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尿検査でたんぱく尿や血尿があったら
早期に腎臓内科の受診を

内科小久保医院

(世田谷区/松陰神社前駅)

最終更新日:2024/03/15

内科小久保医院 尿検査でたんぱく尿や血尿があったら 早期に腎臓内科の受診を 内科小久保医院 尿検査でたんぱく尿や血尿があったら 早期に腎臓内科の受診を
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健康診断などの際に誰もが受けた経験があるであろう、尿検査。尿の所見で異常が指摘され、再検査のために医療機関を訪れた経験のある人も多いはずだ。尿検査の異常でしばしば耳にする尿たんぱく陽性、あるいは血尿などは、腎臓や膀胱、尿路に関わる疾患を知らせる「体からのSOS」ともいわれるが、実際にはどんな疾患の可能性が考えられるのか、検査や関連する疾患の治療内容も含めて詳しく知っておきたいところ。今回は世田谷区・松陰神社前駅そばの「内科小久保医院」の小久保透院長に、自身の専門である腎臓を中心に、尿の異常で考えられる疾患のほか、腎臓疾患を調べるための検査と疾患が見つかった場合の治療、腎機能が低下している際の注意点などについて話を聞いた。

(取材日2024年2月14日)

糖尿病や高血圧症を長く患うことが、腎臓機能の悪化につながりやすいため要注意

Q尿たんぱく陽性の場合、どのような病気の可能性がありますか?
A
内科小久保医院 松陰神社前駅から徒歩5分ほどの所にある

▲松陰神社前駅から徒歩5分ほどの所にある

尿検査で陽性と言われたら、腎臓の糸球体という組織に炎症が起きている可能性があります。原因としては、IgA腎症あるいは糖尿病などが頻度の高い病気です。その他、膠原病、多発性骨髄腫、アミロイドーシス、多発性嚢胞腎など頻度は低いけれども、見落としてはならない重要な病気が含まれる可能性があります。これらの疾患においては、たんぱく尿の量が多ければ多いほど、将来腎機能が悪化し、最終的には透析療法などが必要になる可能性が高いという共通点があるので、たんぱく尿の定量検査を行うことが極めて重要。診断のためには、尿検査、血液検査、腎臓エコー検査等を行います。腎生検が必要になる場合は、専門の病院をご紹介いたします。

Q血尿も非常に心配な症状ですね。
A
内科小久保医院 日常の変化を伝えることも、病気が見つかるきっかけに

▲日常の変化を伝えることも、病気が見つかるきっかけに

尿に血が混じっていることは、ご本人が目で見て認識できるケースもありますから、たんぱく尿以上に不安ですよね。血尿の場合はまず、腎臓や膀胱のがん、あるいは尿路結石の可能性を考慮して、エコー検査、血液検査、尿細胞診検査を行います。また、必要に応じてCTやMRI検査を追加することもあります。その結果、がんや結石と診断された場合、適宜泌尿器科にご紹介いたします。がんや結石が否定された場合、血尿を伴う糸球体腎炎の可能性が高まります。糸球体腎炎においては、血尿のみでたんぱく尿を伴っていなければ、腎機能が低下していく可能性は低いので、特別な治療は要せず、経過観察のみでOKです。

Q小久保院長は腎臓内科を専門に経験を積んでこられたそうですね。
A
内科小久保医院 腎臓内科の分野で研鑽を積んできた小久保透院長

▲腎臓内科の分野で研鑽を積んできた小久保透院長

IgA腎症の発症メカニズムに関する研究に携わっていました。IgA腎症は、腎臓の糸球体にIgAというたんぱく質が蓄積することによって、腎機能が徐々に悪化していく病気です。研究の中で、腎臓にIgAが蓄積する直接の原因が、IgAの構造異常にあると考えました。複数の論文で発表したこともあり、ホームページにも掲載しております。最近注目されているIgA腎症に関するトピックスとして、SGLT2阻害剤に注目が集まっています。この薬はもともと糖尿病の薬なのですが、IgA腎症など慢性腎臓病における腎機能低下の進行抑制につながることがわかりました。当院では、このような先進の治療についても積極的に導入してまいります。

Q他に腎臓病の前兆となる症状や気をつけるべきことはありますか?
A
内科小久保医院 普段と違うむくみ方をしている場合は、注意が必要

▲普段と違うむくみ方をしている場合は、注意が必要

腎臓病はむくみで発症することがあります。むくみとは体内に水分が過剰にたまった状態です。腎臓病の場合、むくみは足だけでなく顔にも現れやすいという特徴があり、その代表がネフローゼ症候群です。これは糸球体の障害のために、たんぱく尿が大量に出ることによって起こる症状です。また、腎機能が低下してくると、むくんだり、脱水になったり、尿量が減少したり、増加したりします。腎臓は体内の水分調節に重要な役割を果たしており、その働きが低下することによって、症状が現れるというわけです。腎機能の検査としては、クレアチニンとeGFRが重要です。健康診断の項目にもありますので、異常値の場合、腎臓内科の受診をお勧めします。

Q腎臓疾患に対して検査や治療はどのようなことを行いますか?
A
内科小久保医院 健康診断などの数値で気になることがあれば、相談を

▲健康診断などの数値で気になることがあれば、相談を

例えば、健診で腎機能低下を指摘された方については、尿検査によって腎臓のどこが障害されているのかがわかります。たんぱく尿や血尿陽性ならば糸球体障害、尿中β2MGやNAGが高値なら尿細管障害というように。また、血液検査によって腎機能低下を来す疾患の診断が可能です。Mたんぱく陽性ならば多発性骨髄腫、抗核抗体陽性ならば膠原病、IgA高値ならIgA腎症など。さらに、超音波検査によって、結石による尿管閉塞、慢性腎不全による腎萎縮などが診断できます。腎臓病の治療は、塩分制限、禁酒禁煙などに加えて、腎臓保護に有用なSGLT2阻害剤やARBなどによる薬物療法を行います。

ドクターからのメッセージ

小久保 透院長

現在当院に通院している腎機能障害の患者さまは、糖尿病と高血圧の方が圧倒的多数を占めております。実際、末期腎不全に至り透析導入を必要とする原因疾患は、糖尿病性腎症が最も多く、次いでIgA腎症などの糸球体腎炎が減少傾向、高血圧性腎硬化症が増加傾向となっております。ですから、腎機能障害の進行を抑えるためには、糖尿病と高血圧をいかにコントロールするかが最も重要な問題なのです。当院では、高血圧の外来を担当する院長と糖尿病の外来を担当する副院長の2人の医師で、情報共有しながら腎臓疾患に対処しておりますのでご安心ください。

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