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古市 彰吾 院長の独自取材記事

古市歯科医院

(千代田区/溜池山王駅)

最終更新日:2021/10/12

古市彰吾院長 古市歯科医院 main

東京メトロ溜池山王駅7番出口直結の山王パークタワー25階にある「古市歯科医院」は、2001年の開業以来、一貫して予防歯科に注力してきた。古市彰吾院長は、「歯科医院は治療をしないために通う場所」というコンセプトのもとに歯科衛生士と協力して診療を続け、今では1日の診療のうち治療を行う機会は5分の1にまで減ったという。診療台6台のうち4台をメンテナンス専用として活用し、キャリア10年以上の歯科衛生士たちが患者の状態に応じた効率的な虫歯・歯周病の予防方法を伝える。歯の病気を予防するためには噛み合わせの調整も重要として、同院では古市院長自らがマウスピース型装置を用いた矯正を行う。「患者さんの大切な歯を守りたい」と話す古市院長に、診療への思いや取り組みについて聞いた。

(取材日2018年12月6日)

予防歯科への思いが高まり、開業へ

予防歯科に力を入れているそうですが、何か関心を持つきっかけがあったのでしょうか?

古市彰吾院長 古市歯科医院1

23年前、予防歯科のパイオニア的存在である「日吉歯科診療所」の熊谷崇先生のお話を伺ったことがきっかけです。当時の私が学んでいた技術は、虫歯を削ったり詰めたりする対症療法でした。虫歯を一度削ると再生することはなく、1本の歯に対する治療回数が5回を超えると歯を抜かざるを得ないことが多いため、治療を繰り返す歯科医療の状況に以前から疑問を感じていたのです。そんな時に熊谷先生の取り組みや思い、そして予防歯科を通した具体的な診療結果を聞くことで、自身の方向性を改めて革新することとなりました。真に患者さんのためになるのはこれだと思い、予防歯科に注力する歯科医院を2001年に立ち上げました。

オフィスビルの中だけに、やはり会社員の患者さんが多いのでしょうか?

そうですね。こちらのビルには多くのビジネスパーソンが訪れますので、患者さんは20代から50代の会社員の方が中心です。患者さんが結婚してパートナーやお子さんを連れて来てくれることもあります。会社が近くにあったとしても、お子さんを連れて来るときは離れたご自宅から通うことが多いわけですから、うれしいことです。予防歯科に本気で取り組んでいる歯科医院が少ないためか、開業してから徐々に当院の特徴をお知りになって「歯を守りたい」と受診する方々も増えてきました。開業から20年近くたった今では健康な方が増え、1日の診療のうち何らかの治療を行う機会は全体の5分の1にまで減りました。

虫歯や歯周病を防ぐためには何が重要なのですか?

古市彰吾院長 古市歯科医院2

細菌による炎症と歯にかかる負担をコントロールすることです。虫歯菌や歯周病菌が炎症を起こさない程度の量を保ち、一定の歯に負担がかかりすぎないバランスの良い噛み合わせをつくることで、ある程度の予防ができると私は考えています。そしてそれは、全身疾患の予防にもつながります。そのためには、歯科医院での定期的なメンテナンスが必要になるわけですが、患者さんによって口の中の状況は違い、また年齢や生活習慣によっても発症リスクは変わります。ですから、一人ひとりに合った予防計画をつくることが重要です。

予防をする上で、ほかに工夫していることはありますか?

当院では、歯周病の進行度や虫歯の発症リスク、唾液の質、歯垢のつき具合などをデータで示し、なるべく見える形でお伝えするようにしています。ちなみに、こうしたデータはクラウドサービスを使って患者さん自身がいつでも確認できるようにしており、ご自身のお口の中に対する関心や理解を深めることに役立っています。おかげで、例えば患者さんが長期出張中に口の中にトラブルが起きても、このデータがあれば、出張先で受診したクリニックとの情報共有がスムーズにいきますし、過剰に治療がなされることもありません。

予防歯科の軸は歯科衛生士。歯科医師はプロデューサー

貴院ではどんな体制で予防歯科に取り組んでいますか?

古市彰吾院長 古市歯科医院3

当院では患者さんの増加に伴い、一昨年に診療台を5台から6台に増やしました。現在はそのうち4台をメンテナンス専用にしています。「歯医者」というとどうしても私たち歯科医師が注目されますが、予防歯科を行う上で重要なのは、患者さんにセルフケアの方法を伝えたり、バイオフィルムの除去をしたりする歯科衛生士です。当院には5人が在籍していて、1人は新人ですが、3人は10年以上のキャリアを持つベテラン。彼女たちのおかげで当院の理想像はかなえられつつあります。私も治療する歯科医師というよりは、患者さんが長く健康でいられるよう提案をするプロデューサーというスタンスです。

歯科衛生士の指導にも力を入れているのでしょうか?

ええ。はっきり言うと、学校を出たての歯科衛生士は何もできません。1人前になるためには7、8年の期間が必要だと考えていますから、当院ではじっくりと指導するようにしています。具体的には3年間をアシスタントとしての研修期間と位置づけて、当院での診療の流れを覚えてもらうとともに、口腔内写真やエックス線写真の撮り方、唾液検査の行い方、虫歯リスクの判定とその内容に応じたメンテナンス方法の習得、患者さんの状態を踏まえた治療介入の必要性の見極め、患者さんへのマナーや説明などを実践を通して学んでもらうわけです。スタッフを雇用するというのは、その人の人生に関わること。経営者として、その人の人生がより豊かになるためにはどうすればいいかを考えて、彼女たちに接するようにしています。

矯正も先生自ら行っているそうですね。

古市彰吾院長 古市歯科医院4

3年ほど前にマウスピース型装置を用いた矯正を始めました。虫歯と歯周病を防ぐためには歯並びの調整も大切ですから、当院のコンセプトを実現する上で矯正は必須の分野なのです。マウスピース型装置を使った矯正を行うようになって100人以上の方を診てまいりましたが、適応範囲が広く、ワイヤー矯正の半分ほどの期間で終えることができ、奥歯も動かせますから抜歯も少なくて済みます。また、矯正専門の歯科医院だと矯正以外の治療は他院で行う必要がありますが、当院では院内で完結できますから、通院の手間が省けて便利かと思います。結果的にトータルコストで考えても、あちこちで治療を受けるより費用を抑えることにもつながります。

歯を削らなくて済む患者をさらに増やしたい

予防歯科に注力することは簡単ではないとも聞きます。なぜ徹底できたのでしょうか?

古市彰吾院長 古市歯科医院5

確かに、治療に保険が適用される、対症療法に重きを置いた日本の制度だと、予防の普及は簡単ではありません。患者さんとしても「虫歯になったら歯科医院へ行く」という意識をお持ちの方が多いですから、開業当初は苦労もしました。当院のスタイルに戸惑う患者さんもいましたね。ですが、だからといって諦めて生きていたくはないんです。自分に納得して死にたい。例えば死期が迫っているときに病院にいたとして、天井を見ながら過去を振り返って「自分なりにそこそこ人の役に立てたんじゃないか。喜んでくれた人がいたんじゃないか」と、そんなふうに思いたいんですね。そうした最期を迎えるためにも、患者さんの健康のために最も良いことをしたいと考えているんです。

休日はどんなふうに過ごされていますか?

3人の子どもの成長を見守るのが楽しいですね。みんなスポーツに打ち込んでいる、あるいは打ち込んでいました。上の2人は手がかからなくなりましたから、今はもっぱら下の子をサポートしています。子どもたちは過去に野球やバスケットボール、水泳、フラッグフットボールをしていて、下の子は今、テニスとゴルフをしています。上をめざすかどうかは本人次第ですが、親としてはたくさんの機会や可能性を与えてあげたいと思っています。私も毎朝ジムで1km泳いでからクリニックに来ています。おいしいものを食べたりお酒を飲んだりするのが好きで健康のために行っていますが、年を取ると運動していてもなかなか痩せなくて(笑)。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

古市彰吾院長 古市歯科医院6

予防のため、「定期検診に行こう」とは歯科医院側がよく言うことですが、検診を機に削ったり詰めたりするのは真の意味での予防ではありません。本来、定期的なメンテナンスを通じて健康な状態を維持できていれば、99%問題は起こらないはずなんです。ですから、悪いところを探すために行う定期検診ではなく、悪くならないようにケアをする予防メンテナンスを、皆さんには受けていただきたいですね。歯は一度削ると元に戻りませんから、当院は「治療をしないために通う場所」として、削らなくて済む患者さんをさらに増やしていきたいと考えています。

自由診療費用の目安

自由診療とは

PMTC治療/1万5000円、マウスピース型装置を用いた矯正/90万円~、唾液検査/3500円、インプラント(1本)/40万円~

※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

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