柳澤 正人 院長の独自取材記事

地域住民の歯の健康を守り続ける歯科医院

歴史のある歯科医院と伺っています。

1970年に前院長である父が府中市に「協和歯科」を開院し、当院はそれから約10年後にこの場所に開院し、僕が引き継いでから23年になります。長年通ってくださっている高齢の方や家族ぐるみで来られる方、中には遠方に引っ越された後もわざわざ通ってくださっている方もいらっしゃいます。今、歯科医院はたくさんありますから、その中から当院を選んで来てくださることはとてもありがたいですね。保険診療が中心の地域密着型の歯科医院なので、歯科医療を通して地域の皆さんが健康に暮らしていけるよう、お手伝いをしていくことを目標にしています。

こちらではあえて予約制にしていないそうですね。

予約制にしていないのは、歯の痛む時や詰め物が取れた時など、患者さんがすぐに診てほしいタイミングで受診できるようにしておくためです。詰め物やかぶせ物が取れてしまうタイミングは患者さんにもわからないですからね。また予約制にしていると、予約の患者さんをお待たせしないように、急な痛みで受診された方には応急処置しかできない場合もあるでしょう。そのため、緊急を要する場合でもすぐに診られる体制にしています。ただ、歯科衛生士によるメンテナンスは予約制にしています。メンテナンスはとても重要で、汚れが原因で歯が痛むということもあるため、しっかりと時間を取ってクリーニングや歯磨きの指導を行うようにしています。

どのような患者さんが来院されますか？

治療やメンテナンス以外にも、セカンドオピニオンの患者さんもいらっしゃいます。例えば、他院で「すべてのかぶせ物をセラミックにしましょう」と言われ、そんなに悪い状態なのかと心配になり相談に来たというような方もいらっしゃいます。当院の場合であれば、まず歯のクリーニングをして様子を見るという方針を取るでしょうね。あとは「治療を受けているけれど、なかなか治らず、痛みがあるのに予約制なので治療は1ヵ月先になると言われた」という場合もありますが、先ほどもお話ししたように当院は予約制ではありません。患者さんの生活背景や希望に合った治療を提案し、痛い時、困った時、患者さんのタイミングで気楽に来ていただけるのが当院の特徴です。

子どもたちの治療、予防歯科にも注力されているそうですね。

コミュニケーションを取りながら、お子さんが歯科治療に対して苦手意識を持たないよう、一人ひとりに寄り添った対応を心がけています。虫歯を予防するために、定期検診やブラッシング指導、フッ素塗布、歯石除去などを行います。また、月に1度女性の矯正歯科専門の先生に来ていただき、小児矯正にも対応しています。

歯科恐怖症の人も安心して治療が受けられる環境を

診療方針や教患者さんと接する際に大事にしていることは？

診療では患者さんのニーズに応えること、患者さんがどこまでの治療を望むのかをしっかり聞いて診療方針を決めることを重視しています。治療では、噛めない状態にならないように、あるいは歯周病が進行しないように必要な処置は行いますが、そこから先は患者さんのニーズ次第。歯科医師が理想を追い求めるあまり、プラスアルファの治療を行っても、それを患者さんも求めているとは限りません。患者さんとコミュニケーションを取りながら、患者さんが望むゴールをしっかり伺い、患者さんが望むのであれば徹底的に治療する。そのためにも症状や希望などを気軽に安心して話していただける雰囲気づくりが大事だと思っています。そして、患者さん一人ひとりが「もし自分の家族だったら」と考えて治療し、治療後は定期的に検診とクリーニングで予防をしながら、患者さんの大切な歯を守っていきます。

こちらには歯科恐怖症の方が来院されることも多いと伺いました。

はい。痛みが怖い、歯を削るドリルの音を聞いたり診療台に座ったりするだけでも震えてしまうという歯科恐怖症の方のために、当院では笑気麻酔を導入しています。麻酔の注射さえ怖いという人にお勧めの吸入麻酔で、吸引器を鼻につけて、自然に呼吸しながら鼻からエアーを吸い込むだけでリラックスした状態で治療を受けられるというメリットがあります。あと、治療時の音が苦手な方もいらっしゃるのでヘッドホンをつけていただいて音楽を聴きながら治療を受けることも可能です。ただ、歯科恐怖症は特別なものではありません。狭いところが怖い人も入れば、高いところが苦手な人もいるのと同じ。気後れしたり、恥ずかしいと感じたりする必要はないんですよ。

そう言っていただけると歯科治療が怖い人たちも気が楽になりますね。

これまで歯科恐怖症だとおっしゃる方々の治療を数多く行ってきましたが、僕もスタッフも普段どおりに接しています。そこには何か技術やマニュアルなどがあるわけではありません。歯科恐怖症の方に限らず、すべての患者さんに安心して歯科治療を受けていただけるよう、気持ちに寄り添い、その方のペースやコンディションに合わせて治療を進めることを常日頃から心がけているだけです。あとは、当院のあまり構えないアットホームな雰囲気も、良い作用をもたらしているのかもしれません。ですので、歯科恐怖症だと思っている方、あとパニック障害だと診断された方にも、気軽に来院していただきたいと思います。

クリニックの雰囲気からも、スタッフ間のチームワークの良さがうかがえます。

長く勤めているスタッフも多いのでチームワークは良いですね。現在、歯科医師は僕のほかに、週2回、木曜・金曜の午前中に女性の歯科医師が来てくれています。歯科衛生士は現在3人、歯科助手は4人という構成です。スタッフには自由に自分で考えて行動してもらえたらと思っているんです。歯科医師もスタッフも対等な立場で、一人ひとりが患者さんのために何をすべきかを考える。それが今のクリニックの良い雰囲気をつくっているのだと思います。

「みんなの歯医者」として長く続けていきたい

ところで、先生が歯科医師を志したきっかけは何だったのでしょう。

父が歯科医師だったので、ごく自然にこの道を選びました。兄弟3人とも歯科医師になっていますから、母にうまく乗せられたところもあるかもしれません（笑）。でも、実際に歯科医師になって困っていることを解決したら、患者さんが喜んでくださる姿が見られますし、感謝される良い仕事だなと思っています。

お父さまの影響が大きかったのですね。

父から当院を引き継ぎ2代目となりましたが、以前は兄もここで一緒に診療していたので、その環境の中で歯科医療の在り方を自然と覚えました。父は患者さんの話をじっくり聞いてさまざまな可能性を探り、噛み合わせを診て義歯を作るなどトータルで治療を進める視点を大事にしていました。教科書に書いていない独自の診断基準を持っていたので、そこは一緒に診療する中で、僕自身も身につけてこられたかなと思います。ですので、自分のこれまでの経験だけでなく、引き継いできた父や兄の知識と技術を患者さんに還元し、若い歯科医師や歯科衛生士さんにも伝えていけたらいいですね。

最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

父から受け継いだ歯科医院をこれからも長く続けていきたいですね。僕から僕の息子にもつないでいくことで、何か形になるのではないかと思っています。今後の予定としては、予約制で行っているメンテナンスの時間を増やしていく考えです。当院の強みは、自分たちのスタイルにこだわるのではなく、皆さんの思いを受け入れていく柔軟さにあると考えています。性別や年齢に関係なく、あらゆるお口の悩みを解決できる治療をめざし、これからも地域の方たちに密着した「みんなの歯医者」でありたいですね。