こどもの木クリニック (横浜市都筑区/江田駅)
百々 秀心 院長、羽田 紘子 先生の独自取材記事
都筑区荏田南の幹線道路沿いに拠点を構え、2026年4月には開業20周年を迎えた「こどもの木クリニック」。小児循環器を専門に、小児科診療で豊富な経験を持つ百々秀心(どど・ひでみ)院長を中心に、児童精神科、小児皮膚科、整形外科といった多彩な専門性を持つドクターが集まり、子どもたちの健やかな成長を支える診療を担っている。診療は予約制を取っており、感染症の流行期や複数の幼い子どもを連れての受診でも、気兼ねなく来院できそうだ。同院の診療方針や各診療科の特徴などについて、百々院長と児童精神科を専門とする羽田紘子先生に詳しく聞いた。
経験に基づく専門性を武器に、子どもの心身を見守る
クリニックの特徴を教えてください。
【百々院長】小児科全般の診療と、乳幼児健診や予防接種を担う地域密着型のクリニックです。咳や鼻水、発熱など感染症が疑われる急性症状や、腹痛や下痢をはじめとした胃腸症状、湿疹や発疹といった皮膚症状など幅広く診ています。加えて、私が国立成育医療研究センターなどで循環器を診ていた経験を生かし、小児循環器の専門的な診療も枠を設けて対応しています。また、開業以来ニーズの高まりを実感してきた心の問題については児童精神科を専門とする羽田紘子先生に、小児に多く見られる皮膚トラブルは、神奈川県立こども医療センターに30年以上勤め、皮膚科医長・部長を歴任された馬場直子先生に、子ども・大人問わず診療可能な整形外科は脊椎を専門とする百々悠介先生にそれぞれ診療をお願いしています。
どのような方針で診療されているのですか。
【百々院長】診断時の見落としを減らすために、丁寧な聴診に、客観的な検査での確認を重ねます。そしてそれぞれに適した治療を提供します。私は、経験によってのみ磨かれる診療での「嗅覚」や「感覚」があると思っています。長く病棟で術前術後の子どもたちを24時間見守り、聴診器を当ててきた経験により、音を聴くことでおおよその判断がつくと自負しています。当院でも胸側、背中側の双方から部分に分けて肺と心臓の音を丁寧に聞き、エックス線、心電図、エコーや血液検査などでの確認も重ねて、状態を詳細に把握するよう努めています。
【羽田先生】児童精神科でも状態を精密に把握することは大切にしており、男女3人いる専任のスタッフがWISC-IV、新版K式発達検査などの心理検査を実施します。初診では30分の枠を用意していますが、本人の話に注力するため、診療に先駆けて専門知識を持った看護師が親御さんの話を聞く機会も設けています。
どのように適切な治療につなげていらっしゃるのでしょうか。
【百々院長】子どもの病気は刻一刻と状態が変わりますから、必要に応じて毎日、あるいは午前午後と受診していただき、胸の音や酸素飽和度、熱の出方などを確認して、薬を変えたり、細かく調整したりすることもあります。また、当院で対応が難しいと判断されるようなケースでは、必ず私自身が信頼するドクターを見つけ、事前に直接お話しして情報を共有した上でご紹介するようにしています。児童精神科や小児皮膚科を開設したのも、もとは地域で適切な治療につなげることが難しかったのがきっかけです。
生きづらさを抱える子どもを、生きやすくしたい
児童精神科ではどのような子を診ておられますか?
【羽田先生】特に専門である発達障害のお子さんの診療に注力しています。幼児から中高生まで、幅広い年齢の子が、発達特性によるさまざまな生きづらさを抱えているのです。特に女の子の場合、症状が顕在化しづらく、本人もコミュニケーション能力などで問題をカバーしてしまうため、発見が遅れるケースも少なくありません。同じADHD(注意欠如・多動症)でも、男子では多動性や衝動性といった一見してわかりやすい症状が出がちなのに対し、女子では集中力の欠如やケアレスミスといった不注意の症状が出ることが多い傾向にあります。生きづらさを抱えながら我慢や努力を重ねて日常生活を送ることは、本人にとって大きな負担になります。些細なことでも違和感があれば相談してみてください。
どのような治療が受けられますか?
【羽田先生】発達障害では、本人の特性を把握し、日常生活を送りやすくするサポートを行うことが治療の軸となります。薬物療法や認知行動療法に加え、特性に合わせた環境調整も重要です。横浜市は幼少期からの療育や、教育現場での対応が充実していて、幼稚園や保育園の先生方からの指摘で受診に至るケースもよくありますし、健診時など専門家に相談できる機会も多く用意されている印象です。幼少期からサポートにつながるチャンスが多いのはとても良いことなので、診断がつく・つかないは別として、気がかりなことがあれば見過ごさず、早期に何らかの機会を利用してご相談いただきたいです。
児童精神科は地域でどのような役割を持つのでしょうか?
【百々院長】低血圧で朝なかなか起きられず、学校を休みがちになるお子さんもいるでしょう。起きられない症状は薬などで改善がめざせても、すでに欠席が続いていたら学校に行きづらく、不登校から抜け出せないケースも多いのです。そうした悪循環に入る前に、気軽に相談できる窓口として児童精神科があることは大きいと思います。
【羽田先生】ご家族も「他の子と比べてここが違う」といった悩みを抱え込むと、出口が見えず、苦しくなってしまう事があります。児童精神科で客観的な検査や診断を受けて、お子さんの苦手分野と得意分野がはっきりすれば対処法もわかるはずです。当院の医師やスタッフのアドバイスを受けて「少し生きやすくなった」と感じていただけるとうれしいですね。
小児皮膚科、整形外科の診療も展開
小児皮膚科の診療についてもお聞かせください。
【百々院長】小児皮膚科は馬場直子先生が診療を担当します。私自身も小児科医として赤ちゃんからの皮膚疾患は診てきましたが、小児専門病院で長く皮膚科診療を担ってきた馬場先生の診療は深みが違うと感じます。子どもの皮膚疾患は大人とは症状や治療法が異なる場合が多く、乳幼児期、学童期、思春期と成長に応じて対応を変える必要もあります。対して、小児皮膚科を専門とする医師はごく少数。アレルギー疾患が連鎖する、通称「アレルギーマーチ」を防ぐには、乳児期のアトピー性皮膚炎をしっかり治療することが大切とされています。一見症状が出ていないように見えても、実際は炎症があるケースも多いです。適切な薬の選択や薬をやめる判断には、小児皮膚科の専門知識が必要だと強く感じています。また近年、多汗症の治療において保険適用の薬が登場しました。制汗剤の多用で我慢していた方も、ぜひ一度ご相談ください。
整形外科の外来も新設されたそうですね。
【百々院長】2026年4月から、百々悠介先生が整形外科診療を担当しています。整形外科に関しては、お子さんだけでなく大人の方も診療を受けることができます。悠介先生は脊椎を専門としているため、首や腰の痛み、手のしびれなどは特に専門的な診療が行えます。手術を要するケガなど、さらに専門の医療機関での治療が必要な場合は、悠介先生自身も在籍する昭和医科大学藤が丘病院など、症状に応じて適した病院と連携を取ってご紹介いたします。また、悠介先生は骨粗しょう症も長く研究・診療してきたため、ぜひご相談いただければと思います。
一院に複数の専門科を併せ持つメリットを教えてください。
【百々院長】きっかけは一般的な症状でも、複数の専門的な見地から診断・治療を行うクリニックを受診することで、見過ごされていた先天性心疾患や皮膚トラブルが見つかったり、心の問題解消への糸口がつかめたりすることもあります。診療中の対話の中で主訴とは別の問題が見えてくることもあるため、当院ではお子さんやご家族とのコミュニケーションを大切にしています。
読者に向けてメッセージをお願いします。
【百々院長】水ぼうそう一つをとっても、発疹や熱の出方、予防接種の状況などから総合的に診断する必要があり、小児科診療には経験が求められます。お子さんに症状や気がかりなことがある場合には、ぜひ豊富な経験や専門性を持つ医師を頼っていただきたいですね。当院ではお子さんの体と心をトータルに診ていきますので、何でも気軽にお話しいただければと思います。
【羽田先生】専門性を持つ看護師や専任のスタッフを交えたチームで児童精神科診療にあたっています。気になることがあれば早めにご相談くださいね。