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石川 英二 院長の独自取材記事

石川クリニック

(神戸市東灘区/御影駅)

最終更新日:2022/06/13

石川英二院長 石川クリニック main

「石川クリニック」は、阪神本線の御影駅から徒歩約4分。JR神戸線の住吉駅からも徒歩約10分でアクセスできる。院長の石川英二先生は開業後、男性のための外来を立ち上げ、男性特有のさまざまな悩みに対応してきた。開業後もこの外来を続けるとともに、思春期の性教育について学校での出張講義も行っている。診療の際は、「Hearing is Heeling」という考え方に基づき、たとえ時間がかかっても患者の話を丁寧に聞くことを最優先。心療内科的なアプローチを取り入れて、患者の悩みに応えていく。石川先生に、その特徴的な診療スタイルや出張講義、執筆といった多様な活動にかける思いについて語ってもらった。

(取材日2019年4月11日)

心療内科的なアプローチを取り入れた診療に注力

石川先生はこちらで、どのような診療を行っているのでしょうか。

石川英二院長 石川クリニック1

一言でいうと、「心療内科的な観点を取り入れた泌尿器科診療」というスタンスで患者さんに対応しています。来院される患者さんは、頻尿や尿漏れ、過活動膀胱、排尿障害、血尿など泌尿器疾患でお困りの方が多いです。また、お子さんの夜尿症でお困りの親御さんなどもいらっしゃいますね。加えて、思春期で悩む若い方や、男性更年期で悩む方など、男性ホルモンが関わる症状でいらっしゃる方もいます。症状そのものに対する治療も必要ですが、例えば思春期の男子の悩みで多いものは短小、包茎、自慰行為などに関わることが中心です。これらの悩みは周りに相談しづらく、受診しづらいのが現状です。たとえ受診しても、お母さんと一緒ではなかなか本音が出ませんよね。そのような悩みにも包括的にアプローチできるよう、診療を行っております。

どのような経緯で今の診療を行っているのですか?

以前は神戸市立医療センター中央市民病院泌尿器科で前立腺を含め悪性腫瘍の患者さんなど、救急の患者さんから末期の患者さんを診療していました。そしてその経験を生かしつつ、1988年に泌尿器疾患のクリニックとしてこの地に開業しました。また、この頃若年層の患者さんに対応するため、同時に市民病院で「思春期の外来」という名称で診療していたのです。また、当時は男性の更年期障害がマスコミなどで紹介され話題になっていたこともあり、年齢を限定しない「男性の外来」という名前で診療すると、より多くの人が受診されました。これらから現在も、男性のための外来での診療を当院で継続しています。病院ではほかにも脊椎損傷など、さまざまな原因があり尿が出ないという患者さんの導尿を行う外来なども担当してました。

御影に開業されたのはなぜですか?

石川英二院長 石川クリニック2

病院との近さなどもありますが、「御影」という地名に惹かれたところもあります。御影石の美しいイメージにつながる地名に魅力を感じました。地域のことで言うと、最近はご高齢の患者さんも増えてきているので、昼休みなどは施設や在宅の患者さんの往診に行き、忙しい日々を過ごしています。

じっくり話を聞くことが効率的な治療につながる

診療の際に大事にされていることは何でしょうか。

石川英二院長 石川クリニック3

約30年間、男性のさまざまな悩みを聞いてきて最近思うのは「Hearing is Heeling」ということです。ある本に「問診が70%。それで診断がつく」という記述があり、開業以来ずっとその考えに基づいて診療してきて、やはり間違っていなかったと実感しています。ただ、問診に重きを置いて患者さんの話を聞いていると、診療時間が長くなってしまい、すぐに検査を行ったり薬を出したりしないので経営的には好ましいとはいえませんね(笑)。また、思春期の外来には未成年の男性が保護者に隠れて受診することもあり、一時は患者さんへの対応に頭を悩ませたりすることも多く、勉強になりましたね。

通常の外来でも問診を大切にされているのですね。

デリケートな問題を扱うことが多く、時にはスタッフにも外してもらい、一対一で患者さんと向き合うようにしています。また僕の場合、薬はあまり使わない主義なので、患者さんが他にどの薬を飲んでいるのか必ず確認します。そして患者さんの目を見て話すようにし、理解していないかも、と判断した時は再度説明しています。ただ先ほども話したとおり、どうしても診療時間が長くなってしまいがちです。待っていただいている患者さんの気持ちを和らげるため、スタッフの患者さんとの接し方には細心の注意を払っています。僕自身も診察を終えた患者さんが笑顔で帰られたかどうか、診察室ではとても悩んでおられた方が納得して帰られたかどうか、必ず確認するようにしていますね。

話をすることで笑顔になったり納得したりするということでしょうか。

石川英二院長 石川クリニック4

例えば、頻尿で悩んでいるという患者さんが来られたら、水分の摂取量を記録するチャートを記入してもらいます。すると、水分の取りすぎが原因というケースがよくあります。こうした場合は、検査をする必要も薬剤を使う必要もありません。また、最近は過活動膀胱という言葉をよく耳にします。メディアなどでよく紹介されるものだから、夜中に数回トイレに行っただけで、過活動膀胱ではないかと心配になる方もおられるのです。クリニックでは数多くの患者さんを病院に紹介し、専門性の高い検査や治療が必要な患者さんもおられることは確かです。しかし、話をしたりチャートを見たりするだけで、悩みが解決することも実は多いのです。

執筆活動や講義を通して子どもたちを守る

執筆活動にも積極的でいらっしゃいますね。

石川英二院長 石川クリニック5

思春期の外来で若い男性の相談を受けていると、一番多い悩みが仮性包茎でした。日本では昔から包茎は恥ずかしいものとされ、手術を専門に行う美容形成のクリニックもあります。メディアなどでも包茎ではモテないという情報が流れてくることがあります。そこで、包茎はごく普通のことで、手術で切るのをやめようという考えを本にしたのです。手術をすると、神経など切らなくていいものまで切ってしまうことがあります。包茎手術を受けていい結果になった人もいるとは思いますが、僕はトラブルを抱えた人を診てきたので、中高生にも「切るのはやめよう」と訴えてきました。清潔な状態を保つことができれば、無理して切る必要はないのです。ただし、常に清潔に保つことは簡単ではなく、学校教育の場で教えていく必要があるという思いから、小中高での出張講義を行うようになりました。

今後の目標を教えてください。

先ほどふれた本の最新版を書き上げたいですし、講演を続け、子どもたちが手術を受ける必要はないという流れをつくりたいと思っています。もう一つの目標は、あと10年頑張って診療を続けるということです。

ちなみに先生の健康の秘訣は何でしょうか?

短時間でも熟睡することを大事にしています。救急病院の経験があるので、ごく短時間の睡眠を取る方法を習熟しています。また、訓練をして自己催眠ができるようになったので短時間でも深く眠れます。細かなことは気にせずよく忘れることも大事ですね。ほかにも軽い運動を毎日行っています。足腰は大事ですから、スクワットなどをしています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

石川英二院長 石川クリニック6

インターネット上には誤った情報も多く、そういったものをうのみにしないことが大切です。また、すぐに薬に頼るのではなく、自分で気をつけたり、努力したりすることも必要です。性感染症などは自己責任の意識が重要ですね。それから、喉が渇かないから、トイレに行きたくないからといった理由で水分を取らないというのではなく、飲むべき量を知り、必要な量を摂取できるように意識しなければなりません。そういう姿勢が脱水症、熱中症の予防につながるのです。加えて、気になることは気軽に相談してほしいです。例えば前立腺がんかどうかを診るPSAという検査数値基準があります。これはそもそも最低限3ヵ月ごとに3回など、数値の推移をみてどのような検査や治療を行うのかを判断する必要がありますが、基準値はクリニックによって違うなどの場合があります。数字や検査結果だけではなく、違和感や心配事があれば医療機関に相談することをお勧めします。

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