林歯科 (名古屋市守山区/大森・金城学院前駅)
林 佑樹 先生、林 正弘 先生の独自取材記事
大森・金城学院前駅から徒歩7分の場所にある「林歯科」は、50年以上にわたり地域の口の健康を守ってきた。2015年のリニューアルを経て、質の高い診療の提供や、スタッフが笑顔で働ける環境を整え、より安心して通える歯科医院へと成長し続けている。丁寧でこまやかな説明やオーダーメイドの治療に重きを置き、「開業当初から、患者さんに誠実に向き合うことを何より大切にしてきました」と話すのは院長の林佑樹先生。現在は、名誉院長の林正弘先生とともに二人三脚で歯科医院を守っているが、軸に据えている患者への思いは変わらないと力を込める。互いを尊敬し合い、目の前の患者に寄り添う姿勢からは、人柄の温かさがにじみ出ている。世代を超えて地域医療を支えている2人に、歯科医院の歩みと診療に込める思いを聞いた。
信頼関係がすべての診療の土台。患者と誠実に向き合う
この地域に長く根づいて診療されてきたと伺っています。まず、大切にされている考えを教えてください。
【佑樹先生】最も大切にしているのは、説明をして合意を得てから治療やメンテナンスを進めることです。歯科治療には違和感や痛みを伴う場面がありますが、事前に伝えるのと伝えないのとでは患者さんの受け止め方が大きく変わります。納得と理解があれば「必要な処置だった」と前向きに受け止めてもらえますが、なければ不信感につながります。説明は単なる言葉のやりとりではなく、信頼関係を築く大切なコミュニケーションです。世間話も患者さんの気持ちを知るきっかけとなり、治療への理解や納得に役立ちます。説明と合意、そして日常的な会話。この積み重ねが当院の診療の根幹になっています。
幅広い治療に対応されていますが、その中で予防に注力されているのは、どのようなお考えからでしょうか。
【佑樹先生】当院では幅広く治療を行っていますが、それを前面に押し出すよりも、患者さんとの信頼関係が築かれた上で必要に応じて提供する、というスタンスです。そうすると、必然的に「治療を終えてからのメンテナンス」という流れが定着します。患者さんに継続して通っていただき、しっかりと予防に取り組んでもらうことが大切です。そのために、私たちがどれだけ手厚くサポートできるか、どれだけ患者さんの生活に無理なく貢献できるかを考え、現在のかたちへと至っています。もちろんスタッフもそれぞれ頑張ってくれていますので、当院としても予防メンテナンスを一つの柱として、患者さんに安心して通っていただける体制を整えています。
スタッフさんの活躍も重要なのですね。
【正弘先生】そうですね。スタッフ一人ひとりのパーソナリティーを生かしながら、それぞれが得意なスタイルで患者さんと向き合っています。もちろん、患者さんの性格や状況も大きく関わります。そのため、情報の共有は徹底して行い、どのスタッフが担当しても継続性を持った対応ができる体制を整えています。基本的なルールはありますが、その中でのアプローチはスタッフにある程度自由を持たせており、担当制に近いかたちで患者さんを見ています。特に治療の経過が安定していない時期は、担当歯科医師や経験のあるスタッフが責任を持って対応し、結果的に患者さんの改善につながるようにしています。
診療の質を高め、オーダーメイドの予防で丁寧にケア
スタッフさんの存在の大きさを感じます。育成で大切にされている視点は何でしょうか?
【佑樹先生】弱点を細かく直すよりも、強みを伸ばすことを大事にしています。誰にでも得意不得意がありますが、真面目に取り組む姿勢があれば、それぞれの持ち味を発揮してもらえば良いと考えています。それが結果的に、患者さんの安心と満足につながると思うのです。
【正弘先生】予防や治療において、スタッフの存在は非常に大きな役割を担っています。常々伝えているのは、痛みの少ないメンテナンスをめざすことです。定期的に来られる方は普段健康な状態で来院されるため、「予防のために来ているのになぜ痛い思いをするのか」と感じることがあります。ですから、メンテナンスでは特に「痛くない」「快適に受けられる」ことを大前提にし、気持ち良く来て、気持ち良く帰っていただけるよう心がけています。
予防に注力されていると伺いました。特に大切にされていることはどんなことでしょうか?
【正弘先生】オーダーメイドでその人に合ったメンテナンスをすることです。歯ブラシ一つとっても、患者さんによって適したものは違いますし、指導の仕方も異なります。そうしたこまやかな部分まで含めて個別対応を行うことが、当院のこだわりです。また、患者さん一人ひとりに向き合うことを大切にしています。一人あたりの診療の質を高め、より丁寧なサポートを行うようにしています。
【佑樹先生】患者さん自身が生活を変えていけるように支えることです。一方で、「ここはしっかり取り組みましょう」と伝える厳しさが必要になることもあります。ですがそれは、「どんな状態の患者さんでも最後まで一緒に向き合う」という姿勢の表れでもあり、大切にしています。
院内の雰囲気やスタッフさんの働き方で、心がけていることもお聞かせください。
【佑樹先生】スタッフが働きやすい環境を整えることは、患者さんの満足度を維持する上でも欠かせません。そのために、有給休暇や育児休業の取得をしやすい体制を整え、人数的にも余裕を持たせるようにしています。
【正弘先生】院内の雰囲気はおおらかで、スタッフとも患者さんとも世間話を交わす自然な空気感があり、自然なコミュニケーションを大切にしています。また、家庭や子育てと両立して働くスタッフも多いため、それぞれのライフスタイルに合わせて無理なく働ける環境を整えることを意識しています。お互いが居心地良く働けること、そして長く勤めてもらえることをめざしながら、スタッフが笑顔で日々を過ごせる歯科医院づくりに努めています。
スタッフが笑顔で働ける環境は、患者の安心につながる
こちらでは、歯科衛生士学校の学生さんの実習も受け入れているそうですね。
【佑樹先生】ご縁があって継続して依頼をいただき、受け入れる体制も整っています。私自身も歯科医療従事者になる過程で実習を経験してきましたから、学生を受け入れるのはごく自然なことだと思っています。教える側のスタッフも成長できる機会になりますし、教育の場を提供することは、歯科医院にとっても大切な取り組みだと考えています。実習生の方にとって今後のキャリアを考えることにも貢献できると思います。また、歯科全体に貢献したいという思いもあります。歯科医療の質を高めるには、歯科に携わる人材が成長していくことが欠かせません。ですから、学生の教育を通じて少しでもその力になれるのであれば、それは大きな意味があると感じています。
今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。
【佑樹先生】リニューアルから10年ほどたち、歯科医院全体が大きく成熟したと感じています。診療終了時間も以前より早くなりましたが、患者さんの利便性と満足度を保ちながら、スタッフの働きやすさにも配慮した結果です。長く続けられる職場であることは、安定した医療を提供するために欠かせません。ただ、どれほど年月を重ねても、患者さんに誠実に向き合うという思いは変わりません。父が築いた50年以上の信頼関係を守りつつ、私自身も患者さんと一緒に年を取っていきたいですね。そのために日々研鑽を重ね、父のような誠実さと技術を受け継ぎたいと思います。当院にはご家族で来院される方も多く、お子さんと一緒に治療を受けられる体制を整えています。子育て中は自分の口腔ケアが後回しになりがちですが、ぜひご家族そろって通っていただきたいと思います。
正弘先生からもメッセージをお願いします。
【正弘先生】僕は僕ができることを大切にやっていきたいと思います。息子やスタッフと一緒に診療するようになって、昔より忙しくなってしまったので(笑)、この機会を大事にしたいと思います。歯科医師の仕事は、患者さんの不安をいかに解消するかということ。ですから、ぜひ怖がらずに歯科医院を活用してください。不安や心配になることもあるかもしれませんが、患者さんが悩む必要はありません。患者さんの代わりに悩み、心配し、解決策を考えるために私たち歯科医師がいるのです。気になることがあったらなんでも話してください。