こう歯科矯正歯科 (名古屋市中川区/烏森駅)
阿部 公成 院長の独自取材記事
2024年3月、先代から40年にわたり地域に密着してきた「ながら歯科医院」が「こう歯科矯正歯科」として新しく生まれ変わった。2代目院長となる阿部公成先生は、「患者さんの求める医療にできる限りこたえたい」という思いから、虫歯や歯周病治療をはじめ、小児歯科や矯正治療、骨造成を含めたインプラント治療など幅広く対応する。歯のみならず口腔内全体を視野に入れ、体の健康まで配慮することがモットーで、そのための先進の設備も活用している。「患者さんに喜んでいただける、きちんとした治療を提供できることが楽しい」と笑顔を見せる阿部院長。セミナーに積極的に参加し講演活動も行うなど自身の学びを深め、歯科界全体に寄与することにも力を注ぐ。そんな院長に、診療にかける思いや今後の展望などについて話してもらった。
歯並びや噛み合わせ治療が将来的な健康の大前提
こちらの医院は開業して40年になられるのですね。
はい、先代院長である母が生まれ育った地で開業しました。ありがたいことに、地域の皆さんを中心に長く通ってきていただいています。開業当初からの患者さんが、引っ越し後も足を運んでくださったり、子どもの頃通われていた方が、今は自分のお子さんを連れてきてくださったりということも。これまで母が患者さん一人ひとりに合わせた丁寧な治療を行ってきたことをこれからも大切に、また患者さんと母が築いてきた信頼関係を引き継ぎ、大事にしていきたいと思います。
初診から治療への流れを教えてください。
患者さんは、主訴以外にリスクを抱えていることがほとんどです。そのため主訴に対し必要な処置をした上で、口腔内の全体的なリスクもご説明することにしています。具体的には、口腔内の写真撮影、3Dデータの歯型の採取・模型作製、また歯周病の精密検査やエックス線撮影、CT撮影を行い、それらの結果から現状を把握し、予測されるお口の将来を詳しくお伝えし、その上で患者さんのご要望を伺います。患者さんの意思を確認しながら治療方針を決めることは常に心がけていることです。ただ、将来的な健康を考えたときにどうかなと思うときはご希望とは違う提案をすることも。歯科医師として、患者さんのお口の健康に責任を持つことは当然だと思っています。
先生は歯並びや噛み合わせ治療を重視されていると伺いました。
歯並びが悪いと噛み合わせも悪くなりやすいですし、歯や顎に大きな負担がかかり、さまざまな不調や疾患の原因となります。口腔内の環境を良くするためには、土台となる歯並びを整えることが大前提です。歯も関節と同じように、年齢を重ねる中ですり減っていきますし、口腔内環境は常に変化し続けています。主訴だけを解決するのではなく、患者さんがこれから過ごす“時間軸”を意識し、先を見越した治療計画を立てることが、長く健康を保つためにも大切です。歯並びや噛み合わせの状態によって、歯周病や顎関節症などその後起こりうるリスクも変化していきますので、放っておくとどんな問題が起こりうるかといったことを患者さんにお伝えすることは重要だと考えます。
子どもの頃から将来の健康を見据える
今後、計画されている移転について教えてください。
患者さんに多くお越しいただき、スタッフも増えたことから、2025年春頃、現在地より500mほど西の方角に移転をする予定です。住所が「長良(ながら)町」ではなくなること、矯正治療により力を入れていくことから院名は「こう歯科矯正歯科」に、院長就任のタイミングで変更をしました。敷地は広く、駐車場は11台、院内は今の3倍ほどの面積になりますね。現在は5台のオープンチェアに1台の個室ですが、移転後は9~10台を全個室とします。これは患者さんのプライバシーを守るとともに感染症対策を考えてのことで、各室に口腔外バキュームを備え、天井には高い除菌・消臭効果が期待されるオゾン発生機能搭載のライトをつける予定です。患者さんに安心、安全に過ごしていただくことが一番大切だと思っています。
矯正にも力を入れられるのですか?
はい。現在も患者さんは増えており、お子さんと大人の割合は半々でしょうか。ワイヤーとブラケットによる矯正、マウスピース型装置を用いた矯正を行っています。自分の子どもも含め、今のお子さんは顔が小さくて顎が細い子が多いと感じます。成長の過程で何もしなければ歯が並ぶスペースが十分でないまま歯が生えて、歯並びが乱れてくることが予想されますので、咬合誘導の装置やお口周りのトレーニングは必要になるでしょう。また、マスク生活が続いたせいもあると思うのですが鼻呼吸ではなく口呼吸になっているお子さんも散見されます。鼻からのほうが体へ取り込む酸素の量が多いと言われており、呼吸のしかたによる脳や体への影響があることも考えられます。新しい医院ではキッズスペースを15畳ぐらいの広さとし、呼吸や舌癖の改善などトレーニングができるアクティビティスペースも兼ねることにしています。
歯と体の健康は関連があるのですね。
近年、噛み合わせが、姿勢や睡眠無呼吸症候群など体の病気に影響を与えることがわかっており、全身の健康のためにも口腔内の環境を整えておくことが大切です。こちらから治療を押しつけることはしませんが、長年たくさんの方の口腔内を見ているので、その方の噛む癖や歯ぎしりの癖、問題の原因、食習慣まで見当がつくようになりました。患者さんにはずっと健やかでいていただきたいので、歯だけでなく口腔内全体、さらには体の健康までできる範囲内で配慮していきたいです。
「地域で一番の歯科医療の提供」をめざす
院内の設備についても教えてください。
検査機器については、口内のデータを数分で採取する口腔内スキャナー、さらに顔貌スキャナー、そしてエックス線撮影機器、CT、マイクロスコープなどをそろえています。特に患部を大きく拡大して見られるマイクロスコープは、精密な治療をするためには欠かせません。当院では詰め物やかぶせ物の処置、歯周病の外科治療、インプラント治療などの治療にも使用しています。機器どうしを連動させたデジタル化にも取り組んでおり、治療開始からゴールまでの、見える化・短期化が以前より望めるようになりました。
幅広く、かつ質の高い治療に努めておられると感じます。
虫歯の治療から、小児歯科、歯周病外科治療、インプラント治療、矯正、審美歯科まですべてに一生懸命取り組んでいきたいです。全部、好きで楽しくてやっています。患者さんが喜んでくださるのがとてもうれしいし、他院でできないと言われた方の治療ができることにもやりがいを感じます。実際、友人や知り合いの歯科医院から紹介された患者さんが何人も来られています。ここでできないことは、がんの切除ぐらいというレベルにしたいのです。広く浅くではなく、すべての分野において専門性を深めたい。そうすれば患者さんにも知識を持っていただけて意識が高まり、ひいては予防にもつながるでしょう。当院は他の医師も歯科衛生士らスタッフも知識、技術のレベルアップには積極的で、院内や他院の歯科医師に向けての勉強会も随時行っています。
今後の展望についてお聞かせください。
当院のスタッフは優しい人がそろっており、移転しても、地域から信頼される、来やすいクリニックでありたいと思います。皆によく話すのは、「地域で一番の歯科医療を提供していこう」ということ。当院を選んで来てくださる患者さんには、当院一丸となって安全性に配慮したレベルの高い歯科医療を行い、これまでどおり、その場限りの治療ではなく、「患者さんの一生を診る」という視点を持ち続けたいです。合わせて、現在、若い歯科医師の指導にあたることも多いので、自分がこれまで国内外で学んできたことを伝えていくことも役割かなと考えています。今、海外で学ぶことはたいへんですが、医療従事者である以上、向上心を忘れず新しいことを学び続けてほしいです。さらに自分も勉強を続け、地域のお役に立つとともに、歯科界の発展に少しでも貢献していけたらと思います。