かねみつ歯科 (各務原市/各務原市役所前駅)
金光 泰典 院長の独自取材記事
各務原市蘇原の大通り沿いに位置する「医療法人クレスト かねみつ歯科」。多くの研鑽を積んだ後、生まれ育った地域に戻ってきた金光泰典院長は、前院長である父から歯科医院を継承し、2017年7月に同院を現在地にリニューアルオープンした。院内はバリアフリー設計で、カウンセリングルームや診療室はすべて完全個室仕様。子どもが遊べる空間があるファミリールームも用意する。他にも、医療用の空気清浄機を設置するなど、安全面にも十分に配慮した環境を整え、立地的にも心理的にも「通いやすさ」を追求した造りとなっている。できるだけ天然歯を残せるよう低侵襲の治療を心がけ、予防意識の向上にも力を尽くす金光院長。明るい表情とやわらかな物腰で老若男女に寄り添う院長に、治療方針や予防歯科に対する思いなどを聞いた。
完全個室診療で、患者が相談しやすい環境づくりを徹底
お父さまの代からこの地域で歯科医院を運営していらっしゃるとお聞きしました。
すぐ近くに桜で有名な新境川があるのですが、父親はその近くで開業していました。自分が開業するにあたり、完全個室での診療を行いたかったですし、キッズルームや個室カウンセリングルームなど、つくりたい設備がたくさんあったので、思い切って移転リニューアルを決めました。歯科医院って怖いところというイメージをお持ちの方も多いかと思ったので、大通りに面した窓はできるだけ大きくし、中の様子をご覧いただけるようにしています。室内も木材と白色を基調にぬくもり感を大事にしていますので、来院前の不安を少しでも取り除くことができたらなと思っています。
完全個室だと患者さんも安心して来院できそうですね。
海外では完全個室が当たり前になっていると聞いたことがあります。一番のメリットは、患者さんが安心してご自身の歯の悩みについて話していただけることですね。年配の方なら入れ歯、その他にも口の中の悩みについてあまり人に聞かれたくないことも多いと思います。そういった悩みを話していただいてこそ、いい治療につながると思うので、できるだけ話をしてもらえる環境を整えたかったんです。個室のもう一つのメリットは、感染症の予防につながること。歯科医院は飛沫感染のリスクが高い場所です。当院では、治療時に出る細かい粉塵を撒き散らさないように口腔外バキュームを導入していますし、性能にこだわった滅菌機器も使用しております。最近では医療用空気清浄機も設置しました。衛生面でも安心して来院していただけるよう、柔軟に環境のアップデートに努めています。
その他、設備面や検査のこだわりを教えてください。
歯科用CTや位相差顕微鏡、電動麻酔器や刺激少なく切削をめざす5倍速コントラハンドピースなど、より詳細な診断に役立てるための設備や、できるだけ痛みの少ない治療をめざすための機器を取りそろえています。最近では、セラミックの詰め物やかぶせ物を製作していくCAD/CAMシステムや口腔内スキャナーなどのデジタル技術を導入しました。これらの機器を用いることで、従来、印象材を用いていた型採りがなくなり、口腔内スキャンで負担が少なくかつ精密に型採りができるようになりました。また、場合によってはその日中の修復も可能なため、再来院という意味でもご負担は減ると思います。そのほか、口腔内の細菌について調べる唾液検査にも対応しています。また治療でとても活躍してくれているのが、数年前に導入した歯科用マイクロスコープです。拡大鏡と比べて高い倍率で患部を観察でき、治療精度アップにもつながると思います。
虫歯と歯周病のリスクを下げるため予防歯科を大切に
治療で大切にしていることは何ですか?
できるだけ削らなくても良い歯は削らずに残す、低侵襲治療を常にめざしています。私自身、昔は補綴治療が好きだったのですが、よく考えてみると、削ることはイコール歯を傷つけていることになります。一度削った歯は元には戻りません。そうして再治療を繰り返していると、最終的には歯が割れたり、抜歯処置が必要になってしまったりすることもあります。今は詰め物の接着技術も向上し、本当に小さく削っただけでも治療ができるようになってきました。自歯を長く持たせるという意味でも、低侵襲治療は重要だと思っています。ただ、治療をするだけでなく、その後できるだけ虫歯を再発させないようにしていくことも重要です。患者さんの口内環境が変わらない限り、虫歯リスクは減りません。むやみやたらに治療をしてしまうよりも、その前に患者さんの口の中の環境を虫歯ができにくいものに変えるほうが先決だと思うんです。
院長の予防歯科にかける思いをお聞かせください。
私が以前働かせていただいていた歯科医院の院長はとても予防意識が高く、スウェーデンに行って勉強していらっしゃるほどでした。私も予防歯科は大切だと実感しています。当院では患者さんの口腔メンテナンスを歯科衛生士を担当制にして行っています。担当制にすると、この人は自分の患者さんだという意識が歯科衛生士に芽生えて、仕事がしやすくなると思いますし、患者さんにも安心して通ってもらえると思うんです。今は予防歯科の意識が高まってきているので、虫歯の患者さんが減りつつあります。歯科医院は痛くなってから行くところではなく、できる限り自分の口腔内を健康に保つために行くような場所になっていくと思うんです。そうなると今後、歯科衛生士という仕事はもっと重要になってきます。月に1回の院内ミーティングを行い、外部の勉強会にも積極的に参加してもらって研鑽を積んでもらいたいなと思っています。
長期にわたって管理していく上で取り組んでいることはありますか?
長期にわたり患者さんの口腔内を管理することができるよう、患者さんの口腔内に関する情報をできるだけ多く残しておくことにも力を入れています。通常エックス線写真を撮りますが、それ以外に必要であればCT撮影や口腔内写真撮影をするようにしています。患者さんに視覚的に確認してもらうという意図もありますが、スタッフ自身がちょっとした変化も見落とさないようにするためという意味も込めています。近年導入した設備や検査も、どれもが患者さんのお口の中を捉える上で必要不可欠なものばかり。いろいろな方法で記録しておけば経過も把握しやすくなると思います。
百聞は一見に如かずだからこそ「気づき」が不可欠
入念に経過が記録されていれば、何かあっても患者さんは安心でしょうね。
そうですね。患者さんって結局どこを治療したか正確に覚えている方はどのくらいいるのかなと思うんです。誰だって、治療から5~10年もたつと忘れてしまいます。その方がもし途中で通院先を替えられたとしても、何年か後に当院に戻ってこられた際に「5年前の口の中はこうでしたよ」とお伝えできることも重要かなと思うんです。ご自身の歯がどのように変化しているのかを視覚的に確認していただくと、患者さん自身の予防歯科に対するモチベーションにもつながりますよね。
ファミリールームもあるとのことで、小児歯科にも取り組まれているのでしょうか。
僕の母親の弟が、岐阜市内で小児歯科専門の歯科医院の院長を務めているので、私自身も以前、週1回ほど働かせていただいていました。小児歯科に関しては、どれだけ子どもを泣かせずに診療できるかによると思います。1回泣いてしまったり、1回嫌な思いをすると、次回椅子に座ってもらうのが困難になってしまいます。ですので、治療よりも先に歯科医院に慣れてもらうということが一番大事かなと思っています。当院のファミリールームは広く設計しておりますので、ご家族全員で入っていただけます。もしかしたら妹さんが一生懸命治療を受ける姿を見たら、それまでは泣いていたお兄ちゃんも頑張ってくれるということもあるかもしれませんね。
お子さんの診療の際にはどんなことを心がけていますか?
私自身、男の子と女の子の父親なので、お子さんが治療を嫌がる気持ちはよく理解できます。うれしいことに、息子は歯科医師の仕事に興味を持ってくれていて。もちろん、夜歯磨きを嫌がることがありますが、歯磨きを一緒に頑張るようにしています。ブラシを当てられていない箇所を見て、仕上げ磨きはぜひしてあげてほしいですね。親は子どもにとって“一番身近な歯医者さん”だと思っているので、ぜひ地域のお父さん、お母さんも一緒に頑張ってもらいたいなと思っています。