ササキデンタルクリニック (小牧市/春日井駅)
佐々木 成高 理事長、佐々木 豪 先生の独自取材記事
「桃花台センター」バス停から徒歩10分にある「ササキデンタルクリニック」は、予防歯科を診療の中心に据える歯科医院だ。佐々木成高理事長は、予防歯科先進国であるスウェーデンのボー・クラッセ博士が提唱した「メディカルトリートメントモデル」を5年の歳月をかけて導入。予防歯科をベースとして、歯列矯正やインプラント治療などと融合させながら、患者の健康をサポートしている。30年分の診療データを積み重ね、その人に合った予防プログラムを提案する姿勢が、地域の人々を集めている。佐々木理事長が重視する予防歯科の重要性、さらに診療にかける思いについて詳しく話を聞いた。
一人ひとりのリスクを調べ、その人に合った予防を
予防歯科を重視していると伺いました。
2006年に予防歯科に長く取り組んでおられる熊谷崇先生が主催するセミナーで、スウェーデン発祥の歯科医療の考え方を学んだことがきっかけでした。その後、スウェーデンやアメリカ、ドイツの勉強会にも足を運びました。予防歯科の先進国であるスウェーデンの「メディカルトリートメントモデル(MTM)」を取り入れるため、5年ほどかけて当院の予防のしくみを全面的に見直しました。2018年のリニューアルでは、院内を治療のゾーンと予防のゾーンに分け、それぞれが落ち着いて処置に集中できる環境を整えています。
一人ひとりに合わせた予防プログラムを提案されているそうですね。具体的には、どのように進めるのですか。
まず口腔内の写真撮影とエックス線撮影を行い、歯周病の検査や唾液のチェックで、その方の口腔内の状況や今後のリスクについて調べます。唾液の性状や、虫歯に関わる細菌の活性、飲食の回数なども確認します。痛みなど急ぎの対応が必要な時は、まずそちらを優先します。その上で検査結果をご説明し、その方に合った予防プログラムをご提案します。担当の歯科衛生士による歯磨き指導や食事指導、歯石の除去、フッ素の塗布などを数回に分けて行い、その後あらためて検査をして、口腔内の状態が変わったかを確認します。すべて行うと1時間ほどかかります。これはお子さんでも同じで、一人ひとり、調べた上で組み立てています。
注力されている矯正についても教えてください。
はい。当院では小児矯正と成人矯正に対応しています。歯並びに気になる所がある場合、インプラント治療やかぶせ物の前に、まず歯並びを整えてしっかり噛めるようにすることを大切にしています。土台を整えないまま進めても、噛み合わせの課題が残ってしまうからです。大人になってから矯正を始める方では、特に第一大臼歯を虫歯で失い、そこから噛む力が変わってしまうケースが多くみられます。第一大臼歯は一番早く生えてくる歯で、歯磨きが届きにくく、汚れがたまりやすいのです。矯正の際は、口腔内スキャナーでお口の中を撮影し、その画像をお見せしながら、ご納得いただいた上で進めていきます。
30年分のデータが導く、予防中心の歯科医療
診療の理念を教えてください。
「生涯を通じて口腔の健康を維持する」ことをミッションに、「KEEP SMILE KEEP 28」というスローガンを掲げています。28本の永久歯をできるだけ長く保ち、患者さんの笑顔につなげたい。その思いでスタッフ一同、取り組んでいます。日本では、80歳で入れ歯やブリッジを使っている方が多いのが現状です。だからこそ、予防が欠かせないと考えています。
一人ひとりの患者さんの口腔を長く見守られているのですね。
当院の患者さんで特に多いのは60代、70代の方で、定期的にメンテナンスに通い続けてくださっている方です。当院では30年分の統計を取ってきました。5年以上メンテナンスを続けている患者さんの数、年齢の分布、何年続けていらっしゃるか。そして、高齢の方で歯が何本残っているか。そういったものを全部調べています。こうしたデータは、患者さんにより多くの歯を残していただくため、クリニックの方向性を決めるために役立てています。
来院しているお子さんには、どのような傾向がありますか。
最近は、お子さんの患者さんも増えています。虫歯での受診はほとんどなく、治療を必要としていない子が多いです。痛くなってから慌てて来るのではなく、小さいうちから予防に取り組んでおられるご家庭が多いことも、背景にあると考えています。予防歯科で将来の虫歯や歯周病のリスクを早い段階で知っておくことで、適切なホームケアや定期的なメンテナンスの大切さを、親御さんにもお伝えしやすくなります。
チームで支える、長く通える歯科医院
理事長ご自身のご専門について教えてください。
私はもともと口腔外科を専門としていて、病院勤務の時代から30年あまり、一般歯科に加えてインプラント治療や骨造成、通常の根の治療では対応しきれない症例に行う歯根端切除術などに取り組んできました。中でもインプラント治療は、歯を残し、しっかり噛める状態を保つための選択肢の一つだと考えています。ブリッジや入れ歯とは異なる特徴があり、その方の状態に応じて選ばれる治療です。インプラントは院長の佐々木豪先生も力を入れており、専門的な知識と技術のもとで慎重に進めることを大切にしています。しっかり噛んで栄養を取れることは、体全体の健康にもつながっていくと考えています。
予防歯科を広めるために、講演活動にも力を入れていらっしゃいますね。
12〜13年ほど続けています。内容はほとんどが予防歯科についてです。患者さんに限らず、介護や医療の関係者、一般の市民の方、行政、企業、学校など、さまざまな場でお話ししてきました。近所の中学校でも毎年話していて、虫歯の予防は歯科衛生士が、歯肉炎や歯周病の予防は私が担当しています。より多くの方に、予防歯科の知識を持ってもらいたいんです。予防への意識は、関心の高い人と低い人の差がとても大きいので、その差をなくして、誰もが当たり前に予防に取り組める状態にしていきたいと考えています。当院で蓄積したデータをもとに、講演会などで毎年発表しています。エビデンスに基づいて診療していることを、きちんと示していきたいと考えています。
地域医療に深く関わる中で、今後の展望を教えてください。
予防歯科を通じて、小牧市民の皆さんが生涯にわたって健康なお口でいられることが当院の目標です。地域の皆さんのお口の健康を、もっと高いところへ引き上げていきたいと思っています。そのためには、市や市議会、ほかの医療機関や専門機関、行政との連携が欠かせません。小牧市では今年4月から、5歳児の口腔機能検査が始まりました。予防歯科への取り組みは医療機関によってさまざまなので、地域全体で水準をそろえていきたいと思っています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
かかりつけを持って、定期的にメンテナンスに通っていただきたいですね。生涯を通じてお口の健康を保つには、新しい予防の知識をもとに対応していくことが大切です。予防やメンテナンス、必要に応じた矯正やインプラント治療、子どもの頃からの口腔機能への働きかけを組み合わせることで、お口の中だけでなく、体全体の健康にもつながっていきます。何かお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。