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船橋 益夫 院長の独自取材記事

医療法人喜光会 北里クリニック

(小牧市/岩倉駅)

最終更新日:2021/10/12

船橋益夫院長 医療法人喜光会 北里クリニック main

小牧市の郊外、閑静な住宅街の一角にある「北里クリニック」。70台分もの駐車場があり、車でのアクセスにも便利な同院は、船橋益夫院長の専門である外科を中心に、胃腸内科や内科、肛門外科、整形外科、リハビリテーション科、歯科、小児歯科など幅広く手がけており、地域の基幹クリニックといった趣だ。1984年の開業以来、地元から大きな信頼を得ている同院の特徴、そして今後の展望などを聞いた。

(取材日2017年1月26日)

「メスを持った内科医になりなさい」との教えを胸に

長い歴史を持ったクリニックですね。

船橋益夫院長 医療法人喜光会 北里クリニック1

1984年に開業し、2017年の1月で34年目に入りました。開業したのは現理事長の私の父で、当時の診療科目は外科と内科でした。父はもともと外科の医師で、最初は2階に手術室と入院患者用の病室を備えて、その後、診療科目の増加に伴って施設・設備面を少しずつ拡張したり、逆に入院を伴う手術などへの対応は縮小したりしながら、今の状態に至っています。小牧市は近年、名古屋市のベッドタウンとして新しいファミリー層も増えてきていますが、当クリニックの周辺一帯は郊外で、古くからの住宅街が広がっています。昔ながらの一戸建て住宅が多く、患者さんは開業当時から継続して来院される方が多いのが特徴です。

医師をめざしたきっかけや、これまでの経歴について教えてください。

正直、進路について多少は揺れ動いた時期もありました。高校時代の家庭教師が建築学科の学生の方で、その方の持っていた設計図などを見ているうちに「建築家になりたい」と憧れた時期もあったんですよ。ただ、父がクリニックを開業していたので、それを継ぐのが長男の務めかなという思いが勝り、医師の道を歩むことにしました。また、地元に根付いて皆さんから「先生、先生」と慕われている父の姿が、そうした決意の後押しをしてくれました。藤田保健衛生大学を卒業後は、大腸・肛門などを専門とする下部消化器外科の医局で2年間の研修、栃木県の足利赤十字病院で2年間の勤務を経て、また大学へ戻って大学院で4年間研究活動に取り組み、大学院卒業後も数年間大学病院にて手術経験を重ねこの地に戻ってきました。

専門領域である外科についての思いの丈を聞かせてください。

船橋益夫院長 医療法人喜光会 北里クリニック2

研修医時代の指導教授が口癖のように言っていたのが、「メスを持った内科医になりなさい」ということです。外科医だからといって手術だけで終わるのではなく、診断から治療、その後のフォローまですべて診ることができるような医師になりなさい、というのがその真意です。今はこのクリニックには入院設備もないですし、外来でできる簡単な手術くらいしか対応していませんが、手術以外のこと、例えば内視鏡検査などもおろそかにせず学んできたことが、今本当に役に立っています。指導教授の教えを肝に銘じ、どういった治療がいいのかを考えながら、患者さんたちにとって最良の医療を提供することをめざしています。

知恵と力を結集し、どんな病気も治せるという信念で

診療科目は院長の専門領域以外もあって、とても幅広いですね。

船橋益夫院長 医療法人喜光会 北里クリニック3

大学病院や総合病院の場合、それぞれの専門分野を深く診療しますが、地域のクリニックでは専門領域にとらわれない広い知識が必要で、患者さんの幅広いニーズに対応して診療するのが最大の役割です。当クリニックでは、理事長の父と院長の私に加え、循環器や整形外科が専門の医師たちの力を借りて診療を行っています。患者さんからすると「医者は何でもわかっていて、何でも治せるのが当たり前」なんです。でも実際はいろいろな疾患があって、一人の医師がすべてに対応するのは不可能です。だから、当クリニックでは設備面などから対応が難しい場合や専門外の診療の場合には、大学時代の人脈などを活用して大学病院や地域のほかのクリニックを紹介するようにしています。

勤務医時代から現在までで、印象に残っている患者さんのエピソードはありますか?

病院時代に腹膜炎のショック状態に陥った患者さんの緊急手術に携わったことがあるのですが、文献を検索してもほとんど出てこないような珍しい症例だったんですね。実際、2週間くらい不眠不休で手を尽くしても回復せず、もう駄目かもしれないという状況でした。その時、たまたま大学病院の食堂に腎臓が専門の先生がいらっしゃって、状況を説明したところ、海外の論文から症例を探すなど親身に協力してくださったんです。そして、それがきっかけとなり、呼吸器、循環器、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科などから多くの先生が知恵を貸してくださいました。結果、その患者さんは奇跡的に回復したのです。この時に、一つの専門的な領域の知識だけで救える命には限りがあり、知恵と力の結集が大事だということを実感しました。

院長自身、大きなケガを経験し入院されたこともあるそうですね。

船橋益夫院長 医療法人喜光会 北里クリニック4

私は学生時代スキー部だったのですが、ある冬に長野県のスキー場で転倒して脊椎を損傷し、全治3ヵ月という大きなケガをしてしまいました。そのまま現地の病院に入院、しばらくの間寝たきりの状態になってしまったのです。家族や友人が気軽に見舞いに来られる距離でもありません。そんな時、病人は弱気になるものですね。またこの時、担当の先生や看護師さんなどのスタッフの方たちが、本当に優しく親身になってくれる人と、残念ながらそうでない人に分かれることを知りました。患者さんは、1つの言葉で傷つきもすれば元気になることもあります。医師という立場に立った今、医療従事者の何気ない言葉や行為が患者に与える影響は、自分で思っている以上に大きいものなのだと自戒し、スタッフにもよく言い聞かせています。

チーム医療で、今後も地域の健康を支えていきたい

診療時にどんなことを心がけていますか?

船橋益夫院長 医療法人喜光会 北里クリニック5

来院される方は、皆さん体に不調を抱えた方たちです。私たち医師やメディカルスタッフの発する一言、態度1つでその人が元気にもなるだろうし、さらに悪くしてしまう可能性もあるのです。ですから、まず第一に、笑顔で接するのが大事なのです。そして第二が、患者さんとのコミュニケーションです。不調を抱えた患者さんに「健康になってもらえる」ことが、医療従事者としては何よりの喜びです。そのために診療、とくに初診ではじっくりお話を伺います。ただ、それで患者さんの待ち時間が長くなってしまうこともあるので、できる限りそうならないように努力しています。また、待合室とは別に「サロン」を設置し、コーヒー・お茶・お水などをセルフサービスで無料提供するなど、診療までの待ち時間やリハビリの合間、診療後をゆっくりくつろげるように配慮しています。

診療科目数だけでなくスタッフの人数も多いですが、気を付けていることはありますか?

当クリニックでは、医師に加え看護師や診療放射線技師、理学療法士などのリハビリ関連のスタッフや、多くのメディカルスタッフが患者さんと応対しています。まず、患者さんに気持ち良く受診していただくためには笑顔での挨拶が基本ですから、その点はスタッフ全員に徹底しています。また、患者さんの命を救い健康を維持するためには、医師一人の力だけではなくメディカルスタッフ全員が共通の意志を持ち治療にあたる必要があります。患者さんの医療情報を共有し、スタッフ間の認識にぶれがないようコミュニケーションは密に取っています。また、理学療法士はより良い医療・リハビリテーションを提供するために、糖尿病教室や介護予防教室、整形外科疾患セミナーといった教室、セミナーを地域の方に向けて開催しています。

今後の地域医療の在り方、クリニックの展望や方向性などについてメッセージをお願いします。

船橋益夫院長 医療法人喜光会 北里クリニック6

父が院長の時からたくさんの患者さんが来てくださっています。これは父の人柄が患者さんに信頼されている証であり、まだまだ私は父には敵わないと思っています。高い壁ですけれど、いつかはそんな父を追い越していきたいですね。幸いにして父はまだ元気で「生涯現役医師」という気持ちで診療にあたっています。また、開業から長い歳月が経過し、昔から来てくださっていた患者さんの中には、年老いて動けなくなってしまったり、亡くなられてしまった方もいらっしゃいます。父はそういう方たちと一緒に地域の健康づくりに携わってきました。そんな皆さんのために、父は現在、水曜日の午前中の外来診療を休診して来院できない方のために往診を行っています。地域の高齢化は今後も進んでいきますから、父はもちろん私も地域の方たちに一層寄り添って、地域の健康づくりに尽力していきたいと思っています。

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