全国のドクター9,189人の想いを取材
クリニック・病院 158,628件の情報を掲載(2024年4月27日現在)

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 世田谷区
  4. 仙川駅
  5. ひらくクリニック
  6. 健診で定期的に腎臓をチェック動脈硬化による将来の大病を防ぐ

健診で定期的に腎臓をチェック
動脈硬化による将来の大病を防ぐ

ひらくクリニック

(世田谷区/仙川駅)

最終更新日:2021/10/12

ひらくクリニック 健診で定期的に腎臓をチェック 動脈硬化による将来の大病を防ぐ ひらくクリニック 健診で定期的に腎臓をチェック 動脈硬化による将来の大病を防ぐ
  • 保険診療

腎臓病と言われてもピンと来ない、あるいは自分には関係がないと思っている人が多いのではないだろうか。慢性腎臓病(CKD)は初期の段階ではほとんど自覚症状がなく、おかしいなと気づいた時には、かなり病気が進んでいるという。腎臓の機能は加齢とともに衰え、一度悪くなった腎臓は元には戻らない。初期に発見し、治療をすることが重要で、そのためには定期的に健康診断を受けて、異常を見つけることが大切だ。「ひらくクリニック」の吉田啓(よしだ・ひらく)院長は腎臓疾患の専門家として、長く大学病院で診療をしてきたベテラン。クリニックでは透析も行っているが、透析に至らないように腎臓を守りたいという吉田院長に、慢性腎臓病の予防と治療について話を聞いた。

(取材日2021年6月17日)

自覚症状がなく、悪くなると元には戻らない腎臓病。定期的な健康診断で早期発見・早期治療を

Q腎臓病につながる症状にはどのようなものがありますか?
A
ひらくクリニック 腎臓はソラマメのような形をしており臍の後ろに左右1つずつある

▲腎臓はソラマメのような形をしており臍の後ろに左右1つずつある

慢性腎臓病は初期の段階では、ほとんど自覚症状がありません。かなり病気が進行して末期になるまで、症状の出にくい臓器なのです。ですから、病気を初期の段階で見つけるためには、定期的に健康診断を受けることが大事です。それしかないと言っていいほどです。腎臓は加齢とともに、機能が低下していきます。また血液から尿を作る役目を担っているため、血管がたくさん集まっていて、動脈硬化の影響を受けやすい臓器でもあります。そのため糖尿病、高血圧、脂質異常など生活習慣病が原因で動脈硬化を起こし発症するケースが多く、発症がさらに心臓や血管に負担をかけるという悪循環に陥りやすいのが怖いところです。

Q健康診断ではどのような項目に気をつければいいでしょうか。
A
ひらくクリニック 自覚症状がなくても自己判断はせず、必ず医院へ相談を

▲自覚症状がなくても自己判断はせず、必ず医院へ相談を

健康診断で異常が指摘されるのは、血液検査でクレアチニンの値が高くなった場合が一番多いですね。クレアチニンは筋肉が生まれ変わる代謝の際に排出される老廃物で、腎臓の機能が衰えると、尿に出し切れなくなり、血液中の濃度が上がります。値が正常値の0.8〜0.9以上になったらまず医師に診てもらい、精密検査をしてください。値が1.0を越えたら、腎臓専門の医師による診断・治療が必要です。尿検査で血尿が出た、あるいはタンパクが(+)になって、病気が見つかることも多いですね。いずれの場合も初期の段階であれば、治療して悪化を防ぐことができます。早期発見、早期治療が何よりです。

Q健診で異常が見つかっても放っておくと、どうなりますか?
A
ひらくクリニック 腎臓の機能は一度失われると、回復することのない場合が多い

▲腎臓の機能は一度失われると、回復することのない場合が多い

腎臓の働きが悪化し続けると、正常な状態に戻すことができなくなります。最初はほとんど自覚症状がありませんが、健康診断で尿にタンパクが出たり、クレアチニンの値が高いのに、放っておけば、病気が進行し、貧血やむくみ、血圧上昇などの症状が出ます。さらに悪化すれば、透析治療を受けなければならなくなります。また慢性腎臓病が悪化すると、心臓や血管に負担をかけることになり、生活習慣病と相まって、心筋梗塞や脳卒中などの合併症を起こしやすくなります。早めに病気を発見し、原因に応じた適切な治療を受けることが、重症化を防ぐためにも重要です。

Q診断と治療について教えてください。
A
ひらくクリニック 食事療法や運動療法などで、腎臓病や動脈硬化を予防していく

▲食事療法や運動療法などで、腎臓病や動脈硬化を予防していく

尿検査でタンパクが(−)でも血液検査でクレアチニン1.0以上の場合、またクレアチニンが1.0未満でも尿タンパクが(1+)以上であれば、専門の医師による診断が必要です。いずれかの状態、あるいは両方の状態が3ヵ月以上続くと、慢性腎臓病と診断されます。治療としては血圧を下げる薬を飲むなど、原因となっている生活習慣病の治療をすることで腎臓の負担軽減を図ります。基本的な対策として暴飲暴食を避け、運動をすることも大事ですね。腎臓を守るというのは血管を守ること。血管を守るためには運動が一番です。運動することで血液が大量に循環すると、血管が伸び縮みし弾力性が保たれます。運動でしなやかな血管をめざしたいですね。

Qこちらで行っている治療の特徴を教えてください。
A
ひらくクリニック 不規則な生活や睡眠不足は腎臓に負担をかけることとなる

▲不規則な生活や睡眠不足は腎臓に負担をかけることとなる

最初から薬に頼るようなことはせず、まずは運動を勧めています。歩いたり、筋力トレーニングをしたり、水泳など以前親しんでいたスポーツをまた始めるのもいいでしょう。ハードルの高いことを押しつけるのではなく、まずはできることから始めてもらい、私たちは患者さんに伴走する形でサポートする、というのが当院のスタンスです。慢性腎臓病の大きな原因となっているのは生活習慣病で、その大本は文字どおり生活習慣にあります。それを改めない限り、薬を飲んでも根本的な解決にはなりません。病気を悪化させ、血管を詰まらせれば、脳梗塞や心臓病にもつながります。そうならないためにも、食事や運動など生活習慣の見直しをしてみましょう。

ドクターからのメッセージ

吉田 啓院長

腎臓はあまりなじみのない臓器かもしれませんが、「腎臓病=動脈硬化」と置き換えるとわかりやすいかと思います。腎臓は多くの血管が集まった、動脈硬化の影響を受けやすい臓器です。動脈硬化が起きると、将来心筋梗塞や脳梗塞など重篤な病気を発症する恐れがあります。私は腎臓疾患を専門としていますが、腎臓を診ているというより、動脈硬化を診ていると思っています。つまり、動脈硬化を予防すれば腎臓病の予防にもつながるというわけです。もし動脈硬化の兆候が見られても、初期の段階なら、それ以上進行させないようにすることで将来のさまざまな病気リスクを抑えることにつながります。忙しい方こそ忘れずに健診を受けてほしいと思います。

Access