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笹本 基秀 院長の独自取材記事

笹本内科医院

(日進市/平針駅)

最終更新日:2021/10/12

笹本基秀院長 笹本内科医院 main

「あなたと家族の皆さまの健康のために」をスローガンに、「笹本内科医院」の笹本基秀院長は長年地域医療に貢献してきた。同院では笹本院長の専門である呼吸器疾患をはじめ、認知症や消化器疾患、生活習慣病の診療に対応。加えて、1998年に開院して間もない頃から在宅医療に熱心に取り組み、いつ何時患者やその家族から連絡が入ってもすぐに対応できるようにと、取材中も携帯電話を片時も手放さない笹本院長の姿に、在宅医療に注ぐ熱量を感じた。患者との対話を大切にし、「好きなことを楽しみながら、その人らしい人生を謳歌できるよう力添えするのが私の役割」とほほ笑む笹本院長に、医療にかける思いを語ってもらった。

(取材日2019年11月20日)

外来診療と在宅医療の両輪を携え、地域医療に貢献する

開院から20年余りとのことですが、クリニック開院に至った経緯をお聞かせいただけますか?

笹本基秀院長 笹本内科医院1

私は長らく国立療養所東名古屋病院(現・東名古屋病院)の呼吸器内科に籍を置いていて、この地域にもなじみがあったんです。勤務医を続けていくことも考えていたのですが、ちょうど呼吸器内科の医長を務めていた頃に病院の体制が大きく変化することに。それをきっかけに自分の医師としての在り方を見つめ直し、一念発起してクリニックを開くことを決意しました。開院場所をこのエリアに選んだのは、実はなりゆきで(笑)。私がクリニックを立ち上げることを偶然耳にした患者さんから「先生、どこに行ってしまうの?」と聞かれ、思わず「この近くだよ」と答えてしまったんです。でもその結果患者さんに安心してもらえたのなら、ここを選んで良かったと思っています。

クリニックの特色や患者層をお聞かせください。

私の専門である呼吸器内科はもちろん、広く内科全般に取り組めるように開院当初より体制を整えてきました。咳や息苦しさなど呼吸器関連の症状の治療をはじめ、在宅酸素療法の管理、生活習慣病の治療に応じています。ほかにも隔週土曜には、消化器内科の医師による胃・大腸内視鏡検査を行っています。また当院では、開院当初より在宅医療に取り組んできました。在宅医療でも一通りのことができる体制を整えていて、終末期の緩和ケアや看取りにも応じています。患者さんは近隣の方が中心で、勤務医時代の頃より診させていただくなどお付き合いして数十年という方も少なくありません。年齢層としてはご高齢の方が多く、認知症に関して相談されるケースも増えています。近隣の先生や患者さん、薬局の薬剤師さんからの紹介で来院される患者さんもいらっしゃって、こちらがびっくりしてしまうこともあります。

地域の方々に必要とされている実感がありますね。

笹本基秀院長 笹本内科医院2

もちろんどんな時も緊張感を持って診療にあたっているつもりですが、どなたかからのご紹介となると、一層襟を正す思いになりますね。頼っていただけるのはありがたいことですから、できる限り応えられるように励んでいます。よく周りから「外来も在宅もやっていたら大変では?」と言われるのですが、勤務医時代にも忙しくしていましたし、むしろバイタリティーにあふれる毎日を送れていると感じています。日頃からお世話になっている医師が自宅に来てくれる安心感は、患者さんやご家族にとって大きなものです。高齢化に伴い在宅医療の需要は今後より高まるといわれています。在宅医療になじみのないドクターにとっては大変なことと感じられるかもしれませんが、ぜひトライしてもらいたいですね。大丈夫、私にもできているんですから。

安心感を与える診療をめざし患者やその家族と向き合う

診療で心がけていることは何ですか?

笹本基秀院長 笹本内科医院3

目の前の方に不安を与える診療は絶対にしないと心に決め、動作や表情にも気を配っています。クリニックにかかるというのは、誰にとっても大なり小なり不安がつきまとうものです。そこで私が少しでも焦った態度をとったり厳しい表情を浮かべたりしたら、不安が高まってしまいますよね。たとえ検査結果が思わしくなくてもどっしりと構え、事実をありのままにお伝えする。そうすれば、患者さんも落ち着いて事実と向き合えるようになると思っています。認知症や、在宅医療を受けられる患者さんのご家族に対しても「私がついていますから」と声をかけ、時には手を握って、安心してもらえるように心を砕いています。例えば認知症患者さんのご家族は、患者さんを責めてしまう自分をさらに責めてしまうことがあるんです。そんな悲しくつらい連鎖を断ち切るために、私にできることであれば力を尽くして差し上げたいと思っています。

院長にとってやりがいを感じる瞬間とはどんな場面ですか?

患者さんから「ここへ来たら気が楽になった」「先生に聞いて安心できた」と言ってもらえると、本当にうれしく思います。最近では2世代、3世代を診る機会も増えてきました。家庭の状況や事情なども把握しやすく、患者さんも私も勝手知っている仲といいますか、かなり親密な関係になってきているように感じます。地域密着型の診療ができるのは、患者さんが信頼してくださってこそのことですし、感謝の気持ちでいっぱいです。

医師会の活動にも精力的だそうですね。

笹本基秀院長 笹本内科医院4

現在、東名古屋医師会の理事を務めています。医師会の活動では、数年にわたって地域包括ケアシステムの構築に力を注いでいました。在宅医療に長く携わってきた立場としても、地域包括ケアシステムは今後花咲いていくと思いますから、期待が膨らみますね。地域連携を円滑にする上で電子カルテによる情報共有が非常に重要になりますが、当院の場合は今も紙のカルテに手書きで診察内容をまとめていて、診察後に事務スタッフに電子カルテに入力してもらっています。パソコンでの検索よりも、パッと目を通して探すほうが早い時もありますし、患者さんにとっても安心感があると思うのです。昔ながらの良さも大切にしつつ、地域全体をつなげるシステムも活用しながら、地域医療の底上げをしていけたらと考えています。

その人が、好きなことを楽しめる人生を支え続ける

そもそも、院長が医師を志したきっかけは何だったのでしょう?

笹本基秀院長 笹本内科医院5

私の父も医師だったことが、少なからず影響しているのでしょうね。父は口数が少なく厳しい人だったのですが、私が小学生の頃「医師をめざしたい」と口にした時、思わず口元をほころばせていたんです。幼心に「父もこんな表情をするんだな」と思ったのを今でもよく覚えています。医学部に進んでからは、お互いに医療の世界に身を置く者として、医療を通じてコミュニケーションが取れたのもうれしい思い出です。今では私の娘も医師となり、子育てに入る前は当院の診療も手伝ってくれていました。娘と私も、昔の父と私のように、医療について語り合う仲になり、うれしく思っています。

患者さんとの思い出深いエピソードなどはありますか?

開院間もない頃、一人の患者さんの最期を在宅にて見送る機会がありました。その方は勤務医時代に診させていただいていた肺線維症の患者さんで、当初は病院に入院していたのですが、入院以降飼っていたペットのわんちゃんが一晩中ほえ続ける事態になってしまい、退院を希望されて。そこで、当時ちょうど開業していた知り合いの医師に私も主治医としてできる限りのサポートをするとお願いして、在宅医療に移行したんです。その後しばらくして私も開院し、同僚とともにその患者さんのもとへ足を運びました。かなり状態は悪くなっていたのですがお会いすることができ、その数日後に患者さんは息を引き取りました。ご家族から「先生を待っていたんですよ」と言っていただけたとき、私自身とても温かな気持ちになり、医療に対する思いを一層強くしました。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

笹本基秀院長 笹本内科医院6

患者さんの考え方や目線は人それぞれ違って、マニュアルはありません。これからも一人ひとりの患者さんとしっかりと向き合うことを大切にし、患者さんとともに歩む医療を追求していきたいと思っています。そして診療を通じて、私自身が多くの事を学ばせて頂きました。この得た学びを診療に生かして患者さんへお返しできたらと思っています。そうして、私なりに患者さんが人生を謳歌できるように支えていきたいです。普段から患者さんにお伝えしていますが、毎日を健康的に過ごす上で大事なのは「好きなことを楽しむ」こと。健康のためと我慢するのではなく、今自分にとって必要なものは何かを素直に感じ取って、日々の生活に生かしていただきたいです。

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