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大野 晃 理事長の独自取材記事

小牧クリニック

(小牧市/小牧口駅)

最終更新日:2022/12/28

大野晃理事長 小牧クリニック main

小牧市南部、北外山の地に建つ「小牧クリニック」。30年以上地域に根づき、腎臓病、糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの慢性疾患を中心とした一般内科の診療ならびに血液透析の治療を行っている。療養型を中心とした入院病床19床と透析ベッド75床を備え、月曜から土曜日まで夜間の透析にも対応している。大野晃理事長は、小牧市民病院や腎臓病が専門の増子記念病院で経験を積み、2005年に院長として着任、2021年に理事長に就任した。「患者さまが幸せで元気に長生きできるように」との理念を掲げ、透析医療となっても自分らしく生きるスタイルを応援している。長年の経験をもとに「できるだけ患者さまの意思を尊重した治療を行っていきたい」と心がける大野理事長に地域医療に対する思いを聞いた。

(取材日2022年9月21日)

透析専門の施設としてオーダーメイドの透析を

患者さまはどのような方々が来られていますか?

大野晃理事長 小牧クリニック1

当院はもともと透析専門の施設として開院した経緯があり、現在は透析が必要となった方はもちろんのこと、高血圧や糖尿病、脂質異常症など生活習慣病の方も外来で診療しています。患者さまは市内の方を中心に、春日井市の方や、小牧市にお勤めの名古屋市の方なども来られていますね。当院は月曜から土曜日まで夜間の透析も行っていますので仕事帰りに来られる方もいらっしゃいます。透析患者さまの年齢は主に40代から80代、90代で、以前と比べるとご高齢の方の割合が増えてきた印象です。心臓の病気など持病のある方も目立ちます。入院施設は療養型を中心とした19床。透析ベッドは75床あります。当院には透析専門の医師が複数おり、24時間スタッフが常駐する体制を整えています。

こちらでは体の負担に配慮した透析をされているそうですね。

当院の透析治療では心機能や血圧に影響が少ないといわれる無酢酸透析液を使用しています。また患者さま一人ひとりに合わせたオーダーメイドの透析医療を行うことをモットーとしています。透析は、腎臓に代わって体の中の毒素や老廃物、余分な水分を取り除く作業といえますが、体に不要なものでも急激に取り除くと体に負担がかかります。そのため血圧が下がりやすい方にはゆっくり時間をかけて透析することを提案する場合もあります。また、血圧が不安定な方は数分おきに看護師がチェックし、透析装置を微調整します。血圧が大きく下がったときはすぐに医師が点滴などの処置をします。逆に、体の小さい方や長くベッドにいるのがつらいという方には時間を短くして対応することも可能です。横になってテレビやDVDも観ることができ、できるだけ快適に過ごしていただきたいと考えています。

腎臓の病気について教えてください。

大野晃理事長 小牧クリニック2

慢性腎臓病(CKD)はゆっくりと進む慢性の腎臓の病気全般のことで、その中に糖尿病による糖尿病腎症、高血圧症による腎硬化症などがあります。腎臓は、血中にたまった余分な毒素を尿にして排出する臓器。縦10数センチほどの腎臓1つの中に、毛細血管でできた糸球体と呼ばれるろ過フィルターが約100万個ぎっしりと詰まっているのです。顕微鏡でしか見えないほど小さいので患者さまには模型で説明しているのですが、このフィルターがつぶれて役割を果たさなくなってしまうと透析医療が必要となるわけです。つぶれる原因は動脈硬化や炎症、遺伝的な病気などさまざま。昔は50~60代の患者さまが多かったのですが、今は高血圧や糖尿病の治療が進み、透析になるまでの期間が伸びたことや、加齢によって心臓などが悪くなるとその影響で腎臓機能も障害されるので、80代、90代の透析患者さまが増えていると思います。

治療は患者の意向を尊重し二人三脚で

透析にならないように予防はできるのでしょうか?

大野晃理事長 小牧クリニック3

糖尿病や高血圧など腎臓を傷めるような持病がある方は、まずそれを改善するよう努めることが重要です。そうした病気がない方も、普段から塩分を控えてバランスの良い食事を取り、適度な運動をされるといいですね。また、毎年、健康診断を受けて病気を早めに見つけること。それほど特別なことではないので意識してもらえるといいなと思います。腎臓の働きが弱くなったら透析は避けて通れません。放置すれば命に関わるからです。透析治療の他に腎移植という選択肢もありますが、その場合はご本人やご家族と相談の上、小牧市民病院や大学病院などにご紹介しています。

透析治療は大変そうです。

血液透析は基本的に週3回4時間で、確かに不便かもしれませんが、不幸というふうには感じてほしくないと思っております。透析になっても仕事はできるし、家族と一緒に過ごすこともできます。私の先輩医師の中には、ご本人も透析患者で、他の患者さまの診察後に自分の病院で透析を続けている人もいます。また、今は新型コロナウイルス流行下で難しいですが、以前は海外旅行に行かれる方もいらっしゃいました。渡航先の透析施設宛てに私が英語で紹介状を書いて受け入れてもらうのです。予約は患者さまがされますが私もよく相談に乗っていました。このように透析が必要な生活でも患者さまがやりたいことがやれるように、私もできる範囲で協力したいと思っています。

診療で先生が大切にされていることはどんなことですか?

大野晃理事長 小牧クリニック4

医療は、医師と患者さまの二人三脚だと思っております。医師は治療行為をしますが、自己管理は患者さま本人にしかできません。医師が適切な治療をし、患者さまも自己管理がきちんとできた時、ベストの結果が得られると考えています。しかし患者さまの中には食事管理がうまくできないなど頑張ることが難しい方もおられます。そのようなとき、例えば、塩分制限ができないという方には尿に塩分を排出する薬を出したり、あるいは透析条件を変更したりして、症状や生活背景に応じて治療方針を考え、患者さまが頑張れなかった分は医師が頑張って、二人三脚で力を合わせて良い医療ができたらいいなと考えております。

専門性を持つスタッフとともに地域医療に貢献

患者さまに親身に寄り添っていらっしゃるのですね。

大野晃理事長 小牧クリニック5

治療ではいろいろ制限もありますが、それでも「お酒を飲みたい」「ケーキを食べたい」など希望される患者さまはおられます。そんなときは安全な範囲で、なるべく患者さまの気持ちを尊重するようにしております。もちろん体に危険なこと、必要なことはしっかりお伝えした上でのことです。例えば腎臓病の患者さまの中には塩分制限をしっかり守らないと心不全になってしまうような方がいます。そのような方には、なぜ塩分制限が必要なのか、塩分制限をしないとどうなるのか……などを丁寧に説明し、管理栄養士とも協力しながら患者さまがきちんと自己管理できるようサポートしています。

スタッフの方々についても教えてください。

当院では理学療法士によるリハビリテーションにも力を入れています。高齢の方は足の筋力が弱く、脳梗塞や骨折などでの入院を契機にそのまま寝たきりになってしまうことも。そのような場合は市民病院などでの治療が終了したら当院に入院してもらい、透析医療を続けつつリハビリで筋力や体の機能の回復を図り、その後、家に帰る形です。当院には車いすのまま乗ることができる無料送迎バスがありますので利用していただくこともできます。また管理栄養士もおり、感染症流行前は患者さま向けに調理教室を行っていました。管理栄養士は、栄養管理の必要な方に適した食事のアドバイスを行っています。さらに透析治療中は心臓病やがんなどの病気がないか定期的なチェックが大切なのですが、当院では専門の技師が検査を担当しています。看護師をはじめとしたスタッフも患者さまの声に耳を傾け、問題の早期発見に努めています。

今後の展望についてお聞かせください。

大野晃理事長 小牧クリニック6

当院は、透析専門の施設として開院してから30年以上になります。多職種のスタッフの力を生かし、これからも透析患者さまを大事にしつつ、生活習慣病など一般的な内科診療の患者さま方も幅広く受け入れてきちんと診察し、地域の皆さまが健康で幸せに長生きされるためのお手伝いをしていきたいと思います。小牧市民病院や春日井市民病院など地域の医療施設との連携も強く、患者さまにとって適正な治療を提供していきたいと考えています。地域の皆さまのかかりつけ医としてお気軽に利用していただければうれしいです。

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