のだ歯科医院 (犬山市／犬山駅)
野田 修 院長、萩原 佳江 副院長、萩原 貴寛 先生の独自取材記事
40年以上地域の住人から親しまれてきた野田歯科医院は、2020年11月16日に「のだ歯科医院」へ院名を改め、リニューアルオープン。やわらかな光が差し込む待合室やキッズスペースには、シンボルカラーの緑色が安らぎの空間を醸し出している。野田修院長、萩原佳江副院長、萩原貴寛先生が、それぞれの専門分野を持ち、虫歯や歯周病、入れ歯、インプラント治療、訪問診療など幅広く対応。乳児から高齢者まで生涯にわたり、家族ぐるみで通えるクリニックだ。注力する予防歯科では、スタッフが一丸となって高いレベルのメンテナンスを心がけ、予防の啓発も同院の強み。「患者の健康に対する価値観を理解し、満足感を得られるものを提供することが役目」と語る歯科医師たちにそれぞれの想いを語ってもらった。
複数の歯科医師が各専門分野を持ち、幅広い治療を提案
移転とともにリニューアルオープンに至った経緯を教えてください。
【野田院長】1978年に開業したので、43年の歴史があります。出身がこの近くの大口町というところで、当時は歯科の数も少なかったこともあり、犬山市で開業することになりました。まだ若かったもので、階段も苦にならず2階建てのおしゃれなビルでしたが、40年以上たち患者さんの年齢も高齢化し、エレベーターをつけてもらえないかと言われました。建物も古く構造的に難しかったため、診療室が1階にあり、高齢の患者さんが通える範囲内でどこかないかなと探していたところ、たまたま私の友人に声をかけてもらいました。娘も義理の息子も一緒にやってもらえるということで、私の肩の荷もおり、この場所に決めました。
院内で一番こだわったことは？
【佳江先生】一番のこだわりは衛生面で、清潔と不潔ということにかなり意識を向けました。滅菌室は、壁の色をクリーンゾーンは緑、クリーンではないゾーンをオレンジと色分けしてあります。欧州では、赤黄緑と3色に分けることが標準のスタイルでそれを見習い、どのスタッフが見ても一目瞭然で理解でき、動きやすいよう導線もきちんと確保しました。良い治療を提供するにはスタッフの満足度も大切だと思いますから。滅菌した器具は1つずつパックし、さらに1人使用分の器具一式をパックし、治療する際に患者さんの目の前でそのまま開いて使うという方式を徹底しています。
歯科医師の役割分担はどのようにしていますか？
【佳江先生】私はもともと口腔外科の歯科医師として勤めていたのですが、結婚を機に退職をして父と一緒に取り組み、こちらに入って10年目になります。口腔外科を専門とする先生が当院におり、幼い頃から仕事姿をずっと見ていたので割と早い段階から口腔外科の道をめざしたいと考えていました。歯科医師になり勉強した時に、抜歯や口腔手術など、さらに興味をもちました。役割としては私は口腔外科、院長は入れ歯やブリッジ、貴寛先生はかぶせ物や補綴の分野といったそれぞれの専門分野があり、院内でほとんどの治療が完了できるような体制が整っています。そして、CTも備えました。今までのように遠くの病院に行くことなく、当院で詳細に検査ができるため患者さんの負担を軽減できていますね。
患者の満足感を第一に、丁寧な説明と痛みの少ない治療
治療の際に最も心がけていることは何でしょうか？
【貴寛先生】「患者さんに対して謙虚でいたい」ということです。こちらの押しつけをせず相談しながら進め、自分のした治療に対しきちんと反省できることを念頭に置いています。患者さんの気持ちに寄り添い、より地元に密着したクリニックが目標です。
【佳江先生】痛みの少ない治療と、少しでも楽になり気持ち良く帰っていただくことを大事にしています。また、患者さんが話しやすい雰囲気と、こちらの伝えたいことがきちんと伝わるようなわかりやすい説明も心がけています。私の小さい頃から知っていただいている患者さんも多いものですから、そういった長く付き合える関わりを患者さんとつくっていきたいですね。
長年、訪問診療にも注力しているそうですね。
【野田院長】既存の患者さんの高齢化が進み、当院に通えなくなってきていますので、そういう方たちを訪問歯科でサポートしています。若い頃からのお付き合いですので、懐かしい話をしながら治療を進められるのはいいですね。私の体が動く限りは、患者さんのもとに足を運び話題を提供できたらと思っています。
【佳江先生】私は訪問診療の中で、特に飲み込みの力、摂食嚥下に注目していて「最近むせる」「ご飯が食べにくい」と言われる方に、飲み込みの機能チェックをしています。以前、病院で口腔外科の救急科外来をしていた時に、入院中の患者さんを診る機会があり、口腔ケアや摂食嚥下の分野に興味をもったんですね。訪問診療をしている既存の患者さんや、施設や病院にいる患者さんから、飲み込みの訓練をしてほしいというケースが増えています。
スタッフ体制について教えてください。
【貴寛先生】現在は歯科医師が3人、歯科技工士が1人、歯科衛生士が3人、歯科助手が4人在籍しており、長く勤めているメンバーや移転を機に加わってくれたメンバーがいます。今は外部の講師を招いて、接遇やマナーなど院内研修にも力を入れています。あいさつや笑顔、清潔感など、やはり当たり前のことがきちんとできていることが大切だと思っていますので、スタッフ全員がレベルの統一化を図っていけるような試みを行っています。アットホームな雰囲気がありながらも、歯科医師はもちろん、スタッフもプロであるべきだと思っています。それぞれの分野で誇りとプロ意識をもつことで、良いチームができると信じています。
予防を基軸に、チーム一丸となりメンテナンスに注力
一番力を入れていきたい分野は何でしょうか？
【貴寛先生】予防です。虫歯や入れ歯治療などは、噛むことができる状態を長く保つことが目的で、結局は、予防の一貫として治療するということになります。ですから、予防を基軸として取り組んでいきたいというのが目標ですね。メンテナンスに定期的に来てくださる患者さんも非常に多いんです。
【野田院長】予防は歯科医師だけではカバーしきれないところがあるため、スタッフのスキルを上げていかないといけません。患者さんには、なぜメンテナンスをしなくてはいけないのかということを伝え、納得していただくことが重要です。
【佳江先生】インプラントも歯がなくならなければ必要ないわけで、最終手段で選択肢の一つ。やはり歯をなくさないことが大事です。インプラント周囲炎を起こす可能性もありますから、予防意識はずっと持ち続けてほしいですね。
妊娠期からの虫歯予防を重要視しているのですね。
【佳江先生】はい。今は、痛くなってから歯科に行くのでなく「妊娠期からの虫歯予防」に変化してきています。また、できるだけ削らない、できるだけ歯を残す治療が主流となってきていますから、患者さんの予防意識の醸成から関わっていくことを心がけ、プレママさん、もしくはそれ以前の若い方も歯の予防について知ってほしいです。赤ちゃんの頃から口周りの機能を整えていくと、年をとった時に口の衰えが緩やかになると考えられ、結局は年を重ねた時に自分にとってのご褒美になると思うんです。
今後の抱負をお伺いします。
【貴寛先生】治療する選択もあれば、しない選択もあると思います。少なくとも今の状態を長くキープしていくことも重要な方もいらっしゃるので、相談しながら治療方針を決めていきます。ただ、これだけはやっておいたほうがいいという治療もありますから、きちんと説明をして患者さんにとって一番良い方法を選択していただけるようにしていきたいです。
【佳江先生】摂食嚥下や、赤ちゃんの診療などを通し、患者さんの口周りの機能をいかに落とさないかに力を注いでいきたいです。「楽しく、おいしく、ずっと笑顔で食べられる」が当院のテーマ。歯が悪くなると食事がおいしくないですし、会話や外出がおっくうになり、体も衰えてしまいます。それを防ぐためにも、口周りの機能に目を向け続けることを大切にしていきます。
読者へメッセージをお願いします。
【野田院長】40年以上続けてこられた分、地域の方々に恩返しをしていきたいと思っています。私自身が犬山市民健康館の自主事業実行委員会の会長をやっておりまして、それも1つの地域に恩返しするための仕事です。地域の人たちの相談に親身に乗り、喜んでもらえるようなクリニックにしたいです。
