたいという思いを込めました。当院には、私が子どもの頃から勤務しているベテランスタッフもいます。今後も長く勤めながら、いつか「ここで積んだ経験が、自分の土台になっている」と思ってもらえたらうれしいですね。患者さんに対しては、「定期検診に通いましょう」などと、時には口うるさく感じられるほどお伝えすることもありますし、治療内容によっては1回の処置に長時間かかることもあります。それでも、「あの時頑張って受診して良かった」と思っていただけるような診療を提供しながら、多くの患者さんの健康なお口、つまり「健口」に携わりたいと考えています。
読者へのメッセージをお願いします。
開業以来、すべての患者さんに可能な限り寄り添いたいという考えは変わっていません。偏った意見ではなく、多方面から得た知識を公平な目線から判断・説明し、その方にとってベストな治療を選ぶお手伝いをいたします。複数の歯科医院を受診し、それぞれ異なる治療を勧められて困っている方にこそ来ていただきたいですね。じっくり時間をかけ、情報を整理しながら一緒に治療計画を立てていきますので、お悩みがあればぜひ気軽にお越しください。
