柳 裕一郎 院長の独自取材記事

感染症からアレルギーまで、幅広く対応する耳鼻咽喉科

院長のご経歴と医院の成り立ちを簡単に教えてください。

1998年に昭和大学医学部を卒業後、昭和大学藤が丘病院に3年ほど勤務しました。その後、2001年に昭和大学横浜市北部病院の耳鼻科立ち上げに携わり、2007年8月に当院を開業しました。今年でオープンして14年になります。この場所は、勤めていた病院が近いため連携を取りやすいだろうと思い選んだのですが、近隣で開業している同門の先生方も多く、病診連携はもちろん診診連携もスムーズに進められる良い場所だと感じています。また、今も病院に勤務する先輩や同級生とは互いによく知る仲ですから、紹介状のやり取りをするだけでなく、電話などで患者さんの状況を密に共有し合うことができます。このことは、私たち医師にとっても患者さんにとっても、大きなメリットだと思いますね。

どんな症状で受診する人が多いですか？

鼻水・鼻づまりの風邪症状からアレルギー性鼻炎、花粉症、喉の違和感、副鼻腔炎、めまい、耳鳴りなど、耳鼻科を受診される患者さんの症状は多岐にわたります。また最近は、甲状腺疾患が疑われる首の腫れを訴えて来院される方もいらっしゃいます。あとは、「魚の骨が喉に刺さったから取ってほしい」という方も結構いらっしゃいますね。通い慣れたクリニックで治療を受けられたほうが患者さんにとって安心でしょうから、できるだけ幅広い範囲の治療に対応できるよう診療設備を整えています。

設備面でのこだわりを詳しく伺えますか。

院内での待ち時間を短縮するため、2ヵ月先まで希望の日時を指定して予約できるシステムを採用しています。10分間隔で予約でき、風邪がはやる時期などは多少お待たせしてしまうこともありますが、混んでいなければほぼ予約時間どおりです。予約方法もインターネット、電話、受付で直接と対応していますので、次回の来院日が決まっている方は受診後すぐに予約を取るなど柔軟にご利用いただけます。他に、CTを導入しており、診察の中で気になることがあればすぐに詳しい検査を受けていただける体制です。また、腕からの採血をすることなく迅速にアレルギー検査を行えるアレルギースクリーニング装置も新たに導入しました。

負担を抑えたアレルギー検査や上咽頭擦過療法も

新しいアレルギー検査はどのようなものですか。

指先に小さな針を刺して血液を1滴取ることで、食物や植物、動物など、41項目のアレルゲンへの反応を調べることができる検査です。採血の負担が少ないので、2歳程度の小さなお子さまから気軽に受けていただけます。専門機関へ検体を送る従来の検査では結果が出るまで数日を要していましたが、この検査では最短30分で結果がわかります。アレルギー症状をお持ちの方がアレルゲンへの接触を繰り返していると、より重い症状へと移行したり、口腔アレルギー症候群など別の症状が出てきたりということもあります。原因を突き止めてできるだけ接触を避けることが重要なのです。

口腔アレルギー症候群は食物アレルギーとは異なるのですか。

乳製品や小麦などに対する食物アレルギーとは少し異なり、特定の野菜や果物などに反応して、口内や喉の接触部分に痒みや腫れなどが出るものです。花粉症との関連が指摘されており、長年花粉症に悩まされてきた人で、ある日突然反応が出始めたという方も増えています。両者に含まれているタンパク質の構造が似ていることで交差反応が出るのです。検査によりご自身のアレルギーを知ることで治療の選択肢を増やすことができ、スギ、ダニアレルギーの方であれば根治療法である舌下免疫療法を行うこともできますし、食物アレルギーであれば、摂取を避けることによって重篤なアレルギー反応（アナフィラキシーショック）を防ぐことも期待できます。

そのほか、力を入れている治療があれば教えてください。

力を入れているというわけではないのですが、Bスポット療法（上咽頭擦過療法）も実践しています。鼻と喉の境目である上咽頭部分を、薬剤を染み込ませた綿棒で擦って刺激する治療法です。後鼻漏、痰咳、鼻の奥の痛みや違和感がある方に行うもので、この治療を希望して受診される方もいらっしゃいます。

安心して受診できる体制で、愛され信頼される医院に

診療の際に心がけていることは何ですか。

私だけでなくスタッフ全員で気をつけていることですが、いつでも穏やかに接し、恐怖心を与えないことですね。些細なことでも患者さんが不安に思っていることがあれば、丁寧に話を聞いてお答えするようにしています。子どもの頃、クリニックの先生やスタッフに対して何となく怖いというか、少しとっつきにくい印象を持っていたので、できるだけ親しみやすい雰囲気にしたかったんです。患者さんとは病気に関する相談はもちろん、ちょっとした世間話をすることもよくありますね。また、私を含めてスタッフ同士の距離感も近いと思います。受付や待合室で患者さんと接する中で要望などをくみ取って、「もっとこうしたらどうですか？」と提案してくれることも多く、とても助かっています。こうした一人ひとりの意見が院内環境の改善・向上につながると思うので、患者さんとスタッフ、そしてスタッフ同士、壁のない関係性はこれからも大切にしていきたいです。

医師をめざされたきっかけを教えてください。

もともとのきっかけは、開業医だった祖父の存在です。日々熱心に診療に励む祖父の姿を見て育ち、医療の道をめざしました。祖父が亡くなった時、たくさんの患者さんが道に並んで見送ってくださり、子どもながらに「地域の人のために尽力していたんだな」と、尊敬の思いを抱いたことを覚えています。また、実は叔父も医師でして、先日亡くなったのですが葬儀には祖父の時と同じように多くの方が足を運んでくださいました。スタッフの方も家族のように涙を流してくださって。長年にわたり地域医療に尽力し、近隣の方々やスタッフと強い信頼関係で結ばれていた祖父や叔父のような医師になれるよう日々の診療を一層頑張ろうと、身の引き締まる思いです。

休日の息抜きや気分転換の方法は？

新型コロナウイルス感染拡大を受けて、できないことも増えました。今は愛犬であるパグの「ラヴ」と一緒に自然の中に出かけ、散歩などを楽しんでいます。あと、以前料理教室に通ったことをきっかけに、毎日料理をするようになりました。近頃は家で過ごす時間が長くなったことで、こちらのほうも本領発揮の機会が増えてきましたね。

今後の展望をお願いします。

祖父や叔父のように、たくさんの患者さんやスタッフに愛され信頼される医師でありたいですよね。このエリアには耳鼻咽喉科も小児科も数多くありますが、それでも「柳先生がいなくなったら困る」と慕っていただけるような信頼関係を築けたら本当に喜ばしく思います。患者さんのニーズをくみ取り、できる限りそれに応える診療を積み重ねて、地域に貢献していければと考えています。新型コロナウイルス感染拡大を受けて受診を不安に感じられる方もいらっしゃるようですが、当院では発熱者は完全に動線を分けて対応するなど感染拡大初期から対策し、安心して受診していただけるように体制を整えています。気がかりがあればお気軽にご相談いただければと思います。