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池田 琢哉 院長の独自取材記事

池田病院

(鹿児島市/高見橋駅)

最終更新日:2021/10/12

池田琢哉院長 池田病院 main

2021年春、鹿児島中央駅から徒歩圏内の城西通りに移転したばかりの「池田病院」。池田琢哉院長の父が開業し、およそ60年の長い歴史を持つ。池田院長は小児科医師として幅広く研鑽を積み、一般的な小児治療に加えて、発達障害、睡眠障害、低身長などの治療にも取り組む。新病院ではレスパイト入院にも対応するなど、親や家族のケアにも力を注ぐ。「子どもの可能性を信じ、子どもたちが幸せになるように願いながら診療しています」と話す池田院長。その笑顔や語り口からは優しさや温かさがにじみ出てくる。鹿児島県医師会会長を長年務め、地域医療の充実にも尽力している池田院長に新病院のこだわりや力を入れている治療、患者や病院づくりへの思いなどについてじっくりと話を聞いた。

(取材日2021年4月6日)

子どもたちの幸せを願って、親と子に寄り添う

今年の春に移転されたそうですね。それまでの経緯をお聞かせいただけますか?

池田琢哉院長 池田病院1

当院は60年ほど前に、私の父が黄金通り沿いに開業したのが始まりです。時を重ねて建物の老朽化が進み、患者さんからも「古くなりましたね」という声が多く、思い切って建て替えをすることにしました。本当は以前の場所でと思っていたのですが、手狭だったことなどから移転するしかないと考えていたところ、たまたま現在の土地を提供していただけることになったんです。近くで患者さんも通いやすく、診療を続けながら移転できるということで、こちらに移ってきました。

ミニチュア作品があちこちに展示され、とてもかわいらしい院内ですね。

ありがとうございます。私は「人間は幸せになりたいから生きている。子どもたちにも幸せになってもらいたい」という気持ちをずっと持っています。展示しているのは鹿児島在住のミニチュア作家の方の作品なのですが、彼の「小さな幸せ」を与える作品づくりは私のめざす病院づくりに通じるとこがあると感じ、縁あって依頼しました。ポイントは、お子さんがじっくり見られるようあえて低い位置に展示していること。ブロッコリーやクロワッサン、一寸法師などさまざまなものがモチーフになっていますが、そこから野菜に対する親しみや命を頂くという感謝の気持ちなど、親子で想像を膨らませながら感じ取っていただければと思っています。

院内設備も充実を図ったそうですね。

池田琢哉院長 池田病院2

まず、要望の多かった入院個室を5床から13床に増やし、和室も設けています。ご家族で治療を受ける場合などにご活用いただければと考えています。さらに、レスパイト入院の受け入れを始めました。レスパイトというのは「休息」という意味で、ご自宅で介護をされている方が仕事や旅行、病気などで介護が難しくなったときに短期入院することです。障害のあるお子さんは、かつては施設入所が多かったのですが、今は在宅が増えて、その分ご家族の負担が大きくなっています。そういった皆さんに対する支援ができればと前々から考えていたので導入しました。また、旧病院に引き続き、院内の病児・病後児保育「チックタック童夢館」では、働く親御さんをサポートしています。

睡眠障害、ゲーム障害、発達障害、低身長の診療も

睡眠障害のお子さんのための治療を始められたとお聞きしました。

池田琢哉院長 池田病院3

近年、不登校のお子さんが増えていて、1日中ゲームをするなどして昼夜が逆転し、睡眠障害が起きている子も少なくありません。そこで、睡眠障害のお子さんを治療するための設備を備えた部屋を新設しました。朝は明るい光を照射し、夕方から夜にかけては光をだんだん弱くしていき、徐々に生体リズムを整えていくというものです。特にゲーム障害は中学生以上になると治療が難しくなりますので、少しでも兆候があれば早めに対応することをお勧めします。

発達障害の治療にも取り組んでおられるそうですね。

発達障害のお子さんも増えていて、2012年の調査では子どもの5~6%は発達障害だといわれています。障害という名前がついていますが、決して異常ではなく、私は個性として捉えています。ただ、日常生活を送る上で、お一人お一人異なる課題があります。親御さんは気づいていない方もいれば、気づいていてもどうしていいかわからないという方もいらっしゃいますね。当院では、精神科の先生や臨床心理士に協力してもらい、発達障害の対応方法などについてお伝えしています。思い当たる症状などがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

低身長の治療についてはいかがでしょうか?

池田琢哉院長 池田病院4

身長もそれぞれ個性があります。近年、学校では子どもたちの発育を評価する上で、成長曲線を積極的に活用するようになりました。成長曲線というのは身長、体重を記録してグラフ化したもので、標準的な範囲を大きく外れていなければ順調に成長していると考えられます。ただ、平均身長との差が大きかったり、急激に背が伸びたり、逆に伸びが悪くなっている場合は、背後に病気が隠れていることがあります。例えば、身長の伸びが悪いお子さんは成長ホルモンが十分に作られていないのかもしれません。このようなケースでは成長ホルモンの注射を定期的に打つという治療方法があります。身長が心配という方も早い時期からご相談いただければと思います。

育児の楽しさを味わい、子どもと一緒に成長してほしい

診療をするときにこだわっていることを教えてください。

池田琢哉院長 池田病院5

「子どもの可能性は無限にある」と信じて診療していることでしょうか。大学を卒業して6年ほどたった頃、障害児を受け入れている病院に行ったことがあり、そこで運動会がありました。歩くことすらできないお子さんもおられますので、初めは「やらないほうがいい」と思ったのですが、実際に運動会が始まってみると、グラウンドを転がりながらゴールに向かう子がいたのです。それもとても楽しそうに。その様子を目の当たりにした時に、「子どもはいくらでも伸びる。なるべくセーブしないで病気を治していくことが大事なんだ」と気づいたのです。それから、子どものできる力を信じて診療するよう心がけています。

医師をめざしたきっかけと小児科を選んだ理由をお聞かせいただけますか?

高校時代はパイロットになりたいと思っていたんですが、3年生になって急に視力が落ちて諦めたんです。そこで、父の背中を見ていたこともあり、医師の道をめざすことにしました。大学卒業後は、初めは老年医学の分野に進もうと思ったのですが、鹿児島に里帰りする飛行機の中でたまたま出会った鹿児島大学の小児科の教授に「子どもはこれからの人生が長い。子どもの病気を治すということは、その子の夢を大きくしてあげることにつながる」と力説されました。どこか響くものがあったのでしょうね。小児科に進むことにしたのです。あれから50年。若い頃はがむしゃらに仕事をしていましたが、最近は子どもの目を見ること、会話をすることの楽しさをしみじみと味わいながら診療しています。子どもは素直で正直。嫌なものは嫌。それをいかになだめるかというところに楽しさがありますね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

池田琢哉院長 池田病院6

子育ては喜びや楽しみがいっぱいで人生を豊かにしてくれます。しかし一方で苦労も少なくありません。特に仕事をしながらだと大変ですよね。国を挙げて産みやすい環境、育てやすい環境づくりが進んでいますが、現実は厳しいこともあります。私にも3人の子どもがいますので、親御さんのご苦労はよくわかっているつもりです。それでも小児科医師としては、「子育ての楽しさを存分に味わって、お子さんと一緒に成長していっていただきたい」とお伝えしたいですね。私たちは、一生懸命子育てをされているお父さん、お母さんが日々一瞬でも小さな幸せを感じていただけるよう、お手伝いができればと考えています。不安なこと、困ったことがあれば、いつでもお気軽にお越しください。

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