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飯田 圭 院長の独自取材記事

ふじみ野心臓リハビリテーションクリニック

(ふじみ野市/ふじみ野駅)

最終更新日:2024/05/14

飯田圭院長 ふじみ野心臓リハビリテーションクリニック main

東武東上線ふじみ野駅から徒歩約12分のところにある「ふじみ野心臓リハビリテーションクリニック」は、2024年に開院したばかりの新しいクリニック。院長の飯田圭(いいだ・きよし)先生は、国立循環器病研究センターなどで経験を積んだスペシャリストで、米国ロサンゼルスへの留学経験もあり、日本大学医学部内科学系循環器内科学分野准教授も務めている。心臓病に苦しむ患者と向き合ううちに、心臓病に対するリハビリの重要さを実感し、本院である「飯田医院」の隣に心臓リハビリ専門の同クリニックをオープンした。日本循環器学会循環器専門医の資格を持ち、心臓リハビリについても専門的な知識を有する飯田院長に、クリニックへの思いや心臓リハビリについて話を聞いた。

(取材日2024年4月18日)

感染症の流行を契機に地元に戻り、地域医療をスタート

クリニック開院までの経緯や思いを聞かせてください。

飯田圭院長 ふじみ野心臓リハビリテーションクリニック1

大学病院で働いていた頃から循環器内科を専門にしていました。そこで患者さんが心不全で動けなくなっていく様子や症状に苦しむ姿を多く見てきましたし、そんな方々が心臓リハビリで症状の改善や生活の質の向上をめざす姿を目の当たりにしてきたんです。新型コロナウイルス感染症の流行時に、本院の飯田医院で診療するようになり、おのずと心臓病の患者さんが増えていくと、そこには同じように活動性が落ちていく患者さんがたくさんいました。「リハビリができたらいいのに……」ともどかしく思ったのが開院のきっかけです。調べても、ここふじみ野市近辺には心臓リハビリを行える施設が少なく、「だったら自分がつくろう」と思いました。

医師をめざしたきっかけや循環器内科を専門とした理由を教えてください。

父が医師だったので、医師という選択肢はいつも頭の片隅にありましたが、そこまで強い思いはありませんでした。病気らしい病気をしたことがなく病院に縁のない生活で「医療」の何たるかもわかっていなかったのだと思います。しかし、高校2年生の時に髄膜炎になって変わりました。今までできていたことが突然できなくなり、医療の力で徐々に回復をめざすという経験をして、医師の頼もしさを肌で感じました。医師になろうと思ったのはこの件がきっかけです。循環器内科を選んだのは、速いテンポで判断し、治療していくのが私の性格に合っていたということと、患者さんにしっかり説明する診療科だったからです。私が医学部にいた頃はまだインフォームドコンセントの概念が根づいておらず、特にがん治療においては、当時は患者さんに真実を告げずに治療が進んでいくこともありました。患者さんに正直に向き合える診療科というのも、循環器内科を選んだ理由です。

「心臓リハビリ」といっても、まだピンとこない患者さんも多いのではないですか?

飯田圭院長 ふじみ野心臓リハビリテーションクリニック2

そのとおりですね。「心臓が悪いのに運動していいの?」と心配される患者さんも多いですし、「元気だから必要ないよ」と言う患者さんもいます。心臓病は、初期〜中期だと症状を感じないケースがほとんどなので、必要性が伝わりにくいんですよね。しかし心臓リハビリは、薬物を用いることなく症状の改善が図れる、とても有用な治療法です。その有用性については、世界中の研究データが示しています。「リハビリ=運動」というイメージが大きいかもしれませんが、当クリニックでは、運動だけでなく生活習慣や食事の指導、疑問や不安に対する相談など、さまざまな観点からサポートしていきますので「運動はあまりやりたくない」という方も安心して相談に来てください。例えば、週に1回ここに来て、専門スタッフとじっくり話をするというだけでも意味があると思います。

楽しみながらリハビリに取り組めるような工夫も

どんな患者さんと、どんなことをしているのですか?

飯田圭院長 ふじみ野心臓リハビリテーションクリニック3

患者さんは50代から最高齢だと93歳までいらっしゃいますね。平均年齢は70代くらいです。看護面談で現在の状態や生活習慣を聞き、それぞれに合った目標を決めて取り組んでもらっています。運動の目標だけでなく、食生活や「薬をきちんと飲む」とか「毎朝血圧を測る」なんて目標でもいいんです。総合的なサポートができるよう、スタッフの教育も欠かしません。例えば、運動面と栄養面両方のサポートができるように、それらの専門的な勉強をしてもらっています。患者さん自身が前向きに取り組めるよう、モチベーションを維持するための工夫に力を注いでいます。

例えば、どのような工夫をしているのですか?

固定した自転車を漕いでもらうエルゴメーターという機械の正面にはテレビモニターが設置してあるのですが、このモニターに、スタッフが作成した動画を流しているんです。「心臓病のある患者さんのお風呂の入り方」とか「旅行に行った時の注意点」などのちょっとしたお役立ち情報の動画が50個くらいありますので、その日ごとに患者さんに「今日はどれを見ましょうか?」と聞いて選んでもらうなど、気持ち良く楽しく続けてもらえるように考えています。

面白いですね。ところで、先生はお休みの日はどのようにお過ごしですか?

飯田圭院長 ふじみ野心臓リハビリテーションクリニック4

最近はあまりお休みがないのですが、休みの日は家で過ごすことが多いですね。子どもにせがまれてトイ・プードルを飼ったのですが、平日はあまり世話ができず妻に任せっきりなので、休みの日は私が担当しています。その分妻にはゆっくりしてもらって……というと聞こえが良いですが、実際は私自身が一番癒やされている感じですね(笑)。ゴルフが好きなので、まとまった休みが取れたらコースを回りたいですね。目標はスコア80台です。

楽しみながらリハビリし、地域の人々の健康をサポート

心臓リハビリに関わってきて、印象的なエピソードがあれば教えてください。

飯田圭院長 ふじみ野心臓リハビリテーションクリニック5

以前、バリバリ働いていた50代後半の男性が急性心筋梗塞で搬送されてきたことがありました。初期治療にうまく対応できたので私は満足していたのですが、それで終わりではなかったんです。第一線で働いてきた方だからこそ、退院後に不安が強くなり、精神的に不安定になってしまったんです。無気力になってしまったその患者さんは半年後、心不全になって再び来院されました。その時はしっかり心臓リハビリをしてもらい、加えて運動療法や栄養指導、看護師のメンタルフォローなどを行うことで、生活・社会復帰のお手伝いをさせていただきました。「心身ともに回復を図るとはこういうことか」と実感し、リハビリなどの大切さを痛感した出来事でした。

今後の展望を教えてください。

ビジョンとしては、埼玉県を代表するような心臓リハビリクリニックになりたいですし、「心臓リハビリといえばふじみ野心臓リハビリテーションクリニック」と言ってもらえるようになりたいですね。そのためにはまず、「心臓リハビリというのはこういうものなんですよ」と啓発して、認知を広げたいと思っています。地域の皆さまの健康寿命を延ばすのが一番の目標ですが、ゆくゆくは通院が難しくなってしまった方のための訪問看護ステーションなども立ち上げて、「病気があっても元気に過ごし、住み慣れた地域で人生を終える」ことができるよう貢献していきたいですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。 

飯田圭院長 ふじみ野心臓リハビリテーションクリニック6

当クリニックは心臓リハビリ専門の施設ですが、現時点で心臓病の診断がついていなくても「息切れが気になる」とか「たまに動悸がするかも」など気になる症状があれば、まずは専門のクリニックにご相談ください。また、当院隣の飯田医院とは連携していますので、そちらから心臓リハビリの必要な患者さんの紹介を受けることが多いですね。それから、当院には糖尿病、高血圧症、脂質異常症といった生活習慣病の方のための「ふじみ野メディカルフィットネス」を併設しているので、健康寿命を延ばしたいと思っている方はご相談いただけたらと思います。リハビリに取り組むことで、どんどん前向きに、若々しくなっていってもらえたらうれしいですし、これまでできなかったことができるようになる。楽しみながらリハビリしていただき、地域の方々の健康寿命が少しでも延びれば、こんなにうれしいことはありません。

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