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飯森洋史 院長の独自取材記事

飯森クリニック

(小金井市/武蔵小金井駅)

最終更新日:2021/10/12

飯森洋史院長 飯森クリニック main

武蔵小金井駅から歩いてすぐ。開業してから15年目を迎える「飯森クリニック」は心と身体両面をしっかり診ていきたいとの思いでつくられた。院長の飯森洋史先生は国立大学の理工学部を卒業後、医学部に入学し直したという異色の経歴の持ち主。豊富な臨床経験に裏打ちされた鋭い洞察力を駆使し、日々の診察に臨んでいる。心理療法を採用した研究所を併設する医療機関は国内でも数少ないので注目を集めているが、その改善率の高さが評判となり、全国各地から患者が訪れている。「患者さんのために自分ができることを増やしたい」と話す飯森先生は、大ベテランとなった今でも忙しい合間を縫って勉強会や研修に参加し、知識を吸収し続けている。インタビューでは医師をめざしたきっかけから診療への思い、今後の展望まで語っていただいた。

(取材日2015年3月19日)

西洋医学と東洋医学をミックスした治療を実践

理工学部卒業後、医学部に入学したそうですが。

飯森洋史院長 飯森クリニック1

そもそも理工学部に入ったのも、社会工学の分野で自然と人間との関係を追究してみたかったからなんです。人間にとっての自然、人間にとっての土木工学を研究するつもりだったのですが、突き詰めていくうちに人間そのものについて、もっと考えていきたいと思うようになり、医学部に入り直しました。また、当時アルバイトで塾の講師をしていたのですが、多様な病理を持つ子どもたちと関わっていく中で、彼・彼女らをより専門的な立場から援助したいと思うようになったこともあります。理工学部に入学した頃から精神分析や催眠療法には興味があったのですが、その頃は今の仕事に就くこと自体想像もしていませんでしたね。一時期はカウンセラーになることも考えましたが、資格がきちんと整備されていなかったので医師を選択しました。その後は素晴らしい恩師とともに勉強の機会にも恵まれ、現在に至っています。

開業までの経緯について、教えてください。

私が高校生の頃というのが、ちょうど学生運動真っ盛りの時代だったんですね。その影響をまともに受けた私は組織に入って働くよりも、自分らしく生きる道を選びたかった。それが開業医という道につながったのだと思います。開業するまでは大学病院や総合病院で、みっちり経験を積みました。特に内科のキャリアは豊富で、一通りの疾患は診てきたと自負しております。当時は目が回るほど忙しかったのですが、そのときの経験は今にしっかり生かされています。

患者さんは地域の方が多いのでしょうか。

飯森洋史院長 飯森クリニック2

地域の方のみならず、日本全国から来院します。関東全域から大阪、遠い所では九州からもいらっしゃいましたね。宮崎から来たという人には、さすがの私も驚きましたよ。よほど切羽詰まっていたのでしょう。その方は長年耳鳴りの症状で悩んでいたのですが、近隣の耳鼻科では対応しきれなかったため、わらにもすがる思いで当院を訪ねてきたのです。初診時は絶望的な気持ちだったようですが、薬を処方したところ改善の方向へ向かったので、その後は九州の大学病院をご紹介させていただきました。耳鳴りというと一般的には耳鼻科の分野と思われがちですが、あながちそうでもなく、精神面も関与しているケースがかなりあるのです。こうしたケースに対応するため、当院では人間の体全体を診る全人的医療を実践しています。精神科の薬だけでなく、身体科の薬や漢方薬も処方し、心理療法も併用するなど、あらゆる角度からのアプローチを試みております。

併設された研究所にて心理療法を積極的に採用

薬は積極的に取り入れた方がいい場合もあるのでしょうか。

飯森洋史院長 飯森クリニック3

精神科の医師の中には十分量の投薬をためらう人もいるようですが、私は次のように考えています。定期的に飲む薬は骨折した人にまくギブスのようなものです。しっかりしたギプスをまかないと、きちんと骨がくっついていかないと思います。しかも薬を1錠飲むか2錠飲むか3錠飲むかの違いは、病気の重症度に依存するのではなく、その症状を軽減するのに要する量に個人差があるからです。また、例えばうつ病の患者さんには抑うつ感や意欲低下などの精神症状だけでなく、肩こりや頭痛といった身体症状に悩まされる人が実に多いのです。それらの症状も含めて全体として改善されなければ、本当の意味での治療とは言えないのではないでしょうか。理想は心身両面の症状と、その関係性を診ていくことです。そうした観点から当院では西洋医学と、心身一如として考える東洋医学、それぞれの長所を取り入れた治療を提供しております。

併設された研究所にて、心理療法も実践されているとお聞きしました。

私はこれまでにさまざまな心理療法について学び、それぞれを深く追究してきました。その中で現在、最も力を入れているのが催眠療法です。恩師の影響もありますが、私自身に最も合っている療法だと実感しております。国内の医療機関で心理療法を採用している所はまだ少ないですが、長年の経験から薬物療法に加えて心理療法を併用すると良い結果を招くと私は確信しています。例えば、電車に乗れない悩みを抱えている人が相談に来たとします。心理療法に精通していない多くの精神科医の中には電車に乗らないよう指示する先生もいますが、こうした不安障害においては、逆にそれはマイナスになってしまいます。この場合、むしろ電車に乗ることをすすめるのが常道です。これは暴露療法といって、敢えて苦手な場面に直面することによって、苦手な場面が脱感作されるのです。嫌な状態を克服するのに最適な療法と言えるでしょう。当院併設の研究所には他にも様々な心理療法を駆使し、患者さんの心の問題や感情の整理に努めている臨床心理士が多数在籍しています。心理療法の実践に関しては、うつ病の認知療法以外は保険診療が認められておらず、しかも習得するのに時間がかかるためか二の足を踏まれる先生が多く、なかなか普及につながりません。臨床心理士の国家資格化とチーム医療の促進が急務でしょう。

クリニックの特色として他にどんなことが挙げられるでしょか。

飯森洋史院長 飯森クリニック4

最大の特徴は先ほども申し上げたとおり、西洋医学と東洋医学をミックスした治療を行っているところです。西洋医学で対応しきれない部分を、漢方などの東洋医学で補完しています。例えば、抑うつ感や意欲低下等の症状は西洋薬を用いた方がはるかに効果を期待できます。しかし、冷え症やほてり等の症状を改善する薬は西洋薬にはありません。西洋薬と漢方薬とではそもそも考え方が全く異なります。西洋薬はセロトニン不足によって不安症状が出現していると演繹的に考え、セロトニン再取り込阻害薬を投与します。漢方薬は何億何兆の人に投与した経験を集約した、漢方のものさしを使って帰納的に処方を考えます。内科的、精神科的処方に漢方を併用することは、患者さんのQOLを高める上でとても大切な方法と考えています。こうしてお互いを補完しながら体全体を良くしていくというのが当院のコンセプトです。

相手に良い影響を与えるため、自分自身を向上させていく

診察の際、心がけていることはありますか?

飯森洋史院長 飯森クリニック5

心療内科の診察で最も大切なのは、人と人とのつながりです。そのため私は、患者さんとできるだけ多くの会話を交わすようにしています。話題は何でもいいのです。雑談や笑い話でも全然かまいません。ひとしきり話すと、たいていの人は心が落ち着きます。その際、受容的で共感的な姿勢がとても大切になります。治療的自己という言葉がありますが、医師は患者さんにとって、その存在自体が薬となるように努力しなければなりません。最初だけでなく、十分に回復してもうその必要がないと思われるのに毎週来たがる患者さんもいて、「次は2週間後」なんて言うと悲しそうな顔をされる場合があります。患者さんにとって、毎週決まった曜日に話す時間があるというだけで、とても安心できるものなのです。患者さんの話を傾聴することは大事なことですが、患者さんに迎合せず専門家としての意見をしっかりと伝えることもとても大切です。

日々の診察でやりがいを感じるのはどんなときですか?

「こんなに良くなるとは思わなかった。早くここに来ればよかった」と患者さんに言ってもらえたときです。感謝の言葉をもらうだけでこちらもうれしく、おかげで毎日癒されています。相手に良くしてあげることで喜ばれて、自分も幸せな気持ちになれる。こういう幸福な循環を作るにはどうしたらいいか常日頃から考えています。

今後の展望についてお聞かせください。

飯森洋史院長 飯森クリニック6

治療的自己という言葉で説明しましたが、心療内科の医師は常に自分を高めていかなければならないと言われています。自分自身を向上させなければ相手に良い影響を与えることなどできません。そのために勉強会や研修には分野を問わず、今でも頻繁に参加していますし、今後もそれは変わらず続けていきます。自分にできることが増えれば、その分患者さんにお返しできますから。診察に関しては診療科に制限を設けず、新しい技術や薬を取り入れながら自分で対応できることはどんどんやっていっています。どの分野でも、今までどこに行っても改善されなかったという方、全人的に治療を考えると改善する場合がありますので、どうかあきらめずに当院まで足を運んでみてください。

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