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岩本 彰太郎 院長の独自取材記事

みえキッズ&ファミリーホームケアクリニック

(津市/高茶屋駅)

最終更新日:2023/10/02

岩本彰太郎院長 みえキッズ&ファミリーホームケアクリニック main

JR紀勢本線・高茶屋駅から車で約5分。「みえキッズ&ファミリーホームケアクリニック」は、住宅が多く立ち並ぶ津市高茶屋小森町にある。2023年に岩本彰太郎院長が開業した同院は、午前中は外来診療、午後は医療的ケアが必要な障害児や障害者の居宅を中心に訪問診療を行っているのが特徴だ。岩本院長は、日本小児科学会小児科専門医と日本血液学会血液専門医の資格を有し、障害児の通う学校でも看護師に医療的ケアの指導を行っていたこともある豊富な知見を持つドクター。訪問薬局とも連携し、障害児や障害者のいる家庭の医療的な負担を軽くすることを目標にしている。「つなぐ・支える医療を提供したい」と穏やかな笑顔で語る岩本院長に、クリニックの強みや可能なケアについて幅広く聞いた。

(取材日2023年9月8日)

午前は外来、午後は障害児や小児がんの患者のもとへ

医師をめざしたきっかけと開業までのご経験をお聞かせください。

岩本彰太郎院長 みえキッズ&ファミリーホームケアクリニック1

幼い頃に小児喘息があって、しょっちゅう吸入をするために地域のクリニックへ行っていたのが、医療に興味を持ったきっかけです。教師になるか、医師になるか迷いましたが、高校の進路を決める頃には医療への興味が徐々に大きくなっていました。子どもに関わる仕事がしたかったので、医師になったら小児科に進もうと決めていましたね。最初は子どものスポーツ医学に興味を持ったのですが、小児科の道を進みました。その後、鹿児島市立病院で初めて小児がんの患者と出会い、子どもががんで亡くなることに大きなショックを受け、放っておけないと感じました。私の母校である三重大学医学部附属病院が小児がんの専門病院なので、臨床をするために三重に戻り、三重大学医学部附属病院小児・AYAがんトータルケアセンターの立ち上げにも携わりました。

小児がんの患者との出会いは、先生にとって大きなものだったのですね。

がんで亡くなる子どもを見たときは、自分は無力だと感じましたね。小児がんの研究にも携わらせてもらい、今は治癒もめざせる病気になりましたが、15年前は小児がんの方が在宅で療養できるケースはほとんどと言っていいほどありませんでした。しかし今は在宅療養できるケースもだんだんと増えつつあり、開業してそこに一役を担いたいと思っています。今なら、病院でも自宅でも、患者さんの好きな場所で療養が行え、終末期を過ごすことも可能です。当院は病院と連携しながら、小児がん患者の在宅療養の受け皿になりたいと思っています。

具体的にどんなクリニックをめざしていきたいですか?

岩本彰太郎院長 みえキッズ&ファミリーホームケアクリニック2

重症心身障害児・重症心身障害者の方の訪問診療をしたいと思って開業したので、できるだけ受け入れていきたいです。すべてのご家族が訪問診療を必要としているわけではありませんが、医療的負担が大きい場合に頼れる場所になりたいと考えています。津市や松阪市で障害があって訪問診療を考えている方がいたら、ぜひ利用してほしいです。しかし、訪問診療専門のクリニックではないので、午前中は一般的な総合診療で幅広く診ています。地域のかかりつけ医として小児を中心に大人も高齢者も来院してほしいですね。小児特有の病気をはじめ、子どもの成長・発達、栄養状態についても診させていただきます。成人の方につきましては、発熱、頭痛、倦怠感など一般的な内科系疾患に加え、慢性疾患についても診療いたします。慢性疾患に関しましては、既に地域基幹病院にかかられている場合は、病院の担当医とも連携しますので、お気軽にご相談ください。

障害児の家族の医療的な負担を減らすことを重視する

患者さんやそのご家族と接するときに大切にしていることはありますか?

岩本彰太郎院長 みえキッズ&ファミリーホームケアクリニック3

患者さんやご家族が「来て良かったな」「頼んで良かったな」と思う、支える医療を提供したいです。障害児や障害者が楽しく健康的に過ごせるように、裏方に徹したいと思っています。医療がメインの状態は、患者さんが苦しんでいるということになるので、支えるくらいの状況がちょうど良いと思っています。当院の看護師は2人とも、障害児のケアに長年携わり、ご家族のケアもすごく重視しています。看護師たちは、私にはない視点で見てくれるので、チーム医療を提供できていると感じますね。あとは、患者さんはお子さんが多く、中には0歳児もいるので、予測されることをあらかじめ伝えておくことを大切にしています。聞いていないことが急に起こると、親御さんも動揺してしまいますからね。

クリニックの強みはどんなところでしょうか?

医療的なケアが必要な子どもを訪問診療で診られるクリニックは少ないので、午後をすべて訪問診療に時間を割いているのが大きな強みだといえます。あと、私はこれまでずっと三重県の医療的なケアが必要な子どもの診療にあたってきました。教育と障害福祉の連携にも10年携わってきたので、医療を越えた職種連携が可能です。福祉なしでは訪問診療は成り立たないので、顔が見える関係が築けているのも強みではないでしょうか。障害児がいる学校でも、看護師に医療的なケアの指導と教育を担当してきました。障害児の医療的なケアは個別性が高いため、直接現場へ赴き、どんな医療的なケアをしたらこの子が学校で楽に安全に過ごせるか、手技を交えて指導してきました。

小児科における訪問診療では、どんなサポートや治療が可能ですか?

岩本彰太郎院長 みえキッズ&ファミリーホームケアクリニック4

医療を必要とする子どもの中にも、酸素療法を必要とする方から気管切開をして人工呼吸器が必要な方まで、医療度の幅は広いです。しかしどのようなケースであっても、なるべくご家族の医療負担が減るように心がけています。例えば、1時間に1回喀痰吸引をしなくてはいけないとしたら、看護する家族は眠れませんよね。そのような場合はケアの方法を工夫できるような提案をします。医療負担が減ることは、ご家族だけでなく患者さん本人にとっても良いことです。他にも患者さんが移動しやすい動線のアドバイスもします。障害児のいるご家庭では、「面倒を見なくてはいけないから働けない」という事態になりがちですが、子どもとご家族の社会参加が途切れることがないようにしてあげたいです。お子さんが成長したら、ちゃんと社会に関われるように背中を押してあげたいのです。

福祉施設も完成させ、家族を含むトータルケアをめざす

来年、隣地で福祉施設をオープン予定だとか。

岩本彰太郎院長 みえキッズ&ファミリーホームケアクリニック5

当院の方針は、障害児・障害者だけでなく家族も含めたトータルケアです。その一環として、2024年に隣地でデイサービスを開設予定です。障害児・障害者の生活の場としてだけでなく、きょうだいや家族も一緒にケアできる施設にしたいと考えています。施設の名前には、サンクエールという花の名前を取り入れる予定です。花びらが手のひらのようなので、支え合うイメージです。地域のトータルケアは足りないことだらけで、私たちだけで地域医療を支えることは難しいと思いますが、スタッフと意見を出し合って一緒に進んでいきたいですね。

クリニックのスタッフさんについて伺います。

現在は医師1人、看護師2人、医療事務1人、広報1人です。看護師の2人はどちらも明るい人柄で、障害児・障害者の医療の専門知識を持っています。1人は新生児から障害児の痛みを意識したケアの知識があり、もう1人は重症心身障害児・重症心身障害者を長年診てきた経験があり、子どもと家族を時間軸で見守るケアを得意としています。医療事務スタッフは、長年にわたり総合病院での勤務経験があり、真面目で堅実で、私に欠けているところを補ってくれます。医療事務という仕事は医療を支える重要な役割を担っていますね。スタッフ間では、毎朝15分のミーティングをして、自分が学んだこと、昨日の出来事、時事ニュースなどを共有し、クリニックに関係する提案をしてみんなが共感できたことは実践するようにしています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

岩本彰太郎院長 みえキッズ&ファミリーホームケアクリニック6

地域医療の役に立つために開業しましたので、子どもから大人まで気軽に相談に来ていただきたいです。かかりつけのクリニックとして、世代を超えて、症状の軽い重いに関わらず診ていけるような診療所にしていきたいと思っています。外来では大人の慢性疾患も診ています。小児の慢性疾患は訪問中心で、医療度の高い方はお伺いする方針です。障害児や障害者のご家族の方は、困った時に相談に来てください。必要な場所へとつなぐことも大切にしているので、適切な基幹病院にご紹介しますし、訪問薬局とも連携しているので、医療材料やお薬を自宅に届けることもできます。通院が大変だと感じている、何か困ったことがある方は悩まずにご相談ください。

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