歯を長く維持するための治療
90代で20本以上残すことをめざす
和久本歯科医院
(文京区/本郷三丁目駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
1927年から長きにわたって地域に暮らす人々の口腔環境を見守ってきている「和久本歯科医院」。4代目の院長を務める和久本雅彦先生が最も重視していることが、できる限り長く自分の歯を残すためにはどうすれば良いかという点。治療の際は、すぐに削ったりせず経過観察を行うことも多いそうだ。「歯は一生ものです。自分の歯を健康な状態で維持することが、命に関わる疾患の予防にもつながります」と話す和久本院長。実際、院長のもとには、90代で20本以上もの歯が残っている患者も訪れているそうだ。最近では、東南アジア諸国の歯科医療の向上をめざして尽力しているという和久本院長に歯科医療の理念や治療方針などについて改めて話してもらった。
(取材日2019年5月21日)
目次
4世代にわたって連綿と続く診療理念
- Qこちらの基本的な診療方針を教えてください。
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A
できる限り自分の歯を残すための治療を行っています。虫歯でもすぐに削ったりせず、病巣が小さい場合は経過観察にして治療を行わない場合も多くあります。歯は、削ったり人工物を詰めたりすれば、そこから弱くなり、後々トラブルが起こることもあります。もしも補綴治療が必要になった場合には、当院では保険診療の金属は使用していません。それらは経年によってトラブルが生じ、再治療になりやすいというデータもあります。歯は一生ものです。できる限り自分の歯を残すことで、体全体の健康維持もめざせます。先日も、90代のご夫婦でともに20本以上ご自身の歯が残っている方が来られました。まさに8020運動の見本のような方ですね。
- Qなぜそのような診療理念を持つようになられたのですか。
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A
一生自分の歯を維持するための治療、そのコンセプトは曾祖父が開業した当初から世代を超えて続いています。父は大学で補綴に使う素材の研究開発に従事していましたし、祖父は補綴が専門でしたが、なるべく補綴治療をしなくて済むような治療を行っていました。祖母も歯科医師だったのですが、当時、アメリカから樹脂を輸入して治療に活用していました。今でこそコンポジットレジンなどの使用が当たり前になっていますが、早い時期から着目していたんですね。私たちはどういう素材が最も適しているか、どんな治療が最も適切かを常に考えて治療してきています。逆にどんな治療をするとトラブルが起きやすいか、悪い例も数多く診てきています。
- Q実際の診療ではその理念をどのように生かしておられますか。
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A
まず検査をしっかりと行い、その検査結果や歯の現状を視覚的にわかりやすくお話ししています。話にはかなり時間を取っています。治療している時間より話をしている時間のほうが長いのではないでしょうか。患者さんに対してじっくりお話するという姿勢も4代続いてのことです。ご自身の歯を守るための食事や生活習慣の改善指導についてお話しすることも多いですね。子どもの頃から正しい口腔ケアを身につけることも大切です。私は保育園の嘱託歯科医もしていますので、検診時の指導や3歳から5歳の幼児たちに向けた歯磨き指導なども行っています。親御さんの歯科への意識が高いと、お子さんたちの口腔環境もよく整っている傾向にあるようですね。
- Qところで法人化する予定があると伺いましたが。
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A
グループ化したほうが、今後、より幅広い活動ができるのではないかと考え、法人化を予定しています。当院に勉強に来る歯科医師や当院と同じ理念のもと診療をしているクリニックの先生方とのネットワークの強化という意味も含んでいます。例えば、当院を受診していた患者さんが転勤でどこか地方に移られた時に、当院と同じ考え方で診療しているクリニックがあれば安心して紹介できます。歯科医師や歯科衛生士に対する講習会や勉強会なども幅広く開催していきたいと考えています。法人化に合わせて当院も歯科医師の増員とユニットの増設を予定していますので、より多くの患者さんをより手厚く診療できるようになると思います。
- Q今後の展望についてお願いいたします。
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A
当院と同じ診療理念を共有できる歯科医院をさらに増やしていきたいと考えています。法人化によるネットワークを生かして歯科医師や歯科衛生士たちの勉強会を積極的に開いていこうと考えています。また、海外に対してはASEAN加盟国の歯科医療の向上をめざす「ASEAN歯科医療ネットワーク」という一般社団法人を立ち上げ理事長を務めています。ベトナムやカンボジアなどから歯科医師を招いて日本で指導を行ったり、日本の歯科医療者を現地に派遣して講義などを行ったりなどの活動に力を入れていきたいですね。今、東南アジアでは虫歯が増えているともいわれているので、歯を残すための治療や予防歯科について指導していきたいですね。
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。