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中村 裕 院長の独自取材記事

中村眼科

(葛飾区/新小岩駅)

最終更新日:2022/01/18

中村裕院長 中村眼科 main

新小岩駅から徒歩5分の場所にある「中村眼科」。院長の中村裕先生は眼科医として40年近いキャリアを持ち、慶應義塾大学病院では、臨床および研究に従事し、専任講師として医学部生や若手医師の教育を担当した。眼科領域の腫瘍のほか、交通事故による外傷、スポーツ外傷、さらには白内障や斜視など多くの手術を行ってきた。そのため、遠方からも難症例で悩む患者が訪れていたという。「私がここで断ったら、この患者さんはもっと遠方の医師のもとへ行かなければならない」と、常に医師としての責務を感じながら診療にあたってきた。そのエキスパートとしての自負と、町の開業医としての気構えを持ち合わせた中村院長に、これまでの経歴や診療時の心がけについて聞いた。

(取材日2021年10月19日)

大学病院で培った経験をクリニックで生かす

先生が眼科医をめざしたきっかけは何ですか?

中村裕院長 中村眼科1

両親が産婦人科の開業医であったことから、私も自然と医師の道をめざすようになりました。4つ年上の兄が同じ慶應義塾大学医学部を卒業後、先に両親の後を継いで産婦人科を選択。ならば、兄と違う道を志そうと思い、興味を持ったのが眼科でした。視覚は、あらゆる感覚の中で情報量が圧倒的に多い。さらに視力が落ちて生活する上でとても不便に感じていた方が、治療を通して劇的に状況を変えられる可能性があること、まさに目の前の世界が開かれることへの希望を想像した時、なんて魅力的な診療科なのだろうかと思ったのです。実は私の息子も現在医学部で学んでおり、将来は当院を継ぎたいとの話も出ているんですよ。

こちらを開業した後に、同時に母校の専任講師もされていたそうですね。

当院の院長として地域の患者さんを診る傍ら、出身大学の慶應義塾大学では、専任講師として、慶應義塾大学の医学部生の教育と大学病院で患者さんの診療、手術にあたる若手医師の教育を担当していました。10年以上、かけもちしていたでしょうか。手術、臨床および研究と発表、論文執筆、後輩医師の指導等に明け暮れました。

大学病院では、眼科領域の腫瘍について専門家としての研鑽を積んだと伺いました。

中村裕院長 中村眼科2

手術をした上に病理も診られるいわば腫瘍医をめざしました。欧米では手術を担う医師が病理検体を診断するケースが散見されますが、当時、国内ではほぼありませんでした。画像検査で診断し、手術し、病理診断するという3つを同一人物が行う画期的な取り組みでした。教科書の執筆、眼科雑誌への寄稿も多数あり、現在でも転載許可の要望があります。全国各地に眼科腫瘍の専門家がいますが、当時は各地域に1人といったところでしょう。その中で関東中から患者さんが私のもとに来てくださいました。そうした方に対して「できません」とは決して言えません。というのも私が断れば、その方はさらに遠方の先生のところまで行くしかないわけですから。世界中で症例がほぼない手術を私が担当することもありました。しかし、いかにまれな症例であっても、患者さんにとっては一対しかない自分の目。プレッシャーをモチベーションに変えながら、真剣勝負で挑んできました。

そんなハードな臨床経験の中で学んだことは何でしょう?

患者さんとの人間関係がとても大切だということ。特に大きな手術になるほど、患者さんと価値観や危機感を共有しないと医療が成立しないということです。医療への向き合い方は患者さんによってそれぞれです。病態も十人十色で患者さんに応じた説明をする必要があるのです。大学の講義や手術、診療の場でも同じこと。後輩の医師に手術について理路整然と教えるためには、自分自身が各症例でどう対処しているか冷静に判断し説明する必要がありました。このような経験も、現在の治療の糧になっています。人間関係で思い出すのはもう一つ。20年ほど前に大学を辞める際、他科の先生たちに「君の抜けた穴はどうするんだ」と声をかけてもらえたのはうれしかったです。眼科領域の腫瘍や外傷の手術といっても、脳神経外科・耳鼻科・形成外科など複数の領域にまたがって行うチーム医療ですから、文字どおり同じ釜の飯を食ってきた仲間との信頼関係は今も忘れられません。

患者目線を大切にして取り組む「なぜ」がわかる診療

診療時の心がけを教えてください。

中村裕院長 中村眼科3

「なぜ」がわかる診療を心がけています。患者さんはご自身の症状を理解し、納得してお帰りになりたいのです。ですから私も、どのような症状で、どのように治療するのかを必ず説明します。薬に関しても同様です。なぜその薬が必要で、何に対して作用するものなのか。あらゆる場所で情報が手に入る現代ですが、簡単に手に入る情報と、きちんと医師に向き合って説明されることとの違いを感じていただけるとうれしいです。患者さんに向き合いながら、共感を得るために、時間的制限のある中でいかに説明するかが大切で、それがプロとしての仕事だと思っています。

先生はなぜ白衣を着用されないのですか?

いくつか理由がありますが、その一つは子どもへのケアです。お子さんは白い洋服を着ているだけで警戒しますからね。でも、近所にいる私服の人がここに座っていたらどうでしょう。親御さんは普段のわが子の症状に悩んで来院されるわけですから、当院でも家にいるような雰囲気で過ごしてもらえるよう、雰囲気づくりに努めています。もちろん、清潔を必要とするとき、例えば手術時には手術着を着用しています。

町の医院として工夫している点はありますか?

中村裕院長 中村眼科4

誰もが通いやすいクリニックであるよう、診療時間など、患者さんのニーズに合わせています。当院には赤ちゃんからご高齢の方まで、幅広い年齢層の患者さんが来院されます。その中で、働き世代の方は昼間に受診したくても時間が取りにくいでしょうから、診療時間を夜8時までにしています。患者さんのニーズに時間枠でも応えることは、開業医としての義務だと思っています。時間という意味では白内障の日帰り手術もそうですね。最近は医療機器や眼内レンズの素材も進化し、日帰りでの手術が当たり前のようにできる時代になりました。当院は慶應義塾大学病院の医療連携協力機関となっています。必要に応じて、同病院の他、近隣の大学病院、基幹病院等と連携をとりながら治療を行います。

「ここに来て良かった」と思ってもらいたい

これまでに、印象に残っている患者さんとのエピソードはありますか?

中村裕院長 中村眼科5

90歳近い男性の患者さんの話なのですが、その方は足腰が悪く認知症も患っていました。最初に来院されたとき息子さんに「父は目の前にある食事が、ごはんなのか味噌汁なのかわからないのです」と言われたほどです。息子さんによると、他の病院では手術を断られたとのこと。「もう先生しか頼む方がいないんです」という言葉で手術を決めました。術後に診察にいらっしゃると、私の顔を覚えてくださっていて、にこにこしながら「ありがとう」と言ってくれていました。こうした患者さんからの言葉が私のモチベーションにつながるのです。患者さんに「ここに来て良かった」と思っていただける診療をしていかなければいけないと、気持ちも引き締まります。

先生が考える「医院選びのポイント」を教えてください。

きちんと説明してくれる医院を選んでください。なぜこの薬を使うのか、どのような経過をたどってどのくらいの期間で治るのか。患者さんは不安です。医師は患者さんの症状と検査結果を診ながら「治療の設計図」を立てています。どのような病気でもすぐに治ればいいのですが、必ずしもそうはいきません。その場合にも長期的な視野で設計図を描き、それを患者さんにわかりやすく説明することが大切です。今日の流れとしては、医師が治療を押しつけるのではなく、患者さんが納得して治療を受ける時代です。

読者にメッセージをお願いします。

中村裕院長 中村眼科6

角膜炎や結膜炎といった日常の目のトラブルから、眼鏡やコンタクトレンズのご相談、白内障や斜視の手術まで、幅広く対応しています。院内には手術室があり、急な外傷には、即日対応いたします。また、緑内障・網膜疾患のレーザー治療も随時行っています。他院・他科を受診された後のセカンドオピニオンのご相談も増えています。網膜の断面を見るOCTも備えていますので、緑内障や糖尿病網膜症の心配がある方もお気軽にチェックにいらしてください。「ここに来て良かった」と思っていただけるよう、これまでの知識と経験を生かして診療にあたります。もちろん、セカンドオピニオンを得るための受診だけでも大歓迎です。

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