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長崎 宏則 院長の独自取材記事

うえの台いたみと内科のクリニック

(東海市/太田川駅)

最終更新日:2023/12/18

長崎宏則院長 うえの台いたみと内科のクリニック main

2023年10月、上野台公園など緑に恵まれた東海市上野台に開業した「うえの台いたみと内科のクリニック」。優しい響きの院名と同様に温かみのあるれんが造りの建物は、閑静な住宅地の景色になじんでいる。院長の長崎宏則先生は、大同病院で麻酔科部長として主に外科手術を支えてきた一方、内科などのクリニックにも勤務し幅広い分野における知見を深めたという。同院では豊富な経験を生かし、内科と小児科のほか、腰や関節などの痛みやしびれなどに対し、薬物療法や神経ブロック治療を行うペインクリニック外科も診療内容に含めている。「患者さんと向き合って診療を行い、その人の人生を背負っていきたいと思い開業しました」と話す長崎院長に、これまでの歩みや開業に至った経緯、クリニックの特長、地域の人々への思いなどを聞いた。

(取材日2023年11月16日)

診療に至るまでの患者のストレスに配慮

総合病院に10年ほど勤務されたとのことですが、当時から開業をお考えだったのですか。

長崎宏則院長 うえの台いたみと内科のクリニック1

具体的に開業を考えるようになったのは2年前くらいです。以前勤務していた病院では多くを学ぶことができ、仲間にも恵まれ充実していました。ただ、患者さんとスタッフの間の「この症状はこの科が専門ではないから、別の科で再診を」といったやりとりをたびたび目にしていました。患者さんとしては、スムーズに治療にたどり着きたいですよね。それにやっと診察したところで、検査が必要なレベルの症状ではなかったというケースもよくあります。そのような患者さんの姿を見ているうちに、「患者さんに最短コースで診療を受けてもらい、高度な診療が必要なときは橋渡しをしたい」と考えるようになりました。私自身、それまで学んだことを集約する時期が来たと感じていたこともあって開業を決意しました。

患者さんの通院に配慮して、あえて住宅地を選んだのですね。

医療が高度化・専門化し情報があふれている今、特に都市部で専門性の高いクリニックが増えています。時代に逆行しているかもしれませんが、私は健康についてどんなことでも相談できる「よろず屋さん」をめざしているので、患者さんの徒歩圏内での開業を考えていました。上野台は、昔からの団地という歴史がありながら、新興住宅地でもあるので、代々暮らしている人たちはもちろん、他の土地から移り住む人たちも多いです。新陳代謝が活発なので、きっと皆さんと長くお付き合いできると思いました。地域の方々の生活が目に見える場所にあることで、親しみを感じていただけたら幸いです。

立地だけではなく、院名からも先生の強い思いを感じます。

長崎宏則院長 うえの台いたみと内科のクリニック2

地名に加えて、内科・小児科だけでなく、ペインクリニック外科のクリニックでもあることをどのように表現するか悩みました。膝や関節痛、神経痛などの診療を行うことをアピールするにも、「痛みのクリニック」としてしまうと「患者さんをトータルで診る、ご家族皆さんのかかりつけ医」というコンセプトとずれてしまいます。そこで、「いたみ」という漠然とした言葉を選び、内科であることも知っていただけるような院名にしました。痛いことはとてもつらいですから、地名も含め平仮名を使って、いたわる気持ちを表したつもりです。

麻酔科医師としてのキャリアを幅広い分野の治療に活用

医師、特に麻酔科医を志したきっかけについて聞かせてください。

長崎宏則院長 うえの台いたみと内科のクリニック3

家族が医師なので、子どもの頃から自然な流れで医師をめざすようになりました。当初は外科志望でしたが、研修医として麻酔科に入った際、手術前の患者さんに対し投薬などの準備を施し、滞りなく手術を終えた時に大きな達成感を得たのです。患者さんが問題なく手術を受けることができるよう試行錯誤した答えが、すぐに返ってくるところに惹かれました。そこで麻酔科医となりましたが、そのような価値観が当院の開業にもつながったのではないでしょうか。開業した今、患者さんの話を伺いながらニーズをくみとり、自分でこれが適切と判断した治療を行い、その結果がダイレクトに現れることに、大きなやりがいを感じています。

麻酔科医から開業されましたが、内科や小児科の診療を行おうと決めたのはなぜですか。

麻酔科の医師はスペシャリストのようなイメージがあると思いますが、実はゼネラリストです。解剖学や生理学、生化学など、あらゆる分野に精通していなければならず、かつ、臓器に関する知識も不可欠です。私もかつて、災害医療や栄養管理チーム回診などの専門外のことでもすべて経験し糧にしてきました。さらに、麻酔ばかりを突き詰めていたら患者さんのニーズのすべてには答えられないと考え内科などのクリニックにも勤務し、子どもの診療など麻酔科以外の実績を積んできました。総合病院の医師とは違う立場から患者さんを診て、コミュニケーションや診療に対する考え方が豊かになりました。幅広く学び経験を重ねたからこそ、もともとの専門であるペインクリニック外科にとどまらず、内科や小児科などの診療も可能になったのだと思います。

痛みに悩む患者さんとはどのように接していますか。

長崎宏則院長 うえの台いたみと内科のクリニック4

痛みというのはとても複雑で、「痛みの教科書」といったものはありません。腰痛一つとっても整形外科だけで緩和が期待できるとは限らず、内臓や骨格、神経など原因はさまざまです。当院であれば、内科とペインクリニック外科の両方の観点から患者さんを診ることができますので、本当に必要な痛みの治療が早期に判断できると思っています。痛みって、ゼロになることがゴールではないんですね。痛みが多少残っていながらも、患者さんがその人らしい生活を維持することが大事なので、治療後の人生も見据えた診療を心がけています。同じ症状でも、ブロック注射を1回打てば緩和が見込める患者さんもいれば、継続的な通院が必要な患者さんもいるので、治療方法の幅がとても広いです。ですから、患者さんとの信頼関係を築くことを重視しています。

本当に必要な診療を考え提供するクリニックでありたい

開院されて少したちましたが、患者さんの反応はいかがですか。

長崎宏則院長 うえの台いたみと内科のクリニック5

「今までの病院が遠かったので診てもらいたい」とか「飲んでいた薬をこのまま続けるべきか聞きたい」といった理由で来られる患者さんが多いですね。長年痛みに悩まされていると、遠くから来院される患者さんもいます。以前勤務していた病院では、自分のもとにある意味「たどり着いてきた」患者さんを診ていましたが、今は自分から患者さんに寄り添い話をする立場に変わりました。大きい病院に来られる患者さんと違い、どんな治療をしてもらいたいか見当がつかない状態で来院される方がほとんどです。そのギャップに開業当初は戸惑っていましたが、患者さんに対する思いがさらに強くなりました。限られた時間の中で、現状や今後の治療をいかにわかりやすく伝えるかを意識しています。

今後どのようなクリニックに成長させていきたいですか。

一番の目標は、健康についての相談における地域の受け皿になることです。院内のスタッフも患者さん第一で自ら動き、積極的に診療のサポートをしてくれています。また、患者さんに気持ち良く通院してもらうための取り組みも進めており、例えば、薬の処方については患者さんの手間や精神的負担を軽減できるよう努めています。複数の病院に通院するとどうしても薬の量が増えてしまいますよね。そこで当院では、今必要なものを精査して処方しています。医師とスタッフが一丸となって、総合力で地域の皆さんの健康をサポートしていきたいです。ゆくゆくは専門分野の異なる医師と協同で診療したり、同じ志を持つ医師をパートナーにして、他の土地で当院のようなクリニックを開業してもらうなどのビジョンも描いています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

長崎宏則院長 うえの台いたみと内科のクリニック6

麻酔科医時代は患者さんと特定のタイミングだけ接していたので、面と向かって感謝の気持ちを伝えてもらう機会がありませんでした。当院で「来てよかった」などと言っていただいたときは、本当にうれしいですし、モチベーションにもなっています。治療が十分か、物足りないか、それとも過剰かは、患者さんで受け止め方が違うので、丁寧にお話を伺った上で、当院に何ができるのかを親身になって考えてまいります。院名に「いたみ」とあるので専門性が高いと思われるかもしれませんが、「風邪をひいたかな」といった理由で来てくださって構いません。子どもから大人まで家族ぐるみで、ちょっとしたことでもぜひ気軽に相談に来てほしいですね。

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