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竹藤 晃介 院長の独自取材記事

こまくさ在宅クリニック

(大東市/四条畷駅)

最終更新日:2024/05/20

竹藤晃介院長 こまくさ在宅クリニック main

四条畷駅から徒歩4分の場所にある「こまくさ在宅クリニック」は、訪問診療に特化したクリニックだ。院名の「こまくさ」は高山の厳しい環境で咲き、多くの登山者を魅了するコマクサという花に由来。「患者さんやそのご家族に、希望や安らぎを与える存在になりたい」という竹藤晃介(たけとう・こうすけ)院長の温かな思いが込められている。一人の患者を一人の医師が継続的に診療する「主治医制」を採用し、24時間365日切れ目なく対応できることが同院の強み。竹藤院長の豊富な経験を生かし、心臓病やがん、認知症の診療をはじめ、終末期の緩和ケアや看取りまで幅広くサポートする。「病気を抱える患者さんはとても繊細な状態ですので、常に丁寧に接するよう心がけています」と優しく語る竹藤院長に、在宅医療についての話を聞いた。

(取材日2024年4月19日)

人を魅了するコマクサのような、安らぎを与える存在に

まずは開業までの経緯をお聞かせください。

竹藤晃介院長 こまくさ在宅クリニック1

在宅医療に取り組む前は大阪大学医学部附属病院放射線治療科で、根治をめざす治療から緩和ケアまでさまざまなステージのがん治療に携わっていました。放射線治療は緩和ケアとの親和性も高く、治療を行う中で訪問診療に関わる機会もあったんです。ご自宅での服薬管理が難しい認知症の患者さんなどでも、訪問診療を行うことでサポートできます。在宅医療が縁の下の力持ちのような存在であることを知り、興味を抱きました。在宅医療は「最後は自宅で過ごしたい」という患者さんの願いをかなえる役割も担っています。2016年に守口市で在宅クリニックの立ち上げに関わり、そして2024年2月「自らの訪問診療に対する想いをさらに追求し、実践したい」と考え、当院を開業しました。

開業にあたってなぜこのエリアを選ばれたのですか?

守口市のクリニックに勤めていた頃から、訪問診療でこのエリアも回っていたためなじみがあったんです。この地域には訪問診療を行う施設が少なく、遠方の医療機関まで通われる患者さんも多くいらっしゃいました。「地域の方々の医療ニーズに応えたい」と思い、ここでの開業を決意したんです。前職からこのエリアでの訪問診療に携わっていたため、地域の訪問看護師さんやケアマネジャーさんとのつながりもできています。既にネットワークが構築されているので、多職種との意思疎通もスムーズ。サービスを迅速に導入したり、状況に合わせて柔軟に調整したりするなど、スピード感を持って医療・介護サービスを提供することができています。

「こまくさ」という院名の由来を教えていただけますか?

竹藤晃介院長 こまくさ在宅クリニック2

コマクサは高山の砂と小石で覆われた場所に凛と咲く花で、登山者にはよく知られています。厳しい環境のもと力強く咲いて、多くの人を魅了する美しい花。小さな花ですが、「コマクサを見たい」と多くの登山者を引き寄せています。ご自宅での看護や介護も、登山と同じように楽ばかりではありません。大変なこともたくさんあります。そうした中にあって、「患者さんやそのご家族に、在宅での看護や介護に踏み出すきっかけを与えるとともに、希望や安らぎを与える存在になりたい」という思いを込めて、「こまくさ」と名づけました。

切れ目のない診療体制で、きめ細かく丁寧にサポート

こちらのクリニックならではの特徴をお聞かせください。

竹藤晃介院長 こまくさ在宅クリニック3

一人の患者さんを一人の医師が担当する「主治医制」を採用していることや、24時間365日対応できる体制を整えていることが特徴ですね。毎回違う医師が訪問するとしたら、患者さんやご家族は不安を感じることもあると思うのです。当院は主治医制で毎回同じ医師が訪問するため、一貫した治療を行えるとともに、患者さんへのきめ細かなフォローにもつながります。また休日や夜間などに関わりなく患者さんの病状は変化しますので、24時間365日切れ目なく対応できる体制も整えています。今のところ、私と非常勤の医師で対応していますが、持続可能な診療体制を構築するためにも、今後医師を増員することや地域の先生方と連携することも視野に入れています。

重篤な患者さんを含め、幅広く対応されているそうですね。

訪問診療は通院が困難な方を対象としているため、診療範囲が幅広いのが特徴です。「通院できないので訪問診療を受けたい」「在宅で緩和ケアを受けたい」といった理由で、心臓病やがん、認知症をはじめ、さまざまな疾患の患者さんが利用されています。当院では末期がんや神経難病で重篤な状態にある患者さんに対する診療や、終末期の患者さんの緩和ケアや看取りにも対応しています。今後は在宅での輸血にも取り組みたいですね。血液のがんなどを患う方は輸血が必要ですが、在宅での輸血はハードルが高く、まだまだ実施している施設が少ないからです。また鎮静剤などを持続的に投与するシリンジポンプを使って苦痛の緩和を図り、患者さんが穏やかに過ごせるようにサポートする治療にも対応したいと思っています。

患者さんやご家族とのコミュニケーションも大切にされていると伺いました。

竹藤晃介院長 こまくさ在宅クリニック4

言葉によるもの・よらないものを問わず、コミュニケーションを大切にしています。病気を抱える患者さんはとても繊細な状態で、些細な言動で不安になることもあれば、逆に安心されることもあるからです。きめ細かな対応が大切ですので、常に丁寧に接するよう心がけていますね。私自身、学生時代に病気で入院して患者の立場を経験したことがあります。その時、周りは普通に生活しているのに、自分の時間は止まったままで、取り残されていくような不安を感じました。患者さんやご家族も、いろいろな不安を感じていらっしゃるのではないでしょうか。患者さんやご家族に安らぎを感じていただけるように接すること、それに尽きると思いますね。一緒に働く訪問看護師さんなどにもその大切さを伝えています。

さまざまな選択肢を示し、患者や家族の負担を軽減する

ご家族のサポートにも努めていらっしゃるようですね。

竹藤晃介院長 こまくさ在宅クリニック5

ご家族が追い詰められると、患者さんにも伝わってしまうものです。そのため、無理なく介護できるようご家族をお支えすることも大切だと思っています。特に看取りに関しては、不安を感じるご家族がほとんどでしょう。訪問看護師さんやケアマネジャーさんと連携して親身にご家族をお支えする中で、ご家族に在宅での看取りに対する自信が芽生えることもあります。介護に疲れたら、一時的に入院するレスパイト入院という選択肢もあり、連携する施設を紹介することも可能です。最終的に在宅から入院へと移行されたとしても、「やりきった」という達成感があればご家族にとっても意義があるのではないでしょうか。これまでの経験をもとに、患者さんやご家族の負担を軽減するさまざまな方法を提案しつつ、お支えしていきたいと考えています。

先生がやりがいを感じるのはどんな時ですか?

患者さんから「自宅で過ごせて良かった」と言ってもらえるような診療ができた時でしょうか。また、患者さんだけでなくご家族からも感謝していただけるような在宅医療が提供できるように、日々努力を重ねています。患者さんを看取られた後のご家族の人生はその後も続きます。ご家族のそれからの人生にプラスになるような看取りができれば、私自身のやりがいにもつながりますね。

クリニックの今後の展望をお聞かせください。

竹藤晃介院長 こまくさ在宅クリニック6

私と非常勤の医師で診療する現在の体制では、私に何かあったら患者さんにもご迷惑をおかけしてしまいます。今後は医師を増員し、安定的に診療を提供できる体制を整えていきたいですね。さまざまな経験を持つ医師が集まることで患者さんへより質の高い医療提供ができるようにディスカッションが行えますし、知識や知見も増え、診療の質も上がっていくと思います。また輸血やシリンジポンプを使った鎮静のための処置も含め、新たなことに積極的に取り組んでいき、在宅医療を求められる患者さんへ最適な医療を行っていきたいです。

最後に読者に向けたメッセージをお願いします。

訪問診療という選択肢があることをぜひ知っていただきたいですね。訪問診療に少しでも関心をお持ちであれば、お電話いただくか、ホームページの「お問い合わせフォーム」からご連絡ください。もしかかりつけ医をお持ちでしたら、受診の際に紹介状をご用意いただけると助かります。治療内容などがわかれば、スムーズに診療をスタートできるからです。当院は地域に欠かせない医療インフラとして、皆さんをお支えしていくことをめざしています。ご相談だけでも構いませんので、どうぞお気軽にご連絡ください。

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